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十月兔

強制女装を中心とした小説・イラストのブログです。

2009-03

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体験入学 第二章(1)

神無月です。どうも、ご教示ありがとうございます。
 しかしHPを運営するとなるとかなり手間ですし、こちらでもtxtファイルを貼り付けることはできるようなので、それでお茶を濁します(汗)
 ブログの表示も、カテゴリから選択すれば古→新の順になっておりますので、そちらからお読み下さる場合にも読みやすくなっております。
 それではさっそく、第二章を始めます。いよいよ体験入学当日ですね。

「体験入学」序章~第一章  taiken1.txt


 * * *

第二章 承前の二児(つづきのふたご)

 (1)

 エントランスの目立つ場所に、案内の紙が貼ってある。そこには、こうあった。
「スケジュール案内
  授業体験 九時三〇分~一一時〇〇分
   休憩・校内見学
  給食体験 一二時〇〇分~一三時〇〇分
   休憩・校内見学
  児童会挨拶 一五時三〇分~一六時〇〇分
   休憩・校内見学(~一七時〇〇分まで)

授業別クラス案内
  英語……一年一組(二階)
  算数……一年二組(二階)
  図工……図工室(一階)
  音楽……音楽室(三階)」
 案内に従って、武生たちは二階、一年一組の教室に進んでいく。廊下が狭いため、校庭を歩いていたときよりも他の参加者や保護者とすれ違う頻度が上がり、いちいち振り返られることも多くなる。はじめは逃げ出したかった武生だったが、ここまで来るとかえって諦めに近づいてきた。
 一年一組の教室の前まで来た、武生と翠。武生は息を吸い込んで、とんとんとドアをノックした。そのまま、元気よく挨拶する。
「失礼します!」
「はい、どうぞ」
 中から女性の声が聞こえ、武生はドアを両手で開けた。教室は、高校のそれと同じくらいの広さだが、机が撤去されているせいか、はるかに広く見える。前のほうには先生とおぼしき若い女性が椅子に座り、彼女を囲むように二十台ほどの椅子が並んでいた。うち半数が、すでに参加者の幼稚園児たちによって埋まっていた。
教室の中に一歩踏み出した武生は、特訓でやったとおり、手を膝に当てて挨拶する。
「私の名前は竹尾ゆずかです。皆さん、今日はよろしくお願いします!」
 そういって、頭を下げる。一ヶ月の特訓の成果で、武生は本当に小さな女のような高い声と、舌足らずな口調が出せるようになっていた。顔を上げると、教室に先に入っていた、十人くらいの子どもたちが、ぽかんとした顔で彼を見ていた。
 そんな子どもたちとは違い、先生は、武生に軽く微笑みかけた。ショートカットにきつめの顔立ちで、Tシャツとデニムのロングスカートという、カジュアルなスタイルの先生だ。
「はい、ゆずかちゃん。よく言えましたね。ほら、みんなも、ゆずかちゃんのご挨拶に答えてあげてね」
「こんにちは!」
 子どもたちは、戸惑いながらも唱和する。しかし彼らが武生を見る目は、明らかにこう言っていた。
(なんでこんな大きいお姉ちゃんが、幼稚園の服でここに来てるんだろう?)
 それでも子どもたちは良くしつけられているのか、ひそひそと話すこともなく、大人しく座っている。それよりも反応が激しかったのは、教室の後ろに並んでいるお母さん方だった。隣のお母さんとひそひそと囁きあって、武生のほうを、怪しむような、おかしがるような、変な目つきで見ている。後ろから歩いてきた翠は素知らぬ顔で、そんなお母さん方のあいだに立ち、すまし顔で子どもたちのほうを眺めている。
 武生は恥ずかしいのを堪えながら、教室の中に入り、席に座る。ジャンパースカートの裾を払い、背中のリボンを敷き込まないように後ろに流して、綺麗に座った。これまで何度も繰り返した手つきだ。慣れた手つきを見たお母さん方が、またひそひそと囁き合う。
 しばらく待っていると、他の子どもたちが入ってきた。しかし武生と違い、先生のほうに軽くお辞儀をするだけで、挨拶も、自己紹介もしない。武生は、赤くなった。翠が言っていた、部屋にはいるときの礼儀――小山内校長から伝えられたというあの礼儀は、でたらめだったのだ。翠が面白がって嘘をついたのか、小山内校長が彼に対する罰の一つとして嘘を教えたのかは判らないが、確実なのは、ただでさえ目立っている自分がさらに目立ち、他の子どもたちや保護者から笑われる種を作ってしまった、ということだった。
 いよいよ、体験授業が始まろうとしていた。

体験入学 第一章終わりました~

 どうも、神無月です。

 ふぇー、やっと『体験入学』第一章が終わりましたので、ご挨拶をさせていただきます。
 閲覧・拍手を下さった皆様、本当にありがとうございます。コメントの方もよろしければ、ご意見・ご感想・ご質問などお寄せ下さいな。
 この『体験入学』はすでに終盤まで書き終えてしまっているので、今作ではご要望に答えられないかも知れませんが、次回作以降の参考にいたしたいと思います。

 また、序章+第一章をまとめたpdfファイルも作成しております。でもここではアップができない……ので、どなたかよい方法があれば教えてください。また、よい方法が見つかってアップされるまでの間は、神無月に直接メールを下されば、ファイルを添付してお送りいたします。お気軽にどうぞ。一言添えて下さると嬉しいです。
 アドレスは以下の通りです。お手数ですが、*をアットマークに変えてください。

kannaduki2367*hotmail.co.jp

 さて、相互リンクをしてくださっている「恥辱庵」様の方も、新作の準備をされているとのことで、神無月も楽しみにしております。

 それでは今後もしばらく、『体験入学』を続けたいと思っておりますので、応援の程、よろしくお願いします。

体験入学 第一章(10)


 (10)

 屈辱と、言い返せない悔しさに身を震わせながら、武生は文月のそばを離れた。店の一角で、翠が何やらバッグを選んでいる。武生の姿を見ると、翠はにっこり笑った。
「やっと来たわね、ゆずかちゃん。ねぇ、どれがいいかしら?」
「……、……うん、これかな」
 諦めたような口調で、武生が答える。翠が武生に示した複数のバッグは、幼稚園児向けから高校生向けまである多種多様な通学鞄の中で、特に幼い女の子向けの可愛らしいデザインのものばかりだったが、さらにその中から武生が選んだのは、とりわけベビーピンクの鮮やかな、小さなバックパックだった。つまり、この店で一番女の子らしいデザインのものだ。しかもビニール生地ではなく、しっかりした革製のもの。長い期間使うことを前提にした、ちょっとした高級品だ。
 翠は一瞬驚いたように目を開いたあと、武生の意図を理解したようだった。
「……そう、判ったわ。ならちょっと背負ってみて」
「うん」
 言われるがまま、武生は素直にバックパックを背負う。リュックと違い、箱形のそれは、肩紐を調節すると背中にぴったりとフィットする。武生は口元に笑みを浮かべ、
「大丈夫だね。……これでいいよ」
「あ、あともう一つ。幼稚園生の定番は、これでしょ」
 そう言って彼女が渡したのは、女の子向けキャラクターのプリントが施された、園児用の真っ赤なショルダーバッグ。武生は特に感想もなく肯いて、それを肩に斜めがけする。
 こうしてバッグまで揃えると、幼稚園児の制服を着て、小物まで揃えた彼の姿は、本当に身長さえ無視すれば、幼稚園に通う年頃の女児としか見えない。
「あとは、靴ね」
 翠がシューズ売り場に向かい、武生もバッグを背中と肩にかけたまま、大人しく彼女に続く。いくつもデザインがある中で、武生はピンクと白のローファーを選び、「あまりピンクばかりでも」という翠の意見で白のローファーに決めた。……また、しばらく「ゆずか」として外に出て、女の子の練習をしましょうという翠の意見を受け入れて、武生はそれ用に、ピンクの可愛いスニーカーを選んだ。白地にカラフルな花柄のメッシュで、その上からピンクの飾りを施した、可愛らしいデザインのものだ。同じデザインでパウダーブルーのものもあったのだが、武生は敢えてピンクを選んだ。中学生の女の子だって、こんなデザインの物は選ばないだろう。しかし武生には、迷いはなかった。
 武生は持ってきた靴を脱ぎ、白いローファーを試し履きした。女物、しかも子供用のものだったが、なんとか一番大きいサイズがぴったり合った。同じサイズだから、スニーカーのほうもぴったりだ。
「うん、これで完璧ね。……すいません、お会計お願いします」
 翠は文月を呼び、武生が選んだ物をカウンターに載せていく。文月も二人のやりとりは遠くから見ていたようで、武生と目が合うと、ぱちんとウィンクした。
「頑張ってね、柚川くん。お姉さんも応援してるから」
 武生はそれに、少し笑って肯いた。だから次に文月が言ったことをきいても、それほど動揺しなかった。
「じゃ、今日はこのまま帰りますか? 次回いらっしゃるときにお返しいただければ、お持ち下さって構いませんから」
「……どうする、武生?」
 二人が、武生を見る。
 武生は、力強く肯いた。

 ……そんなこんなでこれから一ヶ月、武生は幼稚園の女の子として振る舞うよう、翠から様々な「訓練」を受け、六月最後の日曜日に当たる今日この日、体験入学に参加している。
 武生はいま、深山小学校の敷地内を、翠に手を引かれて歩いている。あの制服店での覚悟は、文月の雰囲気に流されたものでしかなかったことを、いまの彼なら断言できる。全く、幼稚園児の制服を着てあの店を出たのは、大きな間違いだったことを。
 そのあたりのことは、正直、武生にとっては思い出したくないことばかりだ。
 ちょうどよく、目の前には、小学校の玄関が見えてきた。
 武生は覚悟を入れ直して、他の子供に挨拶をした。
「こんにちは、竹尾ゆずかです。よろしくお願いします!」

体験入学(9)


 (9)

 自分で女の子の名前を名乗るというのは、武生に対して予想した以上の動揺を与えた。どんなにそれが、やむを得ず言わされたものであるにせよ、自分から女の子の名前を名乗ったのだ。それはつまり、自分で自分をそのように規定したと言うことに他ならない。
「ゆずかちゃんかぁ。可愛いお名前ね」
 恥ずかしさと、自我の動揺を招くほどの自己紹介だったが、ユウミはそれで満足しなかった。
「でもね、ゆずかちゃん。あたしのほうがゆずかちゃんよりお姉ちゃんなのよ。だったら、あたしのことをお姉ちゃんって呼ばないと、おかしいんじゃない?」
 ユウミは武生にそう言って、同意を求めるように、向こうで見ている女性二人を見る。店員も、お母さんも、しごく当たり前のように肯いた。
 屈辱に泣きそうになりながら、武生はユウミに答えた。
「ご、ごめんなさい、ユウミお姉ちゃん。ユウミお姉ちゃんは、ゆずかよりもお姉ちゃんです」
「はい、よく言えました。いい子ね」
 ユウミは背伸びして、武生の頭を撫でようとする。ぎりぎり武生の頭に手が届き、武生は小さな女の子に頭を撫でて誉められるという、男子高校生としてはありえない経験をした。
「文月さんも、相変わらずね」
「なかなか可愛い子でしょう。できればこれからも来て欲しいくらいですね」
 ユウミのお母さんと、文月と呼ばれた店員が、笑い交わしながら囁きあう。やがてユウミのお母さんが、娘に声をかけた。
「ユウミ、そろそろ行くわよ。……それじゃ文月さん、ゆずかちゃん、またね」
「はぁい。文月お姉ちゃん、ゆずかちゃん、またね!」
「はい、ユウミちゃん、またね。それじゃ薬野さん、またいらっしゃってください」
「…………ユウミお姉ちゃん、バイバイ……」
 ここで返事をしないと、またどんなことになるか判らない。武生は大人しく、「ユウミお姉ちゃん」に返事をした。
 それを見た文月が、含み笑いをする。
「良かったわね、ゆずかちゃん。早々とお姉ちゃんができて」
「……ふざけないでください」
 武生はじろりと、精一杯の怖い表情で彼女を睨む。
「なんでこんなことするんですか! ……女の子の服着るのだって、別に俺の趣味って訳じゃありません。俺とあいつの態度見てれば、十分判るでしょうに……なんで、あんな恥ずかしいこと言って、あんなことさせるんですか!」
「まぁ怖い」
 文月はそんな彼に、やはり笑った。一瞬沸騰しかける武生だったが、次の瞬間、文月は彼に思い切り顔を寄せ、彼の顎を軽く掴んで自分のほうに向けながら、真剣な表情と低い声で、立て続けにこういった。
「でもね、柚川くん。趣味でないんなら、貴方がこんな恥ずかしい服を着る理由はただ一つ。やむにやまれぬ事情があるからでしょう? だからこそ、深山附属幼稚園の制服を着なくちゃならないんでしょう? ……だったら捨てなさい、そんなつまらない意地は。理由があるから恥ずかしい服を着なければならない、そちらのほうが貴方にとっては大切な事情のはずよ。むしろここで恥ずかしい思いをしてまで守り抜く矜恃、そいつを見せてみなさい。
 ここで小さな意地にしがみついて、貴方が本当にしなければならないことを見失うのか。それともここで恥を忍んで、大局を考えた行動をするのか。……さぁ、どうするの」
「……っ! だからって、あの場面であんなことを言わなくたっていいはずだ!」
 正論と判っていながら、なおも武生は食い下がる。確かに事情があるのは間違いない。しかし先ほどの対応は、明らかに彼を辱めるためのものだ。覚悟を試すとかそんなことでは、ごまかされない。しかし文月は、涼しい顔でこういった。
「ならこれから、あんな風に女の子として扱われることがどれだけあると思っているの? あんなこと、これからいくらだって出てくるでしょうに。……こっちの部屋で貴方が来るまでの間に、翠さんからおよその事情は聞いたわ。なら、一刻も早く女の子として扱われ、女の子として振る舞うことに慣れた方が良いんじゃないかしら? 体験入学で男の子だってばれたら、とんでもないことになるんだからね」
 言うだけ言って、文月は武生の顎を押し、顔を離した。よろめく武生に目もくれず、彼女はカウンターで、先ほどの親子の注文票を書き入れ始めた。

体験入学 第一章(8)


 (8)

 その武生の祈りは、どうやら神様とやらには無視されたらしい。
 店内には三〇代くらいのお母さんと、小学校低学年の女の子が来ていた。カウンターのすぐそばで、店員と話している。店の奥から店内に入り、翠を探すためには、どうしてもそこを通らなければならない。早くどこかに行ってくれないかと思いながら通路の影で見ていた武生を、先ほどの女性店員がめざとく見つけた。
「お客様、どうぞ出てきてください」
「あら、どなたかいるのかしら」
 店員の声にお母さんが応じて、武生は出て行かざるをえなくなった。なるべく目立たないように出て行った途端、女の子が彼を指さして声を上げた。
「あーっ! ママ、あれ、ヨウチエンの服だ!」
「あら、本当ね。ユウミちゃんが去年まで着てた服ね」
 と言うことは、この女の子は小学校一年生。しかも深山附属にいたと言うことは、いまは深山小学校にいる可能性が高い。ツインテールで目がぱっちりした、活発な感じの女の子だが、挙措にはどことない上品さが漂っている。女の子は上品な仕草で、小首をかしげた。
「でもママ。あの人、シンチョウたかいよ。ユウミよりも、お姉ちゃんだよね? マリ姉ちゃんよりも、お姉ちゃんだよね?なんでヨウチエンの服着てるの?」
「さぁ、何でかしらね。きっと何か訳があるのよ」
 お母さんはちょっと意味ありげに、店員に目線を送る。店員は肯いて、少し笑った。
「でも、ユウミちゃんはあの服を卒業したのよね? あっちの子より、ユウミちゃんのほうがお姉ちゃんなのよね?」
 店員にそう言われたユウミは、ちょっと戸惑ったように武生を見て、また小首をかしげた。しかしやがて得心がいったらしく、にっこり笑って誇らしげにこう言った。
「うん、ユウミのほうが、あのお姉ちゃんよりもお姉ちゃんだよ! ……あれ?」
 自分の言い方に妙なものを感じたのか、ユウミはあどけない表情で首をかしげる。店員とお母さんはくすくすと笑い、武生はものすごくいたたまれない状況になった。小学一年生の女の子に、「自分のほうがお姉ちゃん」と言われているのだ。
 顔を赤くして黙り込む武生。しかし店員は、さらにとんでもないことを言いだした。
「それにね、ユウミちゃん。あの子、お姉ちゃんじゃないわよ? 男の子だから、ユウミちゃんにとってはお兄ちゃんかしら。でも、あの子よりもユウミちゃんのほうがお姉ちゃんね」
「えーぇ!」
 ユウミは驚いたように、武生を見る。お母さんは「やっぱり」というように笑っただけで、驚いたそぶりはない。どうやらこの店員の悪癖については重々承知のようだ。ユウミは武生を見ながら、
「だって、だって、あれ、オンナノコの服だよ? オトコノコは着ちゃいけませんって、センセー言ってたもん。なんでお兄ちゃんが着てるの? ねぇ?」
 言われても、武生は貌を赤くして唇を噛むだけで、答えることなどできない。そんな彼にかわり、店員が答えた。
「あの子、ユウミちゃんよりも年上の男の子なんだけど、女の子になりたいんだって。女の子になって、幼稚園児になりたいんだって。だからユウミちゃんはあの子のお姉ちゃんよ。だってユウミちゃんは幼稚園を卒業したし、女の子としてもずぅっと長く過ごしてるんだからね。あの子はまだ、女の子になってからほんの少ししか経ってないの。だから、ユウミちゃんはあの子のお姉ちゃんになってあげて? ね?」
「んーっ……」
 ユウミにとってはちんぷんかんぷんだったのだろうが、それでも何となく話の流れは掴んだらしい。にっこり笑顔になると、
「うん、ユウミ、あの子のお姉ちゃんになってあげる!」
 とことこと武生のほうに歩いてくる。そして、自分より高いところにある武生の顔を見上げてこう言った。
「お兄ちゃん……って言うのもヘンね。アナタ、でいいかな。うん、ユウミがアナタのお姉ちゃんになって上げる。あたしはクスノユウミ。アナタは?」
「え、えっと……その……」
 小学生から「お姉ちゃんになって上げる」と言われた武生は、状況について行けず、どう答えたらいいかも判らず、戸惑いながらもじもじした。それを見たユウミが、小さな胸を張った。
「お兄ちゃん、ユウミよりもトシ……トシウエ、なんでしょ? 自分のお名前くらい、判らないの?」
「ぅ…………」
 女の子にバカにされ、武生は一瞬目をきつく閉じた。しかしそれで現状が打破されるわけでもない。彼はやがて、こう答えた。

「ゆ、ゆずか……竹尾、ゆずかって言います。ユウミちゃん、仲良くしてください」

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