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十月兔

強制女装を中心とした小説・イラストのブログです。

2024-05

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『女児転生』 第二章(14)

  (14)

 少女たち三人に連れられて駅前大通りを歩きながら、俺は今日一日の間に自分の身に降りかかった災難を反芻していた。
 いきなり小学校の女児制服のようなものを着せられて授業を受け、さらにブルマー姿で体育。そのまま、ブルマー姿で街中を走り回ったあげく、今度は秋穂ちゃんの家で子供用のドレスみたいな服だの、サンドレスだの、最終的にはこんな幼稚園児みたいな服を着せられている。
 「日本のいちばん長い日」、と言うタイトルの映画があったが、今日は俺にとって、人生でいちばん長い日になりそうだった。
 すべてが悪い夢としか思えなかった。いや、そうだったらどれほど良いだろうか。
「ほらほらお兄ちゃん、なにを泣きそうな顔しているのよ」
 冬花ちゃんがのぞきこんでくる。「お兄ちゃん」なんて呼びかけはやめて欲しいのに……とおもうが、彼女のことだ、もちろん俺が嫌がるのなんててんからお見通しだろう。判った上でやっているのだから、何を言っても無駄だ。
 しかし効果は絶大で、ただでさえ身長157センチ、中学生くらいの身長の俺が幼稚園児のスモックを着ているのは目立つのに、明らかに小学生くらいの女の子から「お兄ちゃん」と呼びかけられているのだから、聞きつけた周りの人間はぎょっとしている。ひそひそささやく彼らの声まで、聞こえてきそうだった。
「なにを恥ずかしがってるのよ、今さら」
 さらにこちらもわざとだろう、有里奈ちゃんが、冷然たる声を放った。
「その図体で園児服を着ている時点で、中身が中学生の女の子だろうが、高校生の男の子だろうが、大した違いはないと思うけど? どのみち周りからは変態と思われているんだから、冬花の言葉一つで動揺することもないでしょ」
 俺は言い返せず、ただうつむいて足を動かすことしかできなかった。女の子は小学生から強烈な毒を吐くと言うが、彼女たちはまさにその実証だと思う。
 もっとも、悪意がなければ良いという問題でもなくて──
「大丈夫だよ、冬花ちゃん、有里奈ちゃん!」
 三人の少女の中ではいちばん言動が幼い秋穂ちゃんが、無邪気な笑顔で言った。
「お兄ちゃん、ちゃんと似合ってるもん! みんな、こうこうせーのお兄ちゃんだなんて思わないよ!」
「~~~~~~~~!」
 余計なフォローをいれるな! ……という言葉が喉の奥まで出かかるが、俺は必死でそれを嚥み下だす。冬花ちゃんたちとは別の意味で、秋穂ちゃんには何を言っても無駄なのだ。俺はぐっとこらえて黙り込む。
「良かったわね、お兄ちゃん。ちゃんと幼稚園児の女の子に見えてるって」
 少女三人にからかわれて歩くうち、俺はいつしか駅の近くまできていた。制服姿の中高生や、大学生くらいのグループでごった返している。これだけ大勢の人がいるのだ、もしかしたらクラスメイトや知り合いの人がいるんじゃないだろうか、と不安がよぎったとき、

 ────!?

 ……ちょっと待て。
 今日何度目かの、嫌な予感がした。向こうから歩いてくる人影に、見覚えがあった。まさか、あれは、もしかして──
「あっ!」
 秋穂ちゃんが、大声を張り上げた。俺の視線の先にいる人物を指さして、
「ねぇねぇ、あそこにいるの、もしかして──」

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