スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
月夜哉 序章
序章 闇の夜は
「久しぶりだな、ジョウガ」
「あら、ガドウ。珍しいわね。貴方の方から来てくれるなんて」
「なに、ミチナガに呼びつけられたんだ。聞いたぞ。“スレイブ”が足りないそうだな?」
「なぁんだ。オーナーに呼ばれただけだったの。残念だわ。……それはそうと“スレイブ”の件だけど、べつに足りない、って訳じゃないのよ。ちゃんと、半年分は揃っているもの」
「6人か。少ないな。しかも、どうせ後半が足りないんだろう?」
「いちおう“霜月”はいるわ。でも、そうね。“文月”からさきは“霜月”一人しかいないのよ。そのせいで、お客がだいぶん飽きてるのには違いないわ。オーナーが“スレイブ”を補充したがっているのは、そのせいね」
「……“霜月”ひとりいれば十分だと思うが?」
「それだと“霜月”の負担が大きすぎるし、それに、“霜月”が受け付けているの以外にも、ハードなプレイを好む客はいるのよ。だから、できれば“文月”以降の“スレイブ”を、誰か見繕ってきて欲しいの」
「ふぅん……おい、確か少し前に、“神無”がいたな。あいつはどうした?」
「逃げたのよ。ずいぶんいろいろ手をかけたし、お客にも好評だったんだけど、ね。どうも“姿見”が手引きして、逃がしたらしいわ。彼女もろとも、もっか行方不明」
「“姿見”もいなくなったのか。それは惜しいな」
「ええ。……何よ、ずいぶん残念そうな顔ね」
「いや、別に。……とすると、連れてくるのは男の方が良いか? さすがにすぐに“神無”の後釜に据えるわけにはいかないだろうが……」
「ええ。さすがに“師走”は無理でしょうけれど、できれば“葉月”になれるような人がいい。そんなわけで、割と可愛い顔立ちの男の子を頼むわ」
「男が好きという客の考えることは、よく判らんな。男がいいなら、女の格好なんかさせるのは、意味無いだろうに」
「あら、両刀遣いのあなたに言われてもね。じゃ、頼んだわよ。報酬は、後でオーナーから受け取って頂戴」
「了解。……と、その前に今日は久々の“ショウ”を見ていくか。今日は誰が出る?」
「今日は“霜月”以外、全員出るわよ。今日は“霜月”、アレの日が近いから出られないのよ。まずは“睦月”と“弥生”が二人で出て、その後“卯月”と“水無”、最後に“皐月”が締め。最後まで、見ていくでしょ?」
「いや、男の“スレイブ”には興味ないんでな。“弥生”まで見たら帰るよ。……ああ、帰り際、“霜月”に挨拶してもいいか? いちおう俺がスカウトしてきた“スレイブ”のひとりだ」
「ええ、いいわよ。それじゃあガドウ、ごゆっくり。一夜の“ショウ”を楽しんでね」
「そうする。じゃあな」
…………
「久々の狩りか。さて、どのような手を使ったものかな……」
月夜哉 序
『月夜哉』
クラブ“Lunatic Night”会則より抜粋
第一二条
“Lunatic Night”の会員は、当店で行われる“ショウ”に、“マスター”ないし“セミスレイブ”として参加することができる。
第一三条
“ショウ”において“マスター”となった会員は、当店の“スレイブ”に対して許容される限度で、“スレイブ”に対して加害行為をすることができ、かつ、名誉毀損、侮辱罪、暴行罪などが免除される。ただし傷害、殺人などについては、これをしてはならない。
第一四条
“ショウ”において“セミスレイブ”となった会員は、その希望に添って、当店の“マスター”あるいは他の会員が“マスター”となって、“マスター”から加害行為を受けることが出来る。ただし、希望に添う限りにおいて、“セミスレイブ”は当店、および“マスター”となった会員に対して、いっさいの被害に対する請求をしてはならない。
第二〇条
“Lunatic Night”の会員以外の者は、当店で行われる“ショウ”に、“セミスレイブ”として参加することができる。“セミスレイブ”については、第十四条の規定に準じる。
“スレイブ”一覧
“睦月” “弥生” “卯月” “皐月” “水無(みな)” “霜月”
* * *
いよいよ始まりました、新作『月夜哉』。当初予定していたストーリーだと、主人公がいじめられるまでに10回くらい(!)かかるので、ストーリーをタイトなものにしました。そのせいで「我道が洋画家」という設定が完全な裏設定になってしまいました(涙)。
前作代わりと会話シーン中心になってしまったので、今回はプレイ中心で行こうと思っています。ではでは、趣味の合う方はお付き合い下さい。
強制女装考 第二回(3)
第二回 女装の類型化(3)
この一連の類型の中には、いわゆるショタコンとしての「女装少年」は入れていません。ここでいささか脱線になりますが、成人向けコミックの「女装少年」についても述べてみたいと思います。
この女装少年の特徴はひたすら明快で、とにかく男に抱かれるための対象としか思えません。基本的に積極的にタチの男性に言い寄りますし、言い寄らないまでもタチの男性から求められればあっさり応じて、しかも出血もせずに受け入れています。
具体的な例は挙げませんが、小学生としか思えない外見の少年に成人男性が挿入して、裂傷や出血どころか痛みを感じることもなく、ひたすらアンアン言っているところなどは、本当に少女のようです。また外見も、少女と区別がつかないような少年ばかりが主人公となります。
これはわたしの偏見かも知れませんが、成人向けコミックにおけるショタコンはあくまで小児性愛の延長線上にあり、小児性愛の一類型でしかないと考えています。それが女の子に向けばロリコン、少年に向けばショタコンと呼べるわけですが、そのショタコンの一変形、あるいはロリコンとショタコンの中間点として、女装少年が存在するのではないでしょうか。
様々に記号化されたキャラクターが登場するオタク文化の中で、ロリコン、ショタコンと並ぶものとして女装少年という分野が存在する。そう考えた方がよいかと思います。
以上分類して参りましたが、サブカルチャー、性的嗜好としての「女装」を扱う場合の分類を少しまとめてみたいと思います。
女装(大枠としての括り)
・TS型女装
・TV型女装
・目的型女装
・強制女装
・仮性強制女装
・真性強制女装
・小児性愛的女装
註をくわえますと、たとえばTV型女装であっても、それが人目につかない場所で行うに留まっており、かつ、その人が他人から女装外出を強制された場合には、「強制女装」に該当する余地はあります。また目的型でも、女装に嫌悪を感じるかどうかは個人差があり、この基準も絶対的なものではありません。
以上の分類で、女装に関する用語の定義はできたかと思いますので、これをもって次回以降の考察の礎として参ります。
* * *
神無月です。
次回作についてのお問い合わせがありましたが、は今のところ、やっと三回分を書き終えたあたりで、まだまだ構想も十分ではありませんので、あと一、二回は「強制女装考」で時間を稼ぐかたちになるかと思います。
ただ、具体的な時期については未定です。もしかしたらこの大型連休に始まるかも知れませんし、もっとかかるかも知れません。
ではでは。
強制女装考 第二回(2)
第二回 女装の類型化(2)
TS型女装少年では、女装に対して羞恥は感じません。すくなくとも、本人の心性と衣服のあいだには、何らの違和感もないはずです。
しかし一方で、女性になりたいわけではないが、自ら好んで女装をするタイプの女装少年もいます。先に挙げた中では、(2)の類型です。自ら進んで女装をするけれども、男性としての自意識はしっかり持っている。こちらは異性装嗜好癖ですから「TV型女装」とでも呼んでおきましょうか。
さらに(3)の類型では、女装というのは単なる必要に応じた手段と見なされます。そこに羞恥があるのかは別にして、自発的に女装しなければ、この類型と見なすことができますね。ここから先はもう性同一性障害の類型には入りませんので、これを「目的型女装」とでもしておきましょう。つまり何らかの目的があって女装するタイプです。水城晶くんは青野るりに近づくために女装をする。ヤマトタケルはクマソの首領を討つために女装をする。芸人は、芸の一環としてために女装をする。趣味や嗜好は関係ありません(……まぁ、最後の場合趣味が入っている場合もあるかも知れませんが)。
他方、顕在的意識の上では女装に対して嫌悪を示しながらも、外部からの強制によってやむをえず女装をさせられるタイプの女装を、「強制女装」と呼ぶことができます(おお、やっと出てきたぞ!)。
顕在的な、と言ったのは、いわゆる「強制女装」ストーリーの中には、顕在意識では嫌がっていても、潜在意識では女装に憧れていたり、あるいはすぐに「女性」としての生活に馴染む場合があるからです。そのため、これをさらに細分化して「仮性強制女装」「真性強制女装」に分けてみます。「仮性強制女装」は、いやよいやよも好きのうち、と言うタイプ。「真性強制女装」は、女装を心から嫌がっているにもかかわらず女装させられるタイプ、です。
ここまで来ればお判りの通り、「強制女装SM」という分野は、最後の「真性強制女装」でしか成立しえません。例えば水川様の作品は、全て「真性強制女装」にあたるかと思われます。終始一貫して、女装に対して嫌悪、羞恥を感じていますから。また、わたしの書く話の主人公は、いずれも「仮性」と「真性」のあいだくらいでしょうか。さらに、元々は強制的に女装させられたのが、すぐに男性に言い寄られ、セックスして性感を覚えたりするのは、「仮性強制女装」にあたります。「強制女装~女にされる~」というサイトに掲載されている一連の作品群は、主にこれにあたるでしょう。
(続く)