スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
テンプレ変更。
神無月です。
以前から、黒地のテンプレートは読みづらいかなと感じておりましたので、さっぱりとしたデザインのものに変更しました。以後はこれでいきますので、どうぞよろしくっ。
以前から、黒地のテンプレートは読みづらいかなと感じておりましたので、さっぱりとしたデザインのものに変更しました。以後はこれでいきますので、どうぞよろしくっ。
乙女座の園 第7エリア(1)
第7エリア ナイトパレード《Cendorillons》
(1)
良介が、円香と待ち合わせをした《乙女座の園》最寄り駅に到着したとき、約束の時間までまだ10分ほどあった。
駅前には《乙女座の園》に向かうための待ち合わせだろうか、かなり多くの女性がいる。リピーターなのか、《乙女座の園》の中で売られているドレスやカチューシャを身につけている人も多い。それを見ていると、良介はちょっと嬉しくなった。
駅前は、お世辞にもテーマパーク前の雰囲気を醸し出しているとは言いがたいものだった。小さなロータリー。どこにでもありそうな駅ビル。せいぜい、《乙女座の園》へ向かう道に向けて、判りやすい案内がある程度だ。
それを見ながら良介は、これはこの町にも働きかけて、駅前そのものから作り替えてもらえるよう働きかけた方が良いかしらん、と考えていた。手帳を取り出して、駅前で改善すべきポイントを書き出していく。
まずはこの駅ビルだ。もうちょっとメルヒェンなものにしてもらった方が良いだろう。舞浜のように、駅を下りた瞬間から夢の国を思わせるようにした方が圧倒的に有利だ。また、舞浜と違うのは、この辺りにはまだまだ工業地帯の名残が残ってることだ。これは、なかなか上手くは行かないかも知れない。
などと考えていると、
「お待たせー!」
背後から女性の声が聞こえた。振り向くと、向こうから月織円香が走ってくるのが見えた。良介に向かって、満面の笑みを浮かべている。学生時代には冷たい美人という感じだったが、こうして笑顔を見せると、伶俐な印象はそのままに華やかさを増していた。
良介の前まで来ると、彼女は肩で息をついた。
「ごめーん、有沢くん。待った?」
「全然。今来たところ。それに、まだ約束の時間には早いくらいだし」
良介は笑って時計を見る。約束の時間の五分前だった。
「それにしても、あんな遠目で、良く俺だって判ったね」
「うーん。あんまり迷わなかったな。ほら、顔じゃなくて背格好が、有沢君みたいに細い男の子って珍しいから」
「嬉しいのか、嬉しくないのか……」
円香の言葉に、良介は大げさに肩を落とす。円香はその方をぱんぱんと叩いて、
「気にしない気にしない。大体あたしだって、ちっとも女の子らしい体格じゃないもの」
「そう? 月織さんは……」
良介は改めて円香の全身を眺め、反対するような言葉を言おうとして……ちょっと押し黙った。確かに彼女は、「女の子」らしい体格ではなかった。
学生のころは、背も高く、モデルばりのスタイルで男子学生の視線を集めていた彼女だが、こうしてみると、確かに背は高いものの胸は薄く、体つきもがっしりしている。無駄な肉は付いていないが、逆に「女の子」らしくはなかった。むしろ、アメリカのスーパーウーマンを思わせる。しかし胸が小さいため、グラマラスなモデル体型でもなく、どうにも中途半端だった。
とっさにどうフォローすればよいか判らず、良介は言葉を失った。
(1)
良介が、円香と待ち合わせをした《乙女座の園》最寄り駅に到着したとき、約束の時間までまだ10分ほどあった。
駅前には《乙女座の園》に向かうための待ち合わせだろうか、かなり多くの女性がいる。リピーターなのか、《乙女座の園》の中で売られているドレスやカチューシャを身につけている人も多い。それを見ていると、良介はちょっと嬉しくなった。
駅前は、お世辞にもテーマパーク前の雰囲気を醸し出しているとは言いがたいものだった。小さなロータリー。どこにでもありそうな駅ビル。せいぜい、《乙女座の園》へ向かう道に向けて、判りやすい案内がある程度だ。
それを見ながら良介は、これはこの町にも働きかけて、駅前そのものから作り替えてもらえるよう働きかけた方が良いかしらん、と考えていた。手帳を取り出して、駅前で改善すべきポイントを書き出していく。
まずはこの駅ビルだ。もうちょっとメルヒェンなものにしてもらった方が良いだろう。舞浜のように、駅を下りた瞬間から夢の国を思わせるようにした方が圧倒的に有利だ。また、舞浜と違うのは、この辺りにはまだまだ工業地帯の名残が残ってることだ。これは、なかなか上手くは行かないかも知れない。
などと考えていると、
「お待たせー!」
背後から女性の声が聞こえた。振り向くと、向こうから月織円香が走ってくるのが見えた。良介に向かって、満面の笑みを浮かべている。学生時代には冷たい美人という感じだったが、こうして笑顔を見せると、伶俐な印象はそのままに華やかさを増していた。
良介の前まで来ると、彼女は肩で息をついた。
「ごめーん、有沢くん。待った?」
「全然。今来たところ。それに、まだ約束の時間には早いくらいだし」
良介は笑って時計を見る。約束の時間の五分前だった。
「それにしても、あんな遠目で、良く俺だって判ったね」
「うーん。あんまり迷わなかったな。ほら、顔じゃなくて背格好が、有沢君みたいに細い男の子って珍しいから」
「嬉しいのか、嬉しくないのか……」
円香の言葉に、良介は大げさに肩を落とす。円香はその方をぱんぱんと叩いて、
「気にしない気にしない。大体あたしだって、ちっとも女の子らしい体格じゃないもの」
「そう? 月織さんは……」
良介は改めて円香の全身を眺め、反対するような言葉を言おうとして……ちょっと押し黙った。確かに彼女は、「女の子」らしい体格ではなかった。
学生のころは、背も高く、モデルばりのスタイルで男子学生の視線を集めていた彼女だが、こうしてみると、確かに背は高いものの胸は薄く、体つきもがっしりしている。無駄な肉は付いていないが、逆に「女の子」らしくはなかった。むしろ、アメリカのスーパーウーマンを思わせる。しかし胸が小さいため、グラマラスなモデル体型でもなく、どうにも中途半端だった。
とっさにどうフォローすればよいか判らず、良介は言葉を失った。