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『女児転生』 第二章(15)
(15)
「やっぱり、お兄ちゃんのママだっ!」
50メートルほど前方から歩いてくる、スーツ姿の女性。それは紛れもなく、俺の母親だった。とっさに身を翻して逃げようかとも思ったが、冬花ちゃんに服の裾をつかまれ、逃げることもできない。
その間に、秋穂ちゃんは大きく手を振って、声を張り上げていた。
「お兄ちゃんのママ、こんにちわーっ!」」
「あら、秋穂ちゃん、こんにちは。今日はおともだちと一緒?」
のんびりとこちらにやってきた母さんは、視線を秋穂ちゃんから俺たちに移し──俺を見て、ぎょっとしたように、目を丸くした。
「ちょっと……武志? 何やってるのよ一体!?」
「か、母さん……」
「何なの一体その服は!? まるで幼稚園の女の子じゃない! 高校生にもなって、恥ずかしくないの!?」
大声でいわないで欲しい、と思ったが、ヒートアップしている今の母さんに直接それを指摘しても無駄だ。一刻も早く誤解を解いて、落ち着かせるしかない。
「俺だって好きでこんな格好をしているわけじゃ──」
「嘘をおっしゃい。だったら何でそんな格好をしているのよ。そんなものを着て外を出歩いておきながら、好きで着ているんじゃないなんていわれても、全然説得力がないわよ」
その意見には全面的に賛成だったが、しかし実際そうなんだから仕方がない──そう言おうとした矢先、
「そーですよねー」冬花ちゃんが口を挟んだ。「さっきからずっとこんな調子なんですよ。自分から、秋穂がむかし通ってた幼稚園の制服が着た言っていったくせに、こうやって外に出た途端、恥ずかしいの嫌だのっていって……」
「そうなの? まったく、何で高校生にもなった男の子が、こんな服を着たがるのかしら」
理解に苦しむ、と言わんばかりの顔。そこへ、今度は有里奈ちゃんが口を挟む。
「考えるに、何か山野くんの中に屈折した感情があるのではないでしょうか。小さい女の子に憧れたり、あるいは小さな女の子になりたいと思うような感情が。無意識のうちにあるそうした感情が、女装は恥ずかしいことだと思う表層意識との間でジレンマを起こしているのだと思います」
とても小学生の発言とは思えない有里奈ちゃんの説明。しかしそれを聞いた母さんは、はっとしたように目を丸くした。急に小声になって、
「そうね……武志には、ちゃんとした男の子になって欲しいからって、できるだけ男らしく育てたつもりだったんだけど……それがいけなかったのかしら。武志にとって負担になって、結局こんな風になっちゃったのかも……)
「その可能性はありますねー」冬花ちゃんがさらに便乗し、「このままほっとくと、変な方向にエスカレートしちゃうかも知れませんよ? 例えば幼女趣味に走ったり──ですから、できるだけ安全な方法で、そのジレンマ? を解消した方がいいんじゃないでしょーか」
「そう……そうね。でも、どうすればいいかしら」
冬花ちゃんと有里奈ちゃんの口の巧さ、そして何より、母さんがもはや俺の弁明にまったく耳を貸さないせいで、話はどんどんおかしな方向に転がっていく。さっきから口を挟もうとはしているんだが、誰も聞いていないので結局なにもできないままだった。
「良い方法があります。ちょっと失礼……………………」
冬花ちゃんはひそひそと、母さんの耳に何事かを吹き込む。母さんはうなずきながらそれを聞いていたが、やがて話が終わると、
「そうね……それしかないわね。判ったわ」
「本人は嫌がるかも知れませんけれど、口先だけですから無理矢理させるくらいのほうがいとおもいますよー。『周りから無理矢理やらされているんだ』ってことにしたほうが、お兄ちゃん自身も楽でしょうし」
「ええ、判ったわ。いろいろとありがとうね、ええと……」
「冬花です。で、こっちが有里奈」
「冬花ちゃん、有里奈ちゃんね。ふふっ、小学生とは思えないくらいしっかりした子ね、二人とも、これからも武志をよろしくね」
「ええ」
何だか不吉な意気投合が行われていたが、俺はもう口を出す気力も失っていた。
「それで、秋穂ちゃんたちはこれからどうするの?」
「これからちょっと、ある場所に行くつもりです」
「そう。なら、気をつけてね。武志、くれぐれも変なことをするんじゃないわよ」
母親はそう言って、結局一度も俺の言い分を聞かないまま、家路へと向かう大通りを下っていった。
メール。
どうも、神無月です。なんだか急に寒くなって、急いで秋物を引っ張り出しました(笑)
さて、数日前「あかちゃんからやり直し」というタイトルでメールをちょうだいいたしました。男性によるオムツ着用の告白文冒頭を思わせるもので非常に興味をそそられたのですが、携帯からのメールであったせいか、ほんの数行で途切れてしまっています。返信いたしましたのですが、フィルタリングに引っかかった模様で帰ってきてしまいました。
お心当たりのある方、よろしければ、こちらのコメント欄などで改めてご連絡下さい。
「女児転生」は明日更新します。ではでは。
さて、数日前「あかちゃんからやり直し」というタイトルでメールをちょうだいいたしました。男性によるオムツ着用の告白文冒頭を思わせるもので非常に興味をそそられたのですが、携帯からのメールであったせいか、ほんの数行で途切れてしまっています。返信いたしましたのですが、フィルタリングに引っかかった模様で帰ってきてしまいました。
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「女児転生」は明日更新します。ではでは。
『女児転生』 第二章(14)
(14)
少女たち三人に連れられて駅前大通りを歩きながら、俺は今日一日の間に自分の身に降りかかった災難を反芻していた。
いきなり小学校の女児制服のようなものを着せられて授業を受け、さらにブルマー姿で体育。そのまま、ブルマー姿で街中を走り回ったあげく、今度は秋穂ちゃんの家で子供用のドレスみたいな服だの、サンドレスだの、最終的にはこんな幼稚園児みたいな服を着せられている。
「日本のいちばん長い日」、と言うタイトルの映画があったが、今日は俺にとって、人生でいちばん長い日になりそうだった。
すべてが悪い夢としか思えなかった。いや、そうだったらどれほど良いだろうか。
「ほらほらお兄ちゃん、なにを泣きそうな顔しているのよ」
冬花ちゃんがのぞきこんでくる。「お兄ちゃん」なんて呼びかけはやめて欲しいのに……とおもうが、彼女のことだ、もちろん俺が嫌がるのなんててんからお見通しだろう。判った上でやっているのだから、何を言っても無駄だ。
しかし効果は絶大で、ただでさえ身長157センチ、中学生くらいの身長の俺が幼稚園児のスモックを着ているのは目立つのに、明らかに小学生くらいの女の子から「お兄ちゃん」と呼びかけられているのだから、聞きつけた周りの人間はぎょっとしている。ひそひそささやく彼らの声まで、聞こえてきそうだった。
「なにを恥ずかしがってるのよ、今さら」
さらにこちらもわざとだろう、有里奈ちゃんが、冷然たる声を放った。
「その図体で園児服を着ている時点で、中身が中学生の女の子だろうが、高校生の男の子だろうが、大した違いはないと思うけど? どのみち周りからは変態と思われているんだから、冬花の言葉一つで動揺することもないでしょ」
俺は言い返せず、ただうつむいて足を動かすことしかできなかった。女の子は小学生から強烈な毒を吐くと言うが、彼女たちはまさにその実証だと思う。
もっとも、悪意がなければ良いという問題でもなくて──
「大丈夫だよ、冬花ちゃん、有里奈ちゃん!」
三人の少女の中ではいちばん言動が幼い秋穂ちゃんが、無邪気な笑顔で言った。
「お兄ちゃん、ちゃんと似合ってるもん! みんな、こうこうせーのお兄ちゃんだなんて思わないよ!」
「~~~~~~~~!」
余計なフォローをいれるな! ……という言葉が喉の奥まで出かかるが、俺は必死でそれを嚥み下だす。冬花ちゃんたちとは別の意味で、秋穂ちゃんには何を言っても無駄なのだ。俺はぐっとこらえて黙り込む。
「良かったわね、お兄ちゃん。ちゃんと幼稚園児の女の子に見えてるって」
少女三人にからかわれて歩くうち、俺はいつしか駅の近くまできていた。制服姿の中高生や、大学生くらいのグループでごった返している。これだけ大勢の人がいるのだ、もしかしたらクラスメイトや知り合いの人がいるんじゃないだろうか、と不安がよぎったとき、
────!?
……ちょっと待て。
今日何度目かの、嫌な予感がした。向こうから歩いてくる人影に、見覚えがあった。まさか、あれは、もしかして──
「あっ!」
秋穂ちゃんが、大声を張り上げた。俺の視線の先にいる人物を指さして、
「ねぇねぇ、あそこにいるの、もしかして──」
少女たち三人に連れられて駅前大通りを歩きながら、俺は今日一日の間に自分の身に降りかかった災難を反芻していた。
いきなり小学校の女児制服のようなものを着せられて授業を受け、さらにブルマー姿で体育。そのまま、ブルマー姿で街中を走り回ったあげく、今度は秋穂ちゃんの家で子供用のドレスみたいな服だの、サンドレスだの、最終的にはこんな幼稚園児みたいな服を着せられている。
「日本のいちばん長い日」、と言うタイトルの映画があったが、今日は俺にとって、人生でいちばん長い日になりそうだった。
すべてが悪い夢としか思えなかった。いや、そうだったらどれほど良いだろうか。
「ほらほらお兄ちゃん、なにを泣きそうな顔しているのよ」
冬花ちゃんがのぞきこんでくる。「お兄ちゃん」なんて呼びかけはやめて欲しいのに……とおもうが、彼女のことだ、もちろん俺が嫌がるのなんててんからお見通しだろう。判った上でやっているのだから、何を言っても無駄だ。
しかし効果は絶大で、ただでさえ身長157センチ、中学生くらいの身長の俺が幼稚園児のスモックを着ているのは目立つのに、明らかに小学生くらいの女の子から「お兄ちゃん」と呼びかけられているのだから、聞きつけた周りの人間はぎょっとしている。ひそひそささやく彼らの声まで、聞こえてきそうだった。
「なにを恥ずかしがってるのよ、今さら」
さらにこちらもわざとだろう、有里奈ちゃんが、冷然たる声を放った。
「その図体で園児服を着ている時点で、中身が中学生の女の子だろうが、高校生の男の子だろうが、大した違いはないと思うけど? どのみち周りからは変態と思われているんだから、冬花の言葉一つで動揺することもないでしょ」
俺は言い返せず、ただうつむいて足を動かすことしかできなかった。女の子は小学生から強烈な毒を吐くと言うが、彼女たちはまさにその実証だと思う。
もっとも、悪意がなければ良いという問題でもなくて──
「大丈夫だよ、冬花ちゃん、有里奈ちゃん!」
三人の少女の中ではいちばん言動が幼い秋穂ちゃんが、無邪気な笑顔で言った。
「お兄ちゃん、ちゃんと似合ってるもん! みんな、こうこうせーのお兄ちゃんだなんて思わないよ!」
「~~~~~~~~!」
余計なフォローをいれるな! ……という言葉が喉の奥まで出かかるが、俺は必死でそれを嚥み下だす。冬花ちゃんたちとは別の意味で、秋穂ちゃんには何を言っても無駄なのだ。俺はぐっとこらえて黙り込む。
「良かったわね、お兄ちゃん。ちゃんと幼稚園児の女の子に見えてるって」
少女三人にからかわれて歩くうち、俺はいつしか駅の近くまできていた。制服姿の中高生や、大学生くらいのグループでごった返している。これだけ大勢の人がいるのだ、もしかしたらクラスメイトや知り合いの人がいるんじゃないだろうか、と不安がよぎったとき、
────!?
……ちょっと待て。
今日何度目かの、嫌な予感がした。向こうから歩いてくる人影に、見覚えがあった。まさか、あれは、もしかして──
「あっ!」
秋穂ちゃんが、大声を張り上げた。俺の視線の先にいる人物を指さして、
「ねぇねぇ、あそこにいるの、もしかして──」