2ntブログ

十月兔

強制女装を中心とした小説・イラストのブログです。

2009-08

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

新作登場。

 神無月です。暑い日々が続きますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。薄手のキャミワンピを着ていると、少しは楽かも知れません。涼しそうですよね、あれ……。

 さて本日、「十月兔の塒」に「女装小説短篇集」の項目を設け、初めて男性×女装少年という、比較的一般的な女装小説を掲載しました。といってもやや変則的で、女装者が男性から求められるのではなく、男性から求められる中で女装にのめり込んでいきます。最初から女装者ではありません。

 なぜかと言えば、神無月は「女装していなかった男性が女装させられ、女性としての生活を強制される」ストーリーが好きだからです。つまり、日常の中から突如として非日常的世界が飛び出して、その非日常的生活の中に囚われてしまう、という。これはもう、神無月が日頃女装しておらず、趣味を隠して普通の生活を送っているためかと思います。だからこそ、日常から非日常へのシフトに魅力を感じるのでしょうね。
 逆に日頃から女装して外出しているような方は、「女装するまで」の過程はもう終わっていますから、「女装者がいかに男性との性交渉に至るか」に関心をお持ちになるのでしょう。どちらがいいとかではなく、それぞれの方の女装の段階に応じた好みなのでしょうねぇ。いや、神無月にはリアル女装の知り合いの方はいらっしゃいませんので、あくまで感じたことを述べているだけですけれども。

 さて。今回の女装小説短篇集「隣人」では、初めて男性との性交渉シーンが出てきます。これはどちらかというとBL小説ややおい小説の流れですねぇ。
 しかし書いていて、一つ疑問に思うことがあります。ずばり、初めて男性から挿入を受けたネコさんが、果たして「気持ちいいーっ!」といってよがれるのかどうかです。
 いくら直腸の奥に前立腺と隣接する場所があって、そこを刺激されるからと言って、狭いお尻の穴に太いモノをつっこまれて、すぐにあんあん言えるのか、非常に疑問なのです。どうなんでしょう?

 もしプレイ経験がおありで、ご存知の方がいらっしゃいましたら、メールでもコメントでも構いませんので、ご教授いただけると幸いです。今後の作品にも、少しずつ影響してくると思います。
 他にも今回の「隣人」は、いろいろと迷いの多い作品でしたので、よろしければご意見・ご感想などお寄せ下さい。

 ではでは。『乙女座の園』もいよいよ佳境。というかこれ、女装小説を謳っていながら、もう10回以上も主人公の女装シーンがでていないんですね(汗)こんな看板に偽りありな状態ですが、よろしければお付き合い下さい。

乙女座の園 第6エリア(5)


 (5)

「わっ!」
 携帯の電子音で、軽快なポップのメロディが流れた。着メロだ。
 びっくりした良介は、寝惚け眼でのろのろとソファから立ち上がり、テーブルの上に置いてある携帯を手に取った。そこに表示された名前は、
「月織円香」
 前回電話があったときに登録した名前だった。その名前を見てからやっと彼は、そう言えば今週末彼女と会う約束をしたんだっけ、と思いだした。「アリスのお茶会」に引きずり出されたり、《アトラクティス》本社に呼び出されたりと色々あったせいで、いまのいままで忘れていたのだ。予定を入れなかったのは幸いだった。
 何となくばつが悪いまま、良介は電話に出た。
「もしもし」
「あ、もしもし。有沢君よね?」
 円香の声は、相変わらずハリがある。明日の約束を楽しみにしているように、聞こえないこともない。良介の胸は高鳴った。
「うん」
「いま大丈夫? 話せる? ……かしら?」
「いや、今日電話するって話だったから、月織さんが電話してくるのを待ってたところだよ」
 良介は今の今まで忘れていたことなどおくびにも出さず、そう言った。そうとも知らず、円香の声はいっそう弾んだようだった。
「あ、嬉しいこと言ってくれるなぁ。でも、直前まで行き先については黙ってたの、迷惑だったかな?」
「そんなこと無いって。おかげで今日まで楽しみに出来たしね」
「そう言ってもらえると嬉しいわ。……って、あ! 確認し忘れていたけど、有沢君、まだ関東圏内にいるわよね?」
 今さらそんなことを聞いてくるなんて、月織さんもけっこう迂闊だ。良介は苦笑した。
「うん。一応世田谷区内だよ」
「よかった。ここまで予定合わせといて、もしも鳥取とか青森あたりに住んでいるとか言われたら、計画が水の泡だものね。じゃあ、その場所なんだけど……」
 彼女は待ち合わせの場所に、ある駅を指定した。それを聞いた瞬間、
「ええっ!」
 良介は思わず叫び声を上げた。
 指定されたその駅は、あろう事か……新宿から電車で一本、《乙女座の園》の目の前にある駅だったのだ。

乙女座の園 第6エリア(4)


 (4)

 そんなこんなで良介は今週中、水曜から金曜まで、ごく普通の男物スーツで働いた。良介に対するまわりの態度も、留美の態度が若干硬くなった程度で、今までとあまり変わらず、彼はほっと胸をなで下ろした。
 そうして3日間勤めて、休日の土曜。恋人もいなければ趣味もない良介は、午前中いっぱいかけて部屋の掃除と日用品の買い出しを済ませ、午後はテレビを見ながら、のんびりしていた。
 といっても、心からくつろいでいるわけではない。水曜に社長から聞かされたシリアスな話を思い出していたのだ。
(確かに……なんで、女装を恥ずかしいと思うんだろうな)
 良介も、他人が女装している分にはあまり気にしないだろう。確かに多少の好奇心が疼くのは否定できないところだったが、バカにするつもりもないし、似合っていればいいのではないかと思っている。しかし、自分がすることを考え合わせると、それはそれで問題だ。
 第1に、馴れの問題だ。男性の衣服の場合、よほどのことがない限り肌を露出し、身体のラインを見せることはしない。脚は特にそうだ。しかし女性の服は肌を見せるものが多いし、ミニスカートともなれば、構造そのものからして脚を隠してくれない。男性にとって脚、とりわけ太腿が空気に触れる状態は、まるでパンツ1枚でいるような錯覚に陥るのだ。
 第2に、まわりの目がある。女装をしていると、どうしてもまわりから見られているような錯覚に陥り、落ち着かなくなるのだ。まぁ、家にいるときにも落ち着かないのだから、この理由は付けたりのようなものだけれど。
 そして第3に、男性としての自覚の問題がある。留美の話ではないが、男性がスカートをはくことには、強い違和感を感じる。他人が穿いている場合、特に似合っている場合には、一時的にその人が男性であるという認識を留保できるのだが、自分が穿く場合には不可能だ。そう、他人がスカートを穿いているのに違和感を感じない場合があるのは、あくまでその人を一部「女性」として見ることが出来るからであって、自分の場合には、そんなことは出来はしないのだ。
 しかしどの理由も、「なぜ女装が恥ずかしいのか」に対する、根本的な答えにはなっていない。逆を考えてみれば、ズボンを穿いてボーイッシュな格好をした女の子を変だと思うか、という話になる。いや、もっと突き詰めれば、男物のズボンとシャツを着た女性がいた場合、それを恥ずかしがるだろうか? まわりは、奇異と揶揄の目で彼女を見るだろうか?
 答えはノーだ。よほどのことがない限り、周りは気にも留めないだろう。
 ひるがえって、女装はどうだろうか。すね毛が見苦しくもないロングスカートだとしても、これを穿いた男性が街中を歩いていたら、周りは彼を奇異の目で見るだろうか? 自分がその状態で町を歩かされたら、恥ずかしいと思うだろうか?
 答えはイエスだ。スカートを穿いた男性は、見苦しくなくてさえも、それだけで人目を集める。
 確かにそう考えると、女装と男装の間には、これほどの大きな差があるのだ。その理由はどこにあるのだろう、そして……社長が言った、「根底にある意識」とは、一体何なのだろうか。
 良介はテレビを消し、目を閉じて、ソファの上に転がった。こんな休みの日にさえ、社長の言葉がよみがえってくるなんて。そう考えると、彼女の言葉は自分の心の深いところにある何かに、触れたのだろうか。
 ぼんやりとそんなことを考えながら微睡みかけた、その時だった。

乙女座の園 第6エリア(3)

 (3)

「私は、それを壊したい。男性が女装することを恥ずかしいと思う、そんな社会の意識を。そしてその意識の根底にあるものを」
 晴香が何を言っているのか、良介は今ひとつ掴めない。晴香も、その「意識」や「根底にあるもの」が何なのか、詳しく説明する気はないようだ。そんなところも、彼女らしいといえば彼女らしい。彼女は基本的に、仮説に基づくことは口にしない主義だった。
 良介がぼんやりと考えている間にも、晴香の独白は続いていた。
「そのための手段として、まずは、女性が望むものを実現するようなテーマパークを作った。女性が本当に着たい服を着られるような社会にすることも、私の夢にとっては重要な一歩だったから」
 この言葉を聞いて、良介には思い当たることがあった。彼は思わず口を挟んだ。
「それって、もしかして」
「ええ、《乙女座の園》のことよ」
 晴香は首肯した。
「女性が望む、美しい夢に満ちた世界。《乙女座の園》のグッズショップで沢山の服を取り扱ったのも、《乙女座の園》を発信源にして、女性が可愛い服を着る風潮を作りたかったから。ロリィタ服が流行り、子供服のような可愛い服を着る女性が増えている今、勝算は低くないと思っていたわ」
 良介は晴香の慧眼に脱帽した。確かに、《乙女座の園》は開園直後の大混雑のあとも、堅調に客足を伸ばしている。グッズショップの売り上げも好調で、しかも原宿を中心に、普段着として着ている人さえ増えていた。とある女性ファッション誌で、《乙女座の園》で売られている衣装の着こなしスタイルが紹介されるほどだった。
「じゃあ、社長の夢に向けた第一段階は、割と上手くいってるんですね」
「まぁね。そしてこうすることで、人々のファッションに対する考え方を変えていければと思ったの」
「ファッションに対する、考え方……?」
「ええ。大人の女性だから大人向けの服しか着ない。男性だから、女性向けの服は着ない。そういう考え方。……その逆は、あるわよね。最近の子供は大人っぽい、洒落た服を着る子も多いし、女性でも男性の服を着る人がいるのは……さっきも言ったと思うけど、もう日常的な風景にになりつつある」
「…………」
「《乙女座の園》のプロジェクトでは、大人の女性が子供っぽい服を着るように仕向けるかたちで、取り組むことが出来た。なんとか上手い具合に『ファッションの一部』にまで持っていくことが出来たわ」
 晴香はここで、良介の方を振り向いた。口元には、楽しげな笑みが浮かんでいた。
「この次に私が取り組むのは、当然、男性が女性の服を着ることに対する抵抗感を無くすためのプロジェクト。それも、学園祭や忘年会のジョークではなく、本当に、男性がスカートをはいていても誰も何とも思わないような、そんな社会を目指す取り組みよ。そのために何をするのかは、まだ考えている最中だけど……いずれ、やってみせるわ。この社会を変えていくために、ね」

乙女座の園 第6エリア(2)

 (2)

「女性が男性の服を着ることについては、ほとんど抵抗は無いわよね。たとえば、ズボンを穿いたりね。もう、ファッションの一部として定着しているわ。私だってここ数年、スカートをはいたことなんてないし」
 黒谷晴香社長は、そんな言葉で語り始めた。説得ではなく、心の中の疑問をそのまま吐き出しているような、率直な言葉だった。
「でも、その逆に対しては、いまだに世間の目は冷たい。男性がスカートをはいたら、ファッションではなく単なる女装趣味だと思われてしまう。そして、奇異と好奇と軽侮の目を向けられる。最近だとニューハーフアイドルなんてもてはやされているし、テレビでも頻繁に出てくるようになったけど……それでも、本当の意味で女装が認められているのかと言えば、大いに疑問ね」
「…………」
「何故? なんで? どうして男性が、女物の服を着てはいけないのかしら。確かに、似合う似合わないの問題もあるでしょう。男性の方が女性よりも体格はしっかりしているから、女物のシャツはサイズが合わなくて似合わないことが多い。けれどスカートだったら、腰回りや丈が問題になるだけで、見苦しくないようにすれば問題ないはずよね。ロングスカートならすね毛も目立たないし、それこそ体毛処理してストッキングをはけば、ほとんど問題はないわ」
「…………」
「脚が太くて筋肉質だから見苦しい、なんて言わないでよ。スコットランドのキルトなんかは、男性の正装としてスカートが使われているんだし、しかもその姿は立派だと思われているんだからね。要するに、男性がスカートをはくのがおかしいかどうかなんて、あくまで社会的な感覚にすぎないのよ」
 よほど今まで、自分の中で疑問を反芻してきたのだろう。彼女の言葉には迷いがない。良介の反論など、すぐに封じてしまえそうな説得力がある。
「今の社会では、何故か、男性が女装をするのはとても恥ずべきこと、軽蔑すべきことのように思われている。どうしてかしらね、有沢君」
「それは…………」
 晴香の気迫に飲まれ、良介は思わず言葉に詰まった。しかし晴香は、立てつづけに別の疑問を口にした。
「女性の男装は良くて、男性の女装はダメ。その、理由は? 見苦しくもないのに、男性の女装がここまで揶揄され、恥ずべきことのように言われるのは何故?」
 良介は、答えられなかった。晴香がここまで突き詰めて考えているものに、その場で考えた程度の安易な答えを、返すべきではなかった。
 晴香にも、そんな彼の考えは判っているのだろう。良介の答えを待たずに、言葉を続けた。
「私には、ある一つの仮説がある。もしかしたらこうなんじゃないか、って言う仮説がね。そして、もしもその答えが、私の考えているとおりなら……」
「…………」
「私は、それを壊したいの」
良介は思わず、晴香を見た。彼女は決然とした、それでいて見上げるほどに高い壁を睨むような絶望をこめた眼差しで、半分ほど残ったアイス・コーヒーのグラスを、じっと見つめていた。

«  | HOME |  »