十月兔

　あまり続けて休むと癖になってしまうので。短くてもこまめに更新したいと思います。

（５）

　お嬢様はそれから毎日のように、邸宅にご学友を招いて、僕にお料理を作らせるようになったのだ。
「わー、可愛いー！」
「ほんと、真衣ちゃんみたい！」
　お嬢様のご学友数人が、僕を見て楽しそうな声を上げる。僕はにっこり笑って、
「はぁーい、真衣、頑張ってお料理作りまぁす！」
　そう言って、軽やかなステップでお料理を作る。自分がこんな服を着せられて、小学生の女の子たちの目にさらされているのだ。恥ずかしくないわけがない。しかも歌や踊りに加え、ペンギンのようなマスコットの縫いぐるみを相手に一人芝居をやらされる。２０を過ぎた男である僕が、こんなことをさせられるなんて……しかしお嬢様や彼女のご学友からは、すこぶる好評だった。
　加えて最近では、普段着さえも幼稚園児から小学校低学年向けのものばかりを与えられるようになり、完全に女の子としての生活を強要された。部屋の装飾や家具も女の子らしい物で統一され、パステルカラーとフリルとレースが、僕の生活圏を彩った。
　そんな生活が続いたある日。僕は、この家の奥様から呼び出しを受けた。その要件は、実に驚くべきものだった……。