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十月兔

強制女装を中心とした小説・イラストのブログです。

2009-05

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乙女座の園 第1エリア(2)

 とーりすがーり様、ご指摘ありがとうございます。スペルミス失礼しました。
 何か最近ポカばかりですね……これからは気を引き締めていきたいと思います。

 さて。このブログも開設から2ヶ月以上たち、何とか1万ヒットを達成いたしました。ここまでやってこれたのも、皆様のご支援のおかげと感謝しています。やっぱり、見てくださる人がいるだけで、続ける気が湧いてきますからね。
 そんなわけで、1万ヒット達成記念イラストでも……と思い、投票フォームを作ってみました。どれほどの方が神無月のイラストにご期待下さっているのか判りませんが、気軽に投票してくださいっ。学生服はセーラー・ブレザー兼用なので、どちらか片方に絞りたい方は、コメント欄にどうぞ。

 では改めて開幕。

 * * *

(2)

 そして体毛処理事件から三日後。良介はそのウェイトレスの制服を着て、数人の視線に晒されていた。この日、社長は良介を連れて「B&B」の親会社、「アトラクティス」の東京本社にやってきていたのだ。
 行くまでの間も、苦痛の連続だった。「B&B」の事務所がある代々木から、本社がある東京駅に来る間も、もはや最近のお仕着せとなった事務服を着せられていたのだ。事務服というのは一般的なようでいて、あくまで会社内部での制服であり、それを着て外に出てくる人は滅多にいない。せいぜいコンビニか食堂までだ。つまり、それを着て電車に乗っていると、意外なほど目立ってしまう。
 しかもこの日着せられていたブラウスは、襟元にリボンを結ぶフェミニンなもので、しかも肌が透けるくらいに薄い。ただでさえピンクで胸元が強調されるデザインのベストの下に、肌まで透けてしまっているブラウスを着ているため、周りからの視線が辛かった。女性からの視点はひたすら痛く、男性からの視点はひたすら寒気がする。隣に座った男性が、ちらちらとこちらを見ては何か嫌らしいことを考えているのが判って、痴漢や視姦を受けた女性の気持ちが良く判った。
 どのみち親会社である「アトラクティス」についたら着替えさせられるのだから、行くときくらいは男の格好でも良いはずだし、レディスだとしてもせめて普通のスーツにして欲しかった。しかし社長の命令で、彼はそんな恥ずかしい制服のまま、山手線で新宿まで、そこからさらに中央線を乗り継いで東京に向かったのだった。これだって、せめて山手線で一本にしてくれれば、人混みの新宿に晒されなくて済んだのに。良介はとにかく知り合いに会わないことを祈り続けながら、なんとか東京までやってきていた。
 今日この「アトラクティス」にやってきたのは、良介をウェイトレスとして参加させるための面接である。「B&B」と「アトラクティス」の役割分担はやや特殊で、企画・立案や具体的なデザインは「B&B」に全面的に任されているが、そのための人員確保は親会社の「アトラクティス」が行っている。そのため、いかに企画を行った「B&B」といえども、親会社を通さなくては人員を割り込ませることができないのだ。
 そして面接。良介は行きに着てきた事務服から、恥ずかしいウェイトレス衣装に着替えさせられた上で、三人の面接官と向かい合った。脇には春香も立っていて、彼の様子を見つめていた。
「……確かに、アルバイトが十分集まらずに人員が足りないから、そちらさんに余っている人がいれば連れてきてくれとは言ったけど」
 困ったような顔をするのは、企画部第三課の課長だった。
「しかし、まさか《乙女座の園》に男性社員を送り込むわけには……」
「でも、違和感はないね。気付かないんじゃないの、誰も」
 鷹揚にフォローしたのは、四十代半ばの人事部長。彼は良介の身体を、好色そうな目で見つめていた。
「有沢くんは確か、システム関係の構築に行ったんだよね。そっちの方はどうなんだい? メインテナンスとか、システムの改良が必要なら、そちらを優先してもらうのが筋なんだけど」
「あの、そちらは大丈夫です。定期点検は週に一度だけで、火曜日は本社に戻ってそちらの点検をいたしますので」
 良介は正直に答える。本当なら、システム管理が忙しいんでウェイトレスなんか無理です、と言いたかったのだが、横で見ている社長の目が怖い。
「ふぅん。なら俺は大丈夫だと思うよ。結構似合ってるしな。有沢くん、本当に男かい?」
「あら、お試しになります?」
 春香が横から、笑って口を出す。人事部長は首を振って、
「いや、その趣味に目覚めてもまずいからやめとくよ。娘になんと言われるか」
 あながち冗談とは思えない口調でこたえる。またもその視線に当てられて、良介は改めて背筋がむずがゆくなった。

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