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十月兔

強制女装を中心とした小説・イラストのブログです。

2024-05

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乙女座の園 第0エリア(1)

 さて。
 いよいよゴールデンウィークなので、前々から準備していた新作を連載していきたいと思います。まだ結末まで書き上がっていないのですが、何とかなる……と思います(汗)今回は幼児女装やSM要素は少なく、二十歳過ぎの青年が色々な女装をさせられるお話です。
 企画会社の運営や仕組みについては詳しくないので、もしも「ここおかしくない?」とかあっても、笑って見逃してやって下さい。

 では、これより開幕。題はタイトルにあるように、『乙女座の園』になります。

 * * *

『乙女座の園』

 第0エリア 「B&B」事務所

(1)

 スマートな印象の女社長は、呼びつけた男性社員がデスクの前に立つなり、開口一番こう言った。
「人が足りないのよ」
「他に雇ってください。アルバイトでも」
 彼女の言葉に反射的に返す、有沢良介。普通の上司・部下関係だったらあり得ないような、漫才そこのけのツッコミぶりだった。
 しかし社長の黒谷晴香は、そんな彼のツッコミを平然と受け流した。部下から親しみを持たれる社長をめざす彼女は、この程度のことでは全く動じない。
「時間もないの。お金も。アルバイトで集めるったって、限度があるわ。大体これ以外に、あなた、仕事がないわよ?」
 良介は、言い返せずに黙りこむ。社長が言うのも、全くの事実だった。
 彼らがいるのはイベント企画会社「Beauty and Brilliancy Factory」、通称「B&B」の事務所。大手企画会社「アトラクティス」の子会社で、主に女性向けのイベントを企画・実行している。設立は五年前だが、最近めきめきと利益を上げている成長株だ。
 実際に会社を動かしているのはわずか二〇人。社長はこの黒谷晴香で、良介はこの会社で唯一の男性社員だった。
 良介はもともとは親会社にいたのだが、親会社とつなげるためのシステム開発ができるのが彼しかいなかったため、半年前からやむを得ずこちらに出向して来たのである。しかしシステム構築が終わっても、会社から戻ってくるようにとのお達しは来なかった。別に親会社が彼を見放したわけではない。逆に、この「B&B」の発展性を期待しているからこそ、緊密な連絡を確保するために、システムのメインテナンス要員として残されていたのだ。とはいえ、それで良介の居心地がよくなるわけではない。女子社員から嫌われてはいないが、やはり女性ばかりの中に男がひとりきり、と言うのは居づらいのだ。
 そんな良介の思惑とは別に、彼の構築したシステムは期待通りの稼働を見せ、親会社との連絡を背景に、「B&B」は成長を続けた。そしてこの成長を背景に、良介が来る前に着工していた大型テーマパークは、計画通りに完成したのである。
 その名も、《乙女座の園Virgo Garden》。
 場所は神奈川県の臨海部、都心から電車で一五分の場所にある。そんな立地の良い場所に広大な土地を確保できたのは、不況の波に押されて衰微した京浜工業地帯の、工場跡地を買収したためだった。
 開園予定日はほぼ一ヶ月後の、五月一日。大型連休開始の土曜日に照準を合わせ、都心から客を動員しよう、というのが狙いだ。都心はテーマパーク、遊園地の激戦区だったが、この《乙女座の園》は、徹底した客層の特化と他のテーマパークとの住み分けによって、それぞれしのぎを削るテーマパーク激戦区に名乗りを上げ、客を呼び込もうとしていた。
 このパークの主眼は、純粋に女性向けのアトラクションを設置し、イベントだけを行うことで、幼稚園から二十代までの女性をターゲットにしている点にある。内容は子供向けのヒロインショーから、それこそ大人にまで対応しうるお姫様への変身体験までそろえてあった。
 しかも園内は、ほぼ男子禁制。入ってこられるのは小学生以下の男の子だけで、しかも頭にはリボンを着用する義務がある。このリボンをつけてまで入ってくる男の子はそうそういないだろうが、いざというときや、本人がどうしても希望するならば、入場を許可する仕組みになっている。男性の目を気にせずに、女性の夢を叶える施設……それが、《乙女座の園》なのだ。
 開演間近を控えて準備万端整った、そんな《乙女座の園》に、
「なんで僕が従業員として行かなけりゃならないんです?」
「ヒマでしょ」
 当然の良介の言葉を、晴香は一言のもとに切って捨てた。
 この会社は、総務部、営業部、宣伝部と一通り配属が分かれているとはいえ、具体的に分かれているのは「内部組」と「外部組」だ。簡単にいえば、総務や経理など、事務服を着て会社内で働くのが内部組。企画担当や市場調査、あるいは現地に行ってアルバイトに対する指導を行ったり、視察を行ったりと、自ら働きに出るのが外部組。職務内容が大幅に異なるため、双方とも異動を極端に嫌う。
 そんな中で唯一の例外、どちらにも属さないのが、会社のシステム管理に携わる良介だ。システムに不備が見つかったり、メインテナンスが必要だったりした時以外は、たいていヒマである。そんなときは総務部に混じり、経理や庶務などの雑事をこなすのが日常だった。
 したがって、外部組に人が足りない時に彼に白羽の矢が立つのは、いわば必然だったのだ。

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