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『女児転生』 第二章(14)
(14)
少女たち三人に連れられて駅前大通りを歩きながら、俺は今日一日の間に自分の身に降りかかった災難を反芻していた。
いきなり小学校の女児制服のようなものを着せられて授業を受け、さらにブルマー姿で体育。そのまま、ブルマー姿で街中を走り回ったあげく、今度は秋穂ちゃんの家で子供用のドレスみたいな服だの、サンドレスだの、最終的にはこんな幼稚園児みたいな服を着せられている。
「日本のいちばん長い日」、と言うタイトルの映画があったが、今日は俺にとって、人生でいちばん長い日になりそうだった。
すべてが悪い夢としか思えなかった。いや、そうだったらどれほど良いだろうか。
「ほらほらお兄ちゃん、なにを泣きそうな顔しているのよ」
冬花ちゃんがのぞきこんでくる。「お兄ちゃん」なんて呼びかけはやめて欲しいのに……とおもうが、彼女のことだ、もちろん俺が嫌がるのなんててんからお見通しだろう。判った上でやっているのだから、何を言っても無駄だ。
しかし効果は絶大で、ただでさえ身長157センチ、中学生くらいの身長の俺が幼稚園児のスモックを着ているのは目立つのに、明らかに小学生くらいの女の子から「お兄ちゃん」と呼びかけられているのだから、聞きつけた周りの人間はぎょっとしている。ひそひそささやく彼らの声まで、聞こえてきそうだった。
「なにを恥ずかしがってるのよ、今さら」
さらにこちらもわざとだろう、有里奈ちゃんが、冷然たる声を放った。
「その図体で園児服を着ている時点で、中身が中学生の女の子だろうが、高校生の男の子だろうが、大した違いはないと思うけど? どのみち周りからは変態と思われているんだから、冬花の言葉一つで動揺することもないでしょ」
俺は言い返せず、ただうつむいて足を動かすことしかできなかった。女の子は小学生から強烈な毒を吐くと言うが、彼女たちはまさにその実証だと思う。
もっとも、悪意がなければ良いという問題でもなくて──
「大丈夫だよ、冬花ちゃん、有里奈ちゃん!」
三人の少女の中ではいちばん言動が幼い秋穂ちゃんが、無邪気な笑顔で言った。
「お兄ちゃん、ちゃんと似合ってるもん! みんな、こうこうせーのお兄ちゃんだなんて思わないよ!」
「~~~~~~~~!」
余計なフォローをいれるな! ……という言葉が喉の奥まで出かかるが、俺は必死でそれを嚥み下だす。冬花ちゃんたちとは別の意味で、秋穂ちゃんには何を言っても無駄なのだ。俺はぐっとこらえて黙り込む。
「良かったわね、お兄ちゃん。ちゃんと幼稚園児の女の子に見えてるって」
少女三人にからかわれて歩くうち、俺はいつしか駅の近くまできていた。制服姿の中高生や、大学生くらいのグループでごった返している。これだけ大勢の人がいるのだ、もしかしたらクラスメイトや知り合いの人がいるんじゃないだろうか、と不安がよぎったとき、
────!?
……ちょっと待て。
今日何度目かの、嫌な予感がした。向こうから歩いてくる人影に、見覚えがあった。まさか、あれは、もしかして──
「あっ!」
秋穂ちゃんが、大声を張り上げた。俺の視線の先にいる人物を指さして、
「ねぇねぇ、あそこにいるの、もしかして──」
少女たち三人に連れられて駅前大通りを歩きながら、俺は今日一日の間に自分の身に降りかかった災難を反芻していた。
いきなり小学校の女児制服のようなものを着せられて授業を受け、さらにブルマー姿で体育。そのまま、ブルマー姿で街中を走り回ったあげく、今度は秋穂ちゃんの家で子供用のドレスみたいな服だの、サンドレスだの、最終的にはこんな幼稚園児みたいな服を着せられている。
「日本のいちばん長い日」、と言うタイトルの映画があったが、今日は俺にとって、人生でいちばん長い日になりそうだった。
すべてが悪い夢としか思えなかった。いや、そうだったらどれほど良いだろうか。
「ほらほらお兄ちゃん、なにを泣きそうな顔しているのよ」
冬花ちゃんがのぞきこんでくる。「お兄ちゃん」なんて呼びかけはやめて欲しいのに……とおもうが、彼女のことだ、もちろん俺が嫌がるのなんててんからお見通しだろう。判った上でやっているのだから、何を言っても無駄だ。
しかし効果は絶大で、ただでさえ身長157センチ、中学生くらいの身長の俺が幼稚園児のスモックを着ているのは目立つのに、明らかに小学生くらいの女の子から「お兄ちゃん」と呼びかけられているのだから、聞きつけた周りの人間はぎょっとしている。ひそひそささやく彼らの声まで、聞こえてきそうだった。
「なにを恥ずかしがってるのよ、今さら」
さらにこちらもわざとだろう、有里奈ちゃんが、冷然たる声を放った。
「その図体で園児服を着ている時点で、中身が中学生の女の子だろうが、高校生の男の子だろうが、大した違いはないと思うけど? どのみち周りからは変態と思われているんだから、冬花の言葉一つで動揺することもないでしょ」
俺は言い返せず、ただうつむいて足を動かすことしかできなかった。女の子は小学生から強烈な毒を吐くと言うが、彼女たちはまさにその実証だと思う。
もっとも、悪意がなければ良いという問題でもなくて──
「大丈夫だよ、冬花ちゃん、有里奈ちゃん!」
三人の少女の中ではいちばん言動が幼い秋穂ちゃんが、無邪気な笑顔で言った。
「お兄ちゃん、ちゃんと似合ってるもん! みんな、こうこうせーのお兄ちゃんだなんて思わないよ!」
「~~~~~~~~!」
余計なフォローをいれるな! ……という言葉が喉の奥まで出かかるが、俺は必死でそれを嚥み下だす。冬花ちゃんたちとは別の意味で、秋穂ちゃんには何を言っても無駄なのだ。俺はぐっとこらえて黙り込む。
「良かったわね、お兄ちゃん。ちゃんと幼稚園児の女の子に見えてるって」
少女三人にからかわれて歩くうち、俺はいつしか駅の近くまできていた。制服姿の中高生や、大学生くらいのグループでごった返している。これだけ大勢の人がいるのだ、もしかしたらクラスメイトや知り合いの人がいるんじゃないだろうか、と不安がよぎったとき、
────!?
……ちょっと待て。
今日何度目かの、嫌な予感がした。向こうから歩いてくる人影に、見覚えがあった。まさか、あれは、もしかして──
「あっ!」
秋穂ちゃんが、大声を張り上げた。俺の視線の先にいる人物を指さして、
「ねぇねぇ、あそこにいるの、もしかして──」
『女児転生』 第二章(13)
(13)
「な、なにするんだよっ!」
俺はあわてて股間を隠すが、おそかった。そこにいる全員が、すでに俺の股間を目撃してしまっていた。
「わぁっ、おっきくなってる……」
俺の股間をみた秋穂ちゃんが、目を丸くした。みたんだ。スカートの下に穿いた女児用のショーツの前が、もっこりとと膨らんでいるのを。俺のペニスが、大きくなってしまっているのを。
「あらやだ」冬花ちゃんが言った。「さんざんいやだとか何だとか言ってたくせに、ずいぶんと喜んでるじゃない。ほんとうは、かわいい園児服を着せられてうれしかったのね」
「ち、違うっ……!」
「どこが違うのよ。さっきから、ブルマーの下でそんなものを大きくして、よくそんないいわけができたものね」有里奈ちゃんはためいきをついて、「いい加減認めたら? ぼくは女の子の服を着るのが大好きな変態ですって。認めるまでもなく、周りからはそうとしか見えないんだけど」
違う。俺は無理矢理、女の子の服を着せられているだけだ。そういおうとしたものの、唇は糊で貼り付けたように動かない。
そこへ秋穂ちゃんが、さらなる火種を投下する。
「ねーねー、何でお兄ちゃんのおちんちん、おっきくなってたのー?」
「あー、秋穂は知らないのね」有里奈ちゃんは苦笑して、「男の人のおちんちんってね、大きくなったり小さくなったりするの。特に気持ちいいときに、大きくなるのよ」
「へー、なら、お兄ちゃんはいま気持ちよかったんだ?」
「そ・う・い・う・こ・と。高校生にもなった男が、幼稚園児の服を着て気持ちよくなってるなんて、どう考えても変態よねー」
冬花ちゃんが追い打ちをかける。
逃げ出したくてたまらなかった。しかしいま逃げ出しても事態が好転しないことは明らかだったし、なによりこんな格好で逃げ出す気にはなれない。ブルマー姿で走り回っただけで、あれほど恥ずかしかったのだ。まして園児服で人前を歩き回るなど、まっぴらだ。
「そーなんだー。お兄ちゃん、本当は女の子になりたいの?」
「ち、違うっ! 俺には、そんな趣味はない……!」
誤解だ。俺は必死に、秋穂ちゃんに向かって首を振ったが、
「どこが違うのよ」有里奈ちゃんの白々とした声が、俺の弁明を遮った。「あたしたちが秋穂ちゃんの家に行ったときも、あんなかわいいドレスを着てたじゃない。小学生だって、高学年にもなったら絶対に着ないわよ。たとえどんなに命令されたとしても、ね」
俺は赤面して、沈黙する。今更ながらに、秋穂ちゃんに着せれたふりふりドレスの着心地を思い出す。そして、冬花ちゃんや有里奈ちゃんにお子さまパンツを見られた恥ずかしさも。
「ほーら、やっぱりそうなんじゃない」
冬花ちゃんが、勝ち誇ったように言った。両目には爛々たる光を浮かべ、幼いながらも獰猛性の片鱗をのぞかせている。
「そんなに嬉しいんなら、いまから幼稚園児の女の子として扱ってあげる。……さ、いくわよ」
「行くって、どこへ?」
秋穂ちゃんが無邪気に訊ねる。
冬花ちゃんは薄笑いを浮かべて手招きし、秋穂ちゃんと有里奈ちゃんを近寄らせると、ひそひそ内緒話を始めた。秋穂ちゃんは面白そうに、有里奈ちゃんは無表情に、冬花ちゃんの話を聞いていたが、
「うん、それ、楽しそーっ! 行こう、行こっ!」
「まったく、冬花ってば悪趣味ね。やるんなら付き合うけど」
友達ふたりの答えに、冬花ちゃんはにやりと笑う。そして、俺の腕に抱きつくように、腕を絡めてきた。
とっさに、彼女の手を振り払うべきかどうか迷う。これまでのことを考えると、このまま冬花ちゃんの言いなりになっていたら、さらにとんでもない事態に巻き込まれることは、目に見えていた。けれど──
「逃げたければ、逃げても良いのよ? でもこの店は駅前だし、そんな格好で駆け回ったら、ずいぶんたくさんの人に見られて、話題になるでしょーね。お兄さんの同級生がいたりしたら、もう二度と学校に行けなくなるわよ?」
「…………」
考えないようにしていた最悪の想像を吹き込まれ、俺は硬直した。
「きまりね。寧々さーん、それじゃ、おじゃましましたー」
「ええ、また近いうち、その子を連れてきてね」
「うん!」
寧々さんの言葉に勝手にこたえると、俺の腕を引いて歩き出した。
「さ、行くわよお兄ちゃん。……って言うのも変か。こんな幼稚園児の服を着てるんじゃ、お兄ちゃんって感じじゃないもんねー。でも、お兄ちゃんはお兄ちゃんなんだし、それで良いよね? もし良ければ、お兄ちゃんの好きなように呼んであげるけど」
俺はなにも答えられなかった。
ただ痛いほど唇を噛みしめながら、冬花ちゃんたちに引きずられるようにして、店の外へ出た。駅前の大通りには、休日の夕方とあって大勢の人が行き交い、夕焼けの日差しが俺の園児服を照らし出す。
(み、見られてる……)
焼けるような日差しよりも、大通りに出た瞬間に周囲から向けられた眼差しのほうが、肌にぴりぴりと突き刺さるような気がした。
『女児転生』 第二章(12)
(12)
その一言とともに目の前に渡された服を見て、俺は絶句した。
ピンクのスモック。丸襟がついていて、胸元でピンク無地とギンガムが切り替えになっている。スカートもピンクのギンガムチェックで、こんなものを着て出かけることを考えただけで、恥ずかしくなる。
俺は両手にその服を抱えたまま硬直する。いくら、いまの姿が恥ずかしい下着姿だとしても、これを着るのには抵抗があった。
「う……や、やだ…………」
「あらあら、服を着るのが嫌だなんて、まるでちっちゃい子供みたい。幼稚園くらいまでの子供って、服を着るのを嫌がるんだもの」
寧々さんの絡みつくような声が、笑った。
「でもだめよ、山野くんは、可愛い可愛い女の子なんだから。下着で街中を歩き回ったら、すぐに変なおじちゃんに目をつけられちゃうわよ。ささ、おとなしく、おべべをきましょうねー」
そして俺は、その服をむりやり着せつけられた。スモックにスカートだなんて、本当に幼稚園児の女の子みたいだ。しかもリアル小学生女児から見られ、「可愛い」だの「似合ってる」だの言われるのだから、俺はいますぐこの場を逃げ出したくなる衝動に駆られた。
しかしまさか下着姿で制服店を飛び出すわけにも行かず、俺はぐっとこらえて、スモックの背中側に並んだボタンが留められるのに任せる。スカートを穿き、レースつきの靴下を穿き(サンダル履きで裸足だったのだ)、円いつばのついたカンカン帽をかぶり、さらにピンクのスニーカーを履いて、肩に赤い通学鞄を斜がけにされると──
「ほら、できた」
「わぁ、お兄ちゃん、かわいい!」
秋穂ちゃんが嬉しそうに叫ぶ。
「うぬぅ。リアル小学生のあたしよりも可愛いじゃんか。ねーお兄さん、あなた本当に男子高校生? チンコついてるの?」
「冬花、リアル小学生と言いながらおばさんぽすぎ。でも確かに似合ってるよね。何だか、あたしたちの方が小さくなったような気分がしてきたわ」
俺はじっと唇を噛んで、盛り上がる女の子たちから目を逸らした。しかし、たまたま逸らした目線の先には、よりにもよって鏡があり──俺は自分の姿を直視してしまう。
鏡の中に立つ、幼稚園児の姿を。
スモックにスカート、そして幼稚園児御用達のバッグや帽子。どう見ても幼稚園児だ。顔は確かに俺のもので、少年とも少女ともつかない中途半端な、アンバランスさを感じさせる。そしてその表情。俺自身はまったく意識していなかったが、鏡に映る自分の顔は、両目を潤ませ、いまにも泣きそうな表情だった。それは服装とも相俟って、俺のいまの姿をいっそう幼女めいて見せている。
「お着替えは、そのバッグの中に入れておいたからね。試着期間は一週間だから、来週までには、お店に返しに来ること。そうだ、どうせだから、秋穂ちゃんとおそろいの制服を作る?」
「うん、作る!」
叫んだのはもちろん俺ではなくて、秋穂ちゃんだった。それを有里奈ちゃんが押しとどめ、
「ちょっと、買うのはお金もかかるし、どうせならあたしか冬花のお下がりをあげれば、それでいいじゃない」
眼鏡の奥で、有里奈ちゃんの両目がキラリと光る。さっきまで興味なさそうにしてたのにおかしいな──と思ったけれど、
「へー、有里奈もノリノリじゃない。なんだかんだ言って、このお兄ちゃんを女の子扱いするのが、楽しいんでしょ」
「違うってば。その……目の前で無駄遣いしている人を見ると、ついつい口を出しちゃうだけ」
単に倹約家根性に火がついただけのようだ。小学生にして、なかなか頼もしい女の子だった。
しかし寧々さんは、
「うーん、残念ねぇ。ネームを入れたり、サイズぴったりのを着せたりすると、もっと楽しいかと思ったんだけど」
「お下がりで充分よ。私の制服ならお兄ちゃんだって着られるだろうし、それに──変態のお兄ちゃんには、あたしたちみたいな小学生のお下がりのほうが、嬉しいんじゃないかな?」
言うなり、有里奈ちゃんはぞっとするようなさげすみの目で、俺を見た。
とつぜんの友人の豹変に、秋穂ちゃんと冬花ちゃんも戸惑っている。
「ちょっと、どしたの有里奈。急に怖い顔をして」
「有里奈ー、なんでお兄ちゃんがヘンタイなの?」
「変態よ。高校生にもなった男が、こんな服を着せられてろくに抵抗もせずにいるなんて、楽しんでるとしか思えないもん。年下の女の子にいじめられて、女の子の服を着せられるのが大好きな変態なのよ」
楽しんでなんかいるものか。俺は反射的に言い返そうと口を開きかけたが、
「だってこの人──」
有里奈ちゃんはそう言って、俺に一歩近づき、
「ここ、こんなにしてるじゃない」
ぱっと伸ばされた彼女の手が、俺のスカートをまくり上げた!
* * *
追記。
性転換モノとS妹モノのご紹介。
その一言とともに目の前に渡された服を見て、俺は絶句した。
ピンクのスモック。丸襟がついていて、胸元でピンク無地とギンガムが切り替えになっている。スカートもピンクのギンガムチェックで、こんなものを着て出かけることを考えただけで、恥ずかしくなる。
俺は両手にその服を抱えたまま硬直する。いくら、いまの姿が恥ずかしい下着姿だとしても、これを着るのには抵抗があった。
「う……や、やだ…………」
「あらあら、服を着るのが嫌だなんて、まるでちっちゃい子供みたい。幼稚園くらいまでの子供って、服を着るのを嫌がるんだもの」
寧々さんの絡みつくような声が、笑った。
「でもだめよ、山野くんは、可愛い可愛い女の子なんだから。下着で街中を歩き回ったら、すぐに変なおじちゃんに目をつけられちゃうわよ。ささ、おとなしく、おべべをきましょうねー」
そして俺は、その服をむりやり着せつけられた。スモックにスカートだなんて、本当に幼稚園児の女の子みたいだ。しかもリアル小学生女児から見られ、「可愛い」だの「似合ってる」だの言われるのだから、俺はいますぐこの場を逃げ出したくなる衝動に駆られた。
しかしまさか下着姿で制服店を飛び出すわけにも行かず、俺はぐっとこらえて、スモックの背中側に並んだボタンが留められるのに任せる。スカートを穿き、レースつきの靴下を穿き(サンダル履きで裸足だったのだ)、円いつばのついたカンカン帽をかぶり、さらにピンクのスニーカーを履いて、肩に赤い通学鞄を斜がけにされると──
「ほら、できた」
「わぁ、お兄ちゃん、かわいい!」
秋穂ちゃんが嬉しそうに叫ぶ。
「うぬぅ。リアル小学生のあたしよりも可愛いじゃんか。ねーお兄さん、あなた本当に男子高校生? チンコついてるの?」
「冬花、リアル小学生と言いながらおばさんぽすぎ。でも確かに似合ってるよね。何だか、あたしたちの方が小さくなったような気分がしてきたわ」
俺はじっと唇を噛んで、盛り上がる女の子たちから目を逸らした。しかし、たまたま逸らした目線の先には、よりにもよって鏡があり──俺は自分の姿を直視してしまう。
鏡の中に立つ、幼稚園児の姿を。
スモックにスカート、そして幼稚園児御用達のバッグや帽子。どう見ても幼稚園児だ。顔は確かに俺のもので、少年とも少女ともつかない中途半端な、アンバランスさを感じさせる。そしてその表情。俺自身はまったく意識していなかったが、鏡に映る自分の顔は、両目を潤ませ、いまにも泣きそうな表情だった。それは服装とも相俟って、俺のいまの姿をいっそう幼女めいて見せている。
「お着替えは、そのバッグの中に入れておいたからね。試着期間は一週間だから、来週までには、お店に返しに来ること。そうだ、どうせだから、秋穂ちゃんとおそろいの制服を作る?」
「うん、作る!」
叫んだのはもちろん俺ではなくて、秋穂ちゃんだった。それを有里奈ちゃんが押しとどめ、
「ちょっと、買うのはお金もかかるし、どうせならあたしか冬花のお下がりをあげれば、それでいいじゃない」
眼鏡の奥で、有里奈ちゃんの両目がキラリと光る。さっきまで興味なさそうにしてたのにおかしいな──と思ったけれど、
「へー、有里奈もノリノリじゃない。なんだかんだ言って、このお兄ちゃんを女の子扱いするのが、楽しいんでしょ」
「違うってば。その……目の前で無駄遣いしている人を見ると、ついつい口を出しちゃうだけ」
単に倹約家根性に火がついただけのようだ。小学生にして、なかなか頼もしい女の子だった。
しかし寧々さんは、
「うーん、残念ねぇ。ネームを入れたり、サイズぴったりのを着せたりすると、もっと楽しいかと思ったんだけど」
「お下がりで充分よ。私の制服ならお兄ちゃんだって着られるだろうし、それに──変態のお兄ちゃんには、あたしたちみたいな小学生のお下がりのほうが、嬉しいんじゃないかな?」
言うなり、有里奈ちゃんはぞっとするようなさげすみの目で、俺を見た。
とつぜんの友人の豹変に、秋穂ちゃんと冬花ちゃんも戸惑っている。
「ちょっと、どしたの有里奈。急に怖い顔をして」
「有里奈ー、なんでお兄ちゃんがヘンタイなの?」
「変態よ。高校生にもなった男が、こんな服を着せられてろくに抵抗もせずにいるなんて、楽しんでるとしか思えないもん。年下の女の子にいじめられて、女の子の服を着せられるのが大好きな変態なのよ」
楽しんでなんかいるものか。俺は反射的に言い返そうと口を開きかけたが、
「だってこの人──」
有里奈ちゃんはそう言って、俺に一歩近づき、
「ここ、こんなにしてるじゃない」
ぱっと伸ばされた彼女の手が、俺のスカートをまくり上げた!
* * *
追記。
性転換モノとS妹モノのご紹介。
『女児転生』 第二章(11)
タコ凄いですね。と言われてピンと来る方もいらっしゃらないかも知れませんが、W杯のドイツチームの勝敗を占うあのタコです。ドイツの試合についてはすべて的中させたと言うことで、驚き半分、呆れ半分と言ったところです。
さて前置きはこのくらいにしまして、本日「TS -Teacher Slave-」が発売されました。感じとしては『珈琲店の女装奴隷』に近いですが、ボリュームはずんと重くなっております。
一方で女児女装物も少しずつ書いておりますので、そちらが好きな方は気長にお待ちください。では、「女児転生」の本日分、スタートです。
* * *
(11)
「ごめんね、ちょっとお電話がかかってきたから、遅くなっちゃったの。待ったでしょ?」
ええ、待ちましたとも。こんな、いつ誰が入ってくるか判らないような場所に、下着姿でほったらかされれば、たとえどんな服だろうと、持ってきて貰えれば有り難いと感じるもんだ。
俺は反射的に嫌味を言いそうになるが、ここが我慢のしどころだ。「別に」と言ってやろうかとも思ったが、迂闊なことを言ってせっかく目の前にある着替えを回収され、また下着姿で放り出されるのも困る。俺はじっと、口をつぐんだ。
しかし冬花ちゃんは、俺を横目で見ながら、
「強がり言っちゃって。さっきまでこのお兄ちゃん、いまにも泣きそうな顔をしてたのよ。よっぽど、可愛い制服が待ち遠しかったんだわ」
「うん。お兄ちゃん、寧々さんが来たとき、すごく嬉しそうな顔してたよ」
秋穂ちゃんがさらに追撃を加える。本人は悪意ゼロの無邪気な感想だけに、いまの俺にとっては辛すぎる。さらにとどめとばかり、
「仕方ないと思うわ。下着姿──それも、高校生にもなって幼稚園児みたいなパンツを穿かされているんだから、それを羞じるのは、とうぜんだもの。ま、女の子の服を着せてもらえるのを喜ぶのは、どんな理由があったとしてもどうかと思うけど」
有里奈ちゃんが冷たい声で、フォローにならないことを言った。
寧々さんは、ぼくが三人の女の子からいじめられているのを、楽しそうに見つめていた。そして、
「あらあら、ごめんなさいね。そうよね、山野君は高校生だから待てると思ったんだけど、でも心はちっちゃい女の子なんだものね。可愛いお洋服を着たくて来たくて、しょうがなかったんだものね」
「…………」
高らかに響く寧々さんの揶揄を、歯を食いしばって聞き流す。寧々さんは俺の表情をじっと観察して、
「ふふっ、強がっちゃって、可愛いわね。でも、山野君お待ちかねの制服は、ちゃーんとここにあるからね。ほら、可愛いでしょ?」
「っ……!」
目の前に差し出されたその「制服」を見て、俺は思わず叫び出しそうになった。ピンクを基調にした「制服」は、明らかに園児向けのスモックで、その下に、丸襟のブラウスとチェック柄のスカートを穿くようになっている。
こんな幼いデザインで、しかもサイズは俺が着られるほどの大きさ。本気で、俺にこれを着せるつもりなのだ。さっきまで着せられていたワンピースも充分恥ずかしいデザインだったが、しかしこの、もはや言い抜けのしようもないほどに幼稚園児の女のの制服を着せられるのは──
「う……うぁ、やだ、嫌だ…………」
なんでこんな服を、着せられなくちゃならないんだ。俺は耳を覆って、うずくまった。高校生のはずなのに、こんな──小学生の女の子たちにいいようにからかわれ、彼女たちの言うがまま、幼稚園の制服を着なくちゃならないなんて。口惜しかった。女児服を着せられることもだけど、こんな服を着るように命じられて、逃げることも出来ずにここまで来てしまったことが。
「もう、許してください……お願いですから、もう、これ以上は……そんな服、着たくありません……」
俺は必死に、懇願した。もう、我慢の限界だった。小学生の前でみっともない、と言われようが何と言われようが、これ以上の辱めは真っ平だった。
俺の懇願に、しばし沈黙が下りた。俺はじっと、彼らの次の言葉を待ち──
「あらあら、何を言い出すかと思ったら」
しかし嘲笑を含んだ声が、頭上から冷水のように浴びせかけられた。
「せっかく秋穂ちゃんが、連れてきてくれたのよ? あなたのために頼み込んで、制服を着せてもらえるように、してくれたのよ? それを今さら恥ずかしいからやめてくれ、だなんて、秋穂ちゃんがかわいそうじゃない」
「…………」
「しかも嫌がるにしても断るにしても、急に泣き出して駄々こねるなんて、それこそちっちゃい女の子みたいじゃない。ねぇ、秋穂ちゃん。いくら気に入らないことがあったり、恥ずかしいことがあったからって言って、急に泣き出して駄々こねたりはしないわよねぇ?」
痛烈な正論だった。一旦は、俺に対して同情的に傾きかけた流れが、一気に逆転される。
「小学生に女の子でさえしないような、ちっちゃい女の子みたいなことをしちゃったんだもの。そんな情け無い『お兄ちゃん』には、幼稚園生の服がお似合いよね?」
さて前置きはこのくらいにしまして、本日「TS -Teacher Slave-」が発売されました。感じとしては『珈琲店の女装奴隷』に近いですが、ボリュームはずんと重くなっております。
一方で女児女装物も少しずつ書いておりますので、そちらが好きな方は気長にお待ちください。では、「女児転生」の本日分、スタートです。
* * *
(11)
「ごめんね、ちょっとお電話がかかってきたから、遅くなっちゃったの。待ったでしょ?」
ええ、待ちましたとも。こんな、いつ誰が入ってくるか判らないような場所に、下着姿でほったらかされれば、たとえどんな服だろうと、持ってきて貰えれば有り難いと感じるもんだ。
俺は反射的に嫌味を言いそうになるが、ここが我慢のしどころだ。「別に」と言ってやろうかとも思ったが、迂闊なことを言ってせっかく目の前にある着替えを回収され、また下着姿で放り出されるのも困る。俺はじっと、口をつぐんだ。
しかし冬花ちゃんは、俺を横目で見ながら、
「強がり言っちゃって。さっきまでこのお兄ちゃん、いまにも泣きそうな顔をしてたのよ。よっぽど、可愛い制服が待ち遠しかったんだわ」
「うん。お兄ちゃん、寧々さんが来たとき、すごく嬉しそうな顔してたよ」
秋穂ちゃんがさらに追撃を加える。本人は悪意ゼロの無邪気な感想だけに、いまの俺にとっては辛すぎる。さらにとどめとばかり、
「仕方ないと思うわ。下着姿──それも、高校生にもなって幼稚園児みたいなパンツを穿かされているんだから、それを羞じるのは、とうぜんだもの。ま、女の子の服を着せてもらえるのを喜ぶのは、どんな理由があったとしてもどうかと思うけど」
有里奈ちゃんが冷たい声で、フォローにならないことを言った。
寧々さんは、ぼくが三人の女の子からいじめられているのを、楽しそうに見つめていた。そして、
「あらあら、ごめんなさいね。そうよね、山野君は高校生だから待てると思ったんだけど、でも心はちっちゃい女の子なんだものね。可愛いお洋服を着たくて来たくて、しょうがなかったんだものね」
「…………」
高らかに響く寧々さんの揶揄を、歯を食いしばって聞き流す。寧々さんは俺の表情をじっと観察して、
「ふふっ、強がっちゃって、可愛いわね。でも、山野君お待ちかねの制服は、ちゃーんとここにあるからね。ほら、可愛いでしょ?」
「っ……!」
目の前に差し出されたその「制服」を見て、俺は思わず叫び出しそうになった。ピンクを基調にした「制服」は、明らかに園児向けのスモックで、その下に、丸襟のブラウスとチェック柄のスカートを穿くようになっている。
こんな幼いデザインで、しかもサイズは俺が着られるほどの大きさ。本気で、俺にこれを着せるつもりなのだ。さっきまで着せられていたワンピースも充分恥ずかしいデザインだったが、しかしこの、もはや言い抜けのしようもないほどに幼稚園児の女のの制服を着せられるのは──
「う……うぁ、やだ、嫌だ…………」
なんでこんな服を、着せられなくちゃならないんだ。俺は耳を覆って、うずくまった。高校生のはずなのに、こんな──小学生の女の子たちにいいようにからかわれ、彼女たちの言うがまま、幼稚園の制服を着なくちゃならないなんて。口惜しかった。女児服を着せられることもだけど、こんな服を着るように命じられて、逃げることも出来ずにここまで来てしまったことが。
「もう、許してください……お願いですから、もう、これ以上は……そんな服、着たくありません……」
俺は必死に、懇願した。もう、我慢の限界だった。小学生の前でみっともない、と言われようが何と言われようが、これ以上の辱めは真っ平だった。
俺の懇願に、しばし沈黙が下りた。俺はじっと、彼らの次の言葉を待ち──
「あらあら、何を言い出すかと思ったら」
しかし嘲笑を含んだ声が、頭上から冷水のように浴びせかけられた。
「せっかく秋穂ちゃんが、連れてきてくれたのよ? あなたのために頼み込んで、制服を着せてもらえるように、してくれたのよ? それを今さら恥ずかしいからやめてくれ、だなんて、秋穂ちゃんがかわいそうじゃない」
「…………」
「しかも嫌がるにしても断るにしても、急に泣き出して駄々こねるなんて、それこそちっちゃい女の子みたいじゃない。ねぇ、秋穂ちゃん。いくら気に入らないことがあったり、恥ずかしいことがあったからって言って、急に泣き出して駄々こねたりはしないわよねぇ?」
痛烈な正論だった。一旦は、俺に対して同情的に傾きかけた流れが、一気に逆転される。
「小学生に女の子でさえしないような、ちっちゃい女の子みたいなことをしちゃったんだもの。そんな情け無い『お兄ちゃん』には、幼稚園生の服がお似合いよね?」
『女児転生』 第二章(10)
(10)
まずはワンピースの上から採寸。今までに測ったことがないほど、あちこちのサイズを測られる。トップバストとアンダーバストなんて、胸のない男は同じくらいなのだから測るだけ無駄なのに、いちいち測るあたり、これも俺を辱めるための一環なのだろう。しかも寧々(という字を書くらしい)さんは測るたび、
「あらあら、細いのね。これなら、幼稚園の制服もちゃんと着られるわね」
「ふふっ、ね、山野君? あなた本当に高校生? 本当は背が高いだけで、秋穂ちゃん達より年下なんじゃないの?」
などと話しかけてくる。俺はうつむいて、だんまりを決め込んだ。
その間、秋穂ちゃんたちは店内に並ぶ制服を見つつ、ときおり俺の様子をうかがっている。もっとも有里奈ちゃんは、興味がないとばかりに制服に見入っていたけれど。
やがて採寸が終わると、
「それじゃ、お洋服を脱いでちょうだい」
「ええっ!?」
こんなところで、脱げって言うのか!?
「い、いくら何でもここじゃ……」
「何を言ってるの。男子高校生の癖に、女の子用のワンピースを着てお外を歩いてきた山野君なら、お店の中で下着姿になるくらい、どうってことないでしょ? それとも、お外で女の子の服を着るのは恥ずかしくないのかしら?」
詭弁だった。しかしこんな風に、羞恥心を煽るようなやり方で言われると、これ以上言いつのることが出来ない。酒匂先生や佐々木莉子がやっていたやり方と同じだ。人の恥部をつつきながら脅かすことで、これ以上恥ずかしいことをばらされたくなければ、大人しく言うことをきけというのだ。
だが、相手のやり口が分析できたからと言って、どうなるもんでもない。俺は唇を噛み、
「……っ、はい……」
大人しくうなずくことしかできなかった。それに、すぐ側には試着室もある。せめてそこで、と思ったのだが、
「ここでいいでしょ? 小学生の女の子が、お着替えを恥ずかしがるなんておかしいわ。そんなサマードレスを着て、街中を歩けるくらいだもの。山野君は、ココロは女の子でしょ?」
「くっ……うっ…………」
冬花ちゃんまで、寧々さんのやり口をまねて脅しにかかる。大人しくうなずくと、
「本当は、男子高校生だけどね」
通りすがりに、有里奈ちゃんがボソッと言い、冬花ちゃんがけらけら笑った。
ワンピースのボタンに手をかける。ボタンを外すにつれて、キャミソールをつけた胸元が露わになった。
「あら、キャミソール?」寧々さんはおかしそうに、「あらあら、まだオッパイも膨らんでいないくらい、お子ちゃまなのね。冬花ちゃんだって、ジュニアブラはつけてるでしょ?」
「もっちろん。小学生だって、ブラくらいつけてるわ!」
言外に、キャミソールをつけてるなんて小学生以下だ、と言われているのだ。それを言うなら、秋穂ちゃんだってキャミソールじゃないか。しかし、リアル女子小学生の秋穂ちゃんと比べるのが間違いなのだから、恥ずかしいことにかわりはなかった。
サマードレスを脱いで下着姿になると、寧々さんはくつくつと笑った。俺が穿いているぱんつ──小学生だってださいからいやだ、と言いそうなほどの、可愛いイラストがプリントされたかぼちゃパンツ。秋穂ちゃんが幼稚園のころに使っていた、お古のパンツだった。しかも恥ずかしいことに、ネームタグは「まきもとあきほやまのたけし」となっている。これを書かされたときの恥辱は、いっそ死んでしまいたいほどだった。
「それじゃ、制服を持ってきてあげるわね」
寧々さんはここでやっと、そう言った。それなら、脱ぐ前に持ってきてくれればよかったじゃないか。そうしなかったのは、俺に長い間下着姿を晒させて、辱めるためなのだろう。店内は、大通りに面した方がガラス張りになっていて、そのつもりになれば中の様子がすっかり見えてしまう。まして俺が着替えさせられた立ち位置には、商品棚やトルソーのような遮蔽物がなく、外からはっきり見えてしまっているのだ。これも、寧々さんや冬花ちゃんの企みだろう。
すると──
「ね、山野のお兄ちゃん? こっちの制服なんか、すっごくかわいいよ」
「わわっ!?」
秋穂ちゃんが、俺の腕を引っ張った。道路に面したショーケースに並ぶ制服のところに連れてこられ、
「この制服、可愛いでしょ? 隣町の小学校の制服なんだけど、可愛いよねー。秋穂も着てみたいんだけど、とっても難しい学校だから、諦めたんだ」
「そ、そうなんだ……」
ショーケースの裏側から制服を見ているため、大通りの様子まではっきり見えてしまう。つまり──大通りを歩く人が、ときおり俺のことを見てはぎょっとする様子まで、見えてしまっているのだ。そりゃそうだ。いくら制服店の中とはいえ、下着姿の女の子(に見えるだろう)がいたら、驚くに決まってる。
「ね、可愛いよね! お兄ちゃんにも、似合うと思うなぁ!」
秋穂ちゃんの声を聞きながら、俺は──極めて不本意ながら──寧々さんが制服を持ってくるのを、ただひたすら待ち望んでいるのだった。