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十月兔

強制女装を中心とした小説・イラストのブログです。

2024-05

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長編『禁じられた遊び』 (14)

登場人物
 上村 大海(うえむら ひろみ)……中学一年生の少年。
 天野 聡子(あまの さとこ)……大海の同級生。

あらすじ
 中学生の上村大海は、ある日、同級生の天野聡子に誘われて、空き教室で彼女の制服を着てみることになる…。

 ピクシブにもまとめました → 禁じられた遊び    
 
  (14)

「はい、じゃあ、最後にベストと、ジャケットね」
 リボンを結び終えると、ベストを渡された。机の上に積まれていた制服一式も、いよいよ残りわずかだった。
 ベストを羽織ってボタンを留め、ジャケットを重ね着する。上着なんてほとんど同じだろうと思っていたけれど、女子用のは腕が細く、肩幅も心持ち狭い。いつも着ているのに比べて、ちょっと窮屈だ。
 背筋がむずむずして、落ち着かない。歩いたり、スカートの裾を押さえたりしてると、
「ふふっ、これで全部着られたわね。どう? やっぱり落ち着かない?」
「う、うん。なんか、女の子になったみたい……」
 単純な、と言われるかもしれないけど、それが正直な感想だった。
 肌を締め付けるブラウスの感触や、女子の象徴であるスカートの履き心地。それらのせいで否応なく、自分が女子制服を着ていることを意識してしまうのだ。
「ふふっ、心まで女の子になっちゃう?」
「そうじゃなくて……なんて言えばいいんだろう。ぼくは男なんだけど、体や心が、女の子の服に閉じ込められてしまったみたいな……」
「へーぇ」
 天野さんは興味深そうに目を輝かせ、
「嫌な気分?」
「うーん……恥ずかしいけど、そうでもない……かな」
 露出する脚。締め付けるブラウスやジャケット。男子の制服のような、肌になじむ着心地はないけれど、これはこれで気持ちいい。
「そう、よかった」
 天野さんが、そう言った時だった。

 きーん、こーん、かーん、こーん・・・

 チャイムが、教室のスピーカーから鳴り響いた。
 放課後のこの時間になるチャイムは――
「あら、そろそろ完全下校時刻ね。急いで帰らないと」
「う、うん」
 そうだ。すっかり夢中になっていたけど、もうすぐ夕方の5時。それまでに、全校生徒は学校を出ていないといけないのだ。
「じゃあ、急いで着替えを……」
 そう言いかけたぼくは、天野さんの奇妙な行動に気付いた。
足元から、空っぽのスポーツバッグを持ち上げた。そしてぼくがこれまで脱いで机の上に積んでおいた服に近づくと、それをすべて、バッグの中に入れてしまった。
「ちょ、ちょっと、着替えは……!」
「今から着替えても間に合わないでしょ。このまま私の家に寄って、そこで着替えましょ」
「で、でも、この格好で……?」
「うん」
 天野さんは平然とうなずき、
「大丈夫よ、その格好を見て男の子だなんて、誰も思わないから。さ、行きましょ」
 楽しそうに笑って、スクールバッグを肩にかける。
 まさか天野さん、最初から、このつもりだったんじゃ――
 ぼくは内心で、ほんの少し天野さんを恨んだ。

  (続く)

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