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十月兔

強制女装を中心とした小説・イラストのブログです。

2010-05

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『女児転生』 第一章(18)

GW更新第5弾。とりあえずこれで、『女児転生』の第一章は終了です。明日から、第二章に入ります。
 主人公の山野君は、今までの主人公とはやや違うので、書いていてなかなか新鮮です。抵抗する気力もなく流されてしまうのではなく、行動力もしっかりした意志もあり、きちんと抵抗しようとします。でもけっきょく、ひどい目に遭うのは同じですが(笑)

 前置きが長くなるのもなんですので、さっそくどうぞ。

  (18)

 けっきょくチャイムが鳴ってから一分と経たないうち、周りじゅうのクラスから大量の生徒が俺のクラスに押し寄せた。もちろん目当ては、女児用下着+黄色い丸つば帽だけで黒板の前に立たされている俺を見るため。俺はうつむいたまま、ひたすら彼らの視線に耐えつづけた。その間、俺が黙っているのをいいことに、佐々木莉子が俺の日常生活についてないことないこと吹聴していた。
 さらに、俺のクラスでは女子が着替えをおこなうため、俺は下着姿で教室を追い出され、教室の入口に近い廊下に立たされる羽目になった。先生がいつ帰ってくるか判らないからだ。おかげで通りすがる生徒や先生から、視線が俺の全身に突き刺さった。
 数分がたち、男子と女子があらかた着替え終わって体育のおこなわれる校庭に向かいはじめたころ。ようやく先生が戻ってきて、体操着を渡した。予想通り、紺のラインが入った丸首シャツに、紺のブルマー。下着姿よりはマシかも知れないが、今どき小学生だって穿かないようなブルマーを着て体育の授業に出るのかと思うと、それだけで、いっそこのまま窓から身投げしてやろうかという気分になる。しかし、女児用の下着とブルマー姿を死装束にしたくはない。俺は、一刻も早くこの屈辱的な時間が終わることを願いつつ、とぼとぼと校庭に向かった。
 しかしそこで言い渡されたのは、
「あー、山野。いまさっき酒匂先生から連絡があってな、お前を、女子の体育に参加させるように、とのことだ。そんな格好をしているんだし、女子のほうで授業を受けてこい」
 さわやか系の顔に優柔不断な表情を浮かべた体育教師は、なんとも頼りないことを言って、俺を体育館へと追いやった。
 校庭と体育館はかなり離れている。ブルマー姿で太腿を露出させて校内を歩く俺を、通り過ぎる誰もがじっと見つめ、俺は泣きそうだった。
 女子の体育はバレーボールだった。飛び入りで参加させられた俺は、「まずは基本の練習からね」と言われ、女子たちのシュート練習の反対側で、レシーブの練習をさせられた。バレー部の子などが俺に向かって強烈なスパイクを打ち、受け止めきれずに床に転がる。体育館には、ずっと女子の嘲笑が満ちていた。
 腕の内側に青あざを作りながら、それでも五〇分の授業は終わる。しかし、俺にとっての悪夢はこれからだった。
「愛美ちゃん? 教室に戻る前に、ちょっとお掃除手伝ってくれる?」
 佐々木莉子を中心とする女子のグループに捕まった俺は、ブルマーを脱がされ、体操着のシャツに白いショーツという変態的な姿で、体育館のモップがけをやらされた。用意のいいことに、莉子たちはひな壇に円座をなしてお弁当をつつきながら、俺の姿を見て笑いかわしていた。彼女たちが携帯で誰かに電話をかけるたび、どんどん人数は増えていって、最終的には三十人くらいの女子生徒が、ひな壇にたむろった。
 床全体を吹き終えた頃、ようやく授業開始のチャイムが鳴り──俺はやっと、掃除から解放されてブルマーを穿くことを許された。
 そして女子に囲まれて、俺はそのまま教室に──向かわなかった。
「あ、ちょっと愛美ちゃん、どこに行くの!?」
 背後で叫ぶ女子に構わず、俺は女子の輪をくぐり抜けると、体育館を飛び出した。このままここにいても、事態は悪化するばかりだ。俺はそう判断して、ブルマー姿のまま学校を飛び出した。荷物も何もかも教室に置いたままだが、そんなものはあとで取り返しに来ればいい。ブルマーで街中を歩くのは、校内とは比較にならないほどの屈辱だったが、それだって、先生や莉子が下校のときに男子制服を返してくれる保証はないのだ。教室に戻って残りの授業時間まで恥ずかしい思いをしたあげく、女児小学生みたいな制服を着せられて下校しなければならないことを考えれば、たとえブルマー姿だろうが、いますぐ学校を飛び出した方がマシだと判断したのだ。
 ──しかし、学校から家までの距離を考えなかったのは、とんだ誤算だった。
 家から学校まで、バスで三十分。直線距離でも、家まで歩いて四五分はある。俺はその四五分の道のりを、人目を引くブルマー姿で歩かなければならなかった。あまりにも単純なミスに、自分の迂闊を呪ってみるが、今さら学校に戻るわけにも行かない。俺は精一杯の早足で、ほとんど半べそをかきながら、なるべく人通りのない道を歩き、家に帰り着いた。
 そして、やっと自宅が見えてきたとき、俺はほっと安堵の息をついた。

 しかしそれは、あとから振り返れば、新しい悪夢の時間の始まりでしかなかったのだった。

          『女児転生』第一章 高校生(了)

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