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長編『禁じられた遊び』 (3)
『禁じられた遊び』
上村 大海(うえむら ひろみ)……中学一年生の少年。
天野 聡子(あまの さとこ)……大海の同級生。
(前回のお話)
第一章 制服遊戯 (3)
「上村君、行きましょ」
放課後、大人しく教室に残っていたぼくに、天野さんが近づいてきた。まだ着替えていない、ジャージ姿だった。体操着の胸元を、二つの大きな乳房が押し上げている。
「行くって、どこへ……?」
「空き教室があるの。さ、荷物を持って。行きましょ」
天野さんはぼくを連れて、教室を出ると、職員室に向かった。
彼女は平然と職員室に入っていくと、沢山の先生が見ている前で、堂々と中に入って鍵束を手に入れて出てくる。入り口で待っていたぼくのほうが、びっくりするくらい簡単に。
「ね、ねぇ、勝手に持ってきて、大丈夫なの?」
「大丈夫よ。化学室やあとでちゃんと戻しておけば、空き教室の鍵くらい誰も気にしないから」
そう言って、彼女はどんどん歩いていき、四階の片隅にある空き教室に連れてきた。授業などには使われていない、ただ机や椅子が教室の後ろ半分に積まれているだけの部屋だ。
遮光カーテンの隙間から、茜色の日差しが差し込んでいる。
教室全体が、ほのかに発光するような夕陽色に包まれていた。
天野さんは荷物を机の上に置くと、ぼくの顔をまっすぐに見て、とんでもないことを言い出した。
「ねぇ、上村君。正直に答えて」
「な、なに?」
「上村君――女子の制服を、着てみたいんでしょ?」
「うっ……」
ぼくは返事に詰まる。
それは彼女が、予想もしなかったことを言い出したからではなかった。むしろ、予想通り――いや、ぼくが期待した通りのことを言ってくれたからだ。
もしかしたら、女子制服を着せてもらえるかもしれない――
羞恥心に、全身がむず痒いほどだった。
ここでもし女子制服を着せられたら、それがどんな結果を生むのかわからない。他の生徒たちに噂が飛び火して、普段から女子制服を着せられてしまうかもしれない。あるいは、オカマとか変態とか言われて、いじめにあうかもしれない。
けれど、ぼくはあえて彼女の言葉を否定しなかった。
だって夢にも見た、女子制服を着られるかもしれないチャンスなのだから。
(続く)
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