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十月兔

強制女装を中心とした小説・イラストのブログです。

2009-10

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『女児転生』 第一章(4)


 (4)

 高校の男子制服に赤いランドセル、黄色い安全帽という異様な格好で、俺は二人に連れられて、職員室のある2階から3階に上り、3階の廊下を歩いていった。通り過ぎる教室は既に授業が始まっていたが、中にはこちらを見てぎょっとする生徒や、隣の奴をつついてひそひそと囁きあっている生徒もいて、俺は今すぐランドセルを投げ捨てて逃げ出したい気持ちでいっぱいだった。
「これはこれでマニアックな格好よね」
「ですね」
 2人がそんなことを話しながらやってきたのは、英語科特別教室。リスニングなどの授業を行う、AV機器の揃っている部屋だった。先生はさらに、普段なら生徒を招き入れることのない奥の扉から、英語科準備室に連れ込んだ。教室の半分ほどの広さの空間に、テープやCDを入れた棚などが、所狭しと並んでいる。
 入るなり、2人は荷物を床に置く。俺は開口一番、先生にくってかかった。
「先生、あのですね」
 出来るだけ怖い顔で、難詰するような口調で言った。
「昨日の会話では、別に俺は小学生の女の子になりたいなんて、一言も言ってませんよ。ただ、生まれ変わるとすれば小学生あたりからが一番手頃だろうってのと、あと、別に男の子でなくても、女の子に生まれ変わるんでも構わないって言っただけで、全部『生まれ変わるなら』という前提での、仮定の話です。それを誤解……だか曲解だかして、まるで俺が小学生の女の子になりたがってるなんて変なレッテル貼って、既成事実にしないでもらいたいんですけど」
「あら怖い」
 しかし先生は、俺の剣幕など知らぬげに受け流した。思わずかっとなりかけたところで、先生がさらに言葉を継いだ。苛つくほどのんびりした口調を崩さず、
「でも山野君。他の子だって別に、山野君が小学生の女の子になりたがってるなんて本気で思っている人はいないわよ。ただ単に、山野君の冗談口にあたしが乗っかって、ちょっとした女装をさせようってだけのこと。山野君だって、友達が宴会のジョークで女装したからって、その人が女装趣味を持っていたり、女性化願望があるなんて考えないでしょ?
 それと同じよ。さっきの帽子だって、別にあれをかぶせられたら小学生の女の子にならなきゃいけないなんて法はないんだし、これから山野君に、ちょっと小学生の女の子の服を着てもらうにしても、これからずっとその服を着ていなきゃいけない、なんてことはないわ。あくまで今日限りの冗談なんだから、それほど気にすることはないわよ」
「気にするなって、それは無理ですよ。どうせスカートかなんか穿かせるつもりなんでしょうけど、俺は嫌ですよ。なんて言われようと。ましてやスカートはいてあいつらの前に出て行ったら、これからなんと言ってからかわれるか」
「そうかしら。あんまりムキになって抵抗したことが判ったら、逆に怪しまれるわよ」
 先生は軽く笑って、背後に立つ莉子に目配せした。肯く莉子を見た瞬間、俺はホンゼンと悟った。
 はめられた。ここで着なかったとしても、莉子がみんなに「山野君、本当はすごく着たそうにしていたんだけど、みんなの前だと恥ずかしいからって着なかったのよ。だからみんな、山野君の本当の願いを叶えてあげるために、協力してくれない?」などと触れ回ろうものなら……。
 俺の心の中に、一気に諦めが押し寄せてきた。その微妙な変化を察知したのか、先生は切り替えるようにこう言った。
「じゃあ、お着替えしましょうね。ランドセルと安全帽はその机の上に置いて、服を全部脱ぎなさい。これつかっていいから」
 透明なビニール製のバッグの中から、大きなタオルを差し出してくる。ピンクのボーダー柄に可愛いウサギのキャラクターがプリントされ、しかも片方の端にはゴムが仕込まれている。いわゆる、プールタオルだった。
 よく見ればビニール製のバッグも、イチゴのマークがプリントされたプールバッグだ。しかもその中にはまだ、紺や赤の何かが入っている。それがなんなのか、俺は何も考えないようにして、そのバッグから視線を外した。
 女性2人の目の前で服を脱ぐなんて恥ずかしい限りだったが、ここで懇願したり、抵抗したところで、この2人が許してくれるとは思えない。俺は諦めてカッターシャツを脱ぎ、アンダーシャツを脱ぎ、スニーカーを脱ぎ、靴下を脱ぎ、さらにズボンまで脱いだ。トランクス1枚の格好を見られるのもいやだったけれど、それ以上に、このプールタオルを使わされる方がいやだった。
 しかし、まさか下半身まで露出するわけにもいかず、俺はプールタオルを広げて足を遠し、腰に巻いた。そしてトランクスを脱ぎ、脱いだものをまとめて机の上に置く。
 全て脱ぎ終わった俺は、先生と莉子をじろりと見て、精一杯ドスの効いた声を出した。
「……脱ぎ終わったよ」
「はい、ご苦労様。じゃあ佐々木さん、彼の脱いだものは、こっちのバッグの中に入れちゃってくれる?」
「はーい」
 2人とも、俺の凶眼などどこ吹く風、平然と次の作業に取りかかった。莉子は俺の脱いだ服を、まとめて俺のバッグの中に放り込み、先生は俺に、何やら衣類が入っている紙袋を手渡した。
「じゃ、その中に入っている者に着替えちゃって」
 中を見た瞬間、俺は絶望のあまり膝を折りかけた。予想通り、いや、予想以上のものが入っていた。

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