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十月兔

強制女装を中心とした小説・イラストのブログです。

2009-03

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体験入学(序)

 拍手を下さってる方々、どうもありがとうございます。とりあえず見てくれる方がいらっしゃるだけで嬉しいです。なので当初の予定通り、小説なんか始めてみようと思います。
 えろは苦手なので、純粋に、「男性が、女の子の服を着せられて、女の子として扱われる」のに萌える方向けです。水川様の作品に似ていますね。

 では、これより開幕。

 *
 
「か、帰ろうよ、やっぱり。凄く目立ってるし……」
「何云ってるの。ユズカちゃんが悪いんでしょ。それに大きな声出すと、余計目立つわよ」
 ユズカちゃん……柚川武生(ゆずかわ たけお)は赤くなって黙り込む。確かに騒いだ方が目立つが、どのみち周りから注目を浴びていることに変わりない。
 そんな武生の様子に構わず、酒匂翠(さこう みどり)は彼の手を引いて私立深山小学校の門に向かう。入口には、「深山小学校体験入学 参加者入口→」という案内が出ていた。
 二人は今日、この深山小学校の体験入学に来たのだった。正確には武生が参加「児童」で、翠がその姉、保護者と云うことになる。しかし、本当は二人は同い年。同じ高校に通う三年生の間柄だった。
 とはいえ、武生のほうはとても高校三年生には見えない。第一に、背が低い。今どき中学生だって一六〇センチ近くはあるものだが、彼の身長は一五二センチ。童顔で、体つきも華奢なので、ぱっと見ただけでは中学生にさえ見えないだろう。
 しかもその服装は……
「大丈夫よ。ユズカちゃん。ユズカちゃんは中学二年生の女の子で、わけあって、ちょっと恥ずかしいけど幼稚園の制服を着て、小学校の体験入学に来ているなんだから」
 翠は彼の耳元で囁き、武生の顔がさらに真っ赤になる。
 そう、これこそが、彼が高校生の男子には見えないもう一つの理由だった。彼が着ているのは、この私立深山小学校に附属する幼稚園の制服。しかも、女児制服だ。ラインの入った丸襟のブラウスに、クリーム色のジャンパースカートをはき、同色のボレロをはおっている。襟元の赤いリボンがボレロからのぞき、頭には可愛らしいベレー帽。靴やバックパックさえ、女の子として違和感のない小物で統一されている。
 いまの武生の姿は、身長さえ無視すれば、上品なお嬢様幼稚園の女子児童としか見えなかった。
 翠はさらに続けて、武生の羞恥を煽るようなことを云う。
「ユズカちゃんは本当は中学二年生なんだけど、学校のお勉強について行けないから、小学生からやり直すことにしました。だから今日は、幼稚園児として体験入学を受けて、周りの子たちと上手くやらきゃならないのよ。そうしないと、小学生としても失格なんだからね」
 これが今回、身体の大きい彼が体験入学をするに当たっての口実だった。いくら小柄とはいえ、さすがに幼稚園生で通すのには無理がある。そのため、こんな嘘をこしらえて体験入学にこぎ着けたのだ。しかしこの嘘は、武生の心の中に、幾重にも歪んだ羞恥心をかき立てた。単に、高校三年生が幼稚園生に混じって体験入学をする羞恥だけではなく、周りから、中学生にもなって小学校からやり直さなければいけない女の子、と云う扱いを受けなければならないのだ。
 周りには、二十代後半から三十代前半の若いお母さんたちが、幼稚園年長の子供の手を引いて歩いている。翠はそんな小学校の中を、案内に従って進んでいく。時折、周りのお母さん方に挨拶をする余裕さえあった。しかし、どのお母さんたちも、とりあえず挨拶は返すけれども、すぐに武生たちから離れていく。いくら武生が可愛い幼稚園の女児制服を着ているとはいえ、身長から来る違和感はどうしようもないのだ。二人は先ほどから、体験入学に参加する他の子どもたちや、その保護者から、不審と奇異の目を向けられ続けている。武生は本当にいたたまれなくなってきた。
 敷地の広い小学校なので、校門から正面玄関までそれなりの距離がある。その道を歩く間、武生は、ここに至るまでの日々を思い返していた……。

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