2ntブログ

十月兔

強制女装を中心とした小説・イラストのブログです。

2009-05

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

乙女座の園 間章1


 間章1 入場口《Horn Gate》

「先輩、この辺りなんか似合うと思うんですけどどうでしょう?」
「うん、古本さんには似合うと思うよ。こう、可愛らしいリボンとか、胸元の切り替えレースとかが、古本さんの女の子らしさを引き立てそうな」
「ほんとですかぁ、ってそんなことはどうでも良いんです。変なこと言ってあたしの気を逸らして、目的を失わせないでください」
「ほらほら、あっちのクリーム色のニットスカートとか。似合うんじゃない」
「そんな……ってだからやめてください。今日は先輩の服を選びに来たんですから」
「だって、私服を買ったってしょうがないだろ。いつ着るんだよ」
「普段家の中でとか」
「嫌だってば。僕は女装趣味者じゃ……おっと、そういう趣味はないんだから」
「でも同じビルに入ってる他の事務所の方から怪しまれますよ? 行き帰りでは男性を見るけれど、昼に食事に出るときはOLしかいないって」
「だからって、OLが着るような通勤用の服を買わなくたって……」
「だめです。先輩はこんなに可愛いのにお洒落しないだなんて、勿体ないです」
「いや勿体なくて良いよ。持ち腐れる宝ってのも悪くはないんじゃないの」
「…………(ぷちん)」
「いや、ちょっと待って古本さん、なんでいきなりそんな負のオーラ全開に……って痛たたた! 腕掴んで引っ張らないで!」
「……良いからついてきなさい、試着しなさい、購入しなさい。あたしが先輩に似合うもの、片っ端から選んで差し上げますから。ええ……」
 …………
「やっぱり似合うなぁ。春の新色サーモンピンクの胸元切り替え重ね着風ニットに、裾からレースがのぞく清楚な白のプリーツスカート! 我ながら完璧なコーディネートです。明日はそれ着て会社に来てくださいね、先輩。……って先輩、何すすけてるんですか、ねぇ? こんな似合うのに気に入らないなんて……はっ、まさかあたし、独りよがりな女!?」
「……誤解を招きそうな発言ではあるけれど、判ってもらえて嬉しい」
「ご、ごめんなさい、先輩。私が間違ってました。そうですよね……。
 やっぱりこの店一軒で満足した私が悪かったんです。さぁ、先輩! 次の店に行きますよ! 今日は都心中のブティックを回って、先輩に似合うものを――」

 | HOME |