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十月兔

強制女装を中心とした小説・イラストのブログです。

2009-04

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体験入学 第三章(9)


(9)

「おい、帰ったぞ」
「おかえりなさいませ、ご主人様」
 一五時ジャスト。玄関のドアが開いたとき、武生は指定された衣装――「HE3」一枚の姿で、玄関先の廊下で三つ指ついて、頭を下げた。
 それは衣装といっていいものかどうか。HE3――それはハートエプロンの略号で、4枚ある内の一枚だった。指定されたHE3は、特に新妻らしさを前面に出したデザインで、胸元に大きなハートが付いているのは他のハートエプロン同様だったが、レースやリボンなど無駄に装飾が多い。およそ料理を作るときに使うものとは思えないデザインのエプロンだ。背中でクロスさせる肩紐には大きなフリルがつけられて、腰の後ろで結ぶおおきなリボンが目立つ。
 しかし、逆に言えばそれだけだ。前半身を隠すのは、ハート型の前当てと、ミニスカートよりさらに短い布きれだけ。後半身に至っては、たった四本のリボンと結び目だけしか身体を隠してくれない。
 服を脱ぎ、下着を脱ぎ、未だ震えるローターを外した上で、そのハートエプロン一枚になり、廊下に膝をついて自分の妹を迎える。さっきあれほどの恥辱を与えた相手に、貞節な妻として頭を下げなければならない。いい加減恥ずかしいことはしつくしたと思っていた武生でも、これはあまりに辛かった。
 マンションのリビングには、「夫を出迎える奴隷妻のたしなみ」という冊子が置かれていた。どうやらこれが、指示の中にある「マニュアル」らしい。その冊子はどう見ても、SMプレイをする人向けに作られたものだった。知香を迎えるためにそれを読み、一生懸命覚えるのも、武生にとっては屈辱的だった。
 そのマニュアルにあるとおり、武生は精一杯、従順な奴隷妻らしい言葉遣いで言った。
「今日もお疲れ様でございました、ご主人様。お食事になさいますか? それとも、お風呂になさいますか?」
「ふん」
 知香はじろりと「妻」を見た。いまの知香は黒いスーツを着て、男性のような装いだ。知香は靴下を脱いで、それを「妻」の頭の上に放った。武生の頭の上にかかる靴下の重み。自分が靴下以下の存在だと、否応なく知らされる。それだけでは足りず、知香は裸足の足を、彼が頭を下げている床の前につきだした。
「お前、自分の立場を判ってるのか? お前は卑しい奴隷妻なんだぞ。そんな中途半端な頭の下げ方で済まされると思ってるなんて……主人を馬鹿にしてるのか? ほら、罰としてこいつを舐めな」
「はい、申し訳ありませんでした、ご主人様。おみ足を舐めさせてくださいませ」
 革靴を履いてきたせいか、彼女の足は少しすえたような臭いがする。その臭いに耐えながら、武生は彼女の足を舐めた。舌を尽きだして舐めていると、
「ふん、舌の使い方は上手いじゃないか。さぞ、男相手に練習したんだろうなぁ。一体いままで何人の**を咥えてきたんだ? え? そら、今度は指を咥えてみろ」
「は、はひ……むぐ、あむ……」
 妻をいたぶる粗暴な夫そのままの言動で、知香は「妻」に、足の指をくわえさせる。しばらく咥えさせたところで満足したのか、彼女は足を軽く引くと、――武生の顔面を、野良犬を追い払うような仕草で蹴飛ばした。
「きゃあぁっ!」
 力はこもっていないとはいえ、水泳で鍛えた知香の脚力で顔面を蹴飛ばされ、武生は悲鳴を上げて廊下に転がる。
 それを聞いた知香は、けらけらと笑う。先ほどまでの「夫」を演じていたときとは違う、妹本来の笑い方。しかしそこには、果てしない邪悪さがあった。
「良い声で啼くね、兄ぃ。ハートエプロンもばっちり似合ってるしさ、本当に兄ぃ、男?」
「ち、知香……」
 聞きたいこと、言いたいことはいっぱいあった。しかし知香が取り合ってくれるとは、とても思えなかった。知香はにやにやと笑って、実の兄を追い詰めていく。
「今日この日、兄ぃはあたしの貞淑な妻として、一夜の契りを結んであげる。まぁ、あたしにとっては五人いる妻のうちの一人に過ぎないわけだけど、可愛がってあげるわよ。……あたしが、飽きるまでの間はね」

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