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十月兔

強制女装を中心とした小説・イラストのブログです。

2024-05

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短編「親友彼女」 その13

 
 (その13)
 
「さーて、それじゃあ、祥子。せっかくだから、小学校の中に入ってみるか?」
「ふ、ふざけ──ね、ねぇ、お兄ちゃん、お願いだから、もう、はやく、行こうよぉ……」
 危うく素が出そうになるのをぐっとこらえて、俊示にすがりつく。こんなところでいつまでもいて、学校から先生か誰か出てきたりしたら、本当にやばいことになっちゃう。
「そうだな。さすがに休みみたいだから、学校の中には入れないか。よし、今度はどこに行きたい? 祥子の好きな場所に連れて行ってやるぞ」
「も、もう、帰りたい……」
 いい加減、この制服の着心地も限界だった。こんなところにいたら、その分だけご近所さんに見つかる確率は上がっていくのだ。
 けど、俊示はそんなぼくの気持ちを判ってるはずなのに、
「遠慮しなくていいんだぞ。お兄ちゃんが、好きな場所に連れて行ってやるからな。そうだ、あっちのほうにある公園はどうだ? 近所の子たちが遊びに来てるから、きっとお友達ができるぞ」
「い、いいよ、もう帰ろう……」
「ダメだって。せっかく友達ができるチャンスなんだから、ほら」
 ここまで言われたら、ぼくに拒否権はない。一難去ってまた一難だ。
泣きそうになりながらも俊示に手を引かれて、近所の児童公園へとやってきてしまっていた。
 住宅街の真ん中にある狭いスペースに、砂場や鉄棒、ジャングルジムや雲梯などが置かれている。遊びに来た子供たちや、ママ友たちがたむろっている。考えようによっては、学校の前よりずっと危険だった。
「ちょ、ちょっと、本気……?」
「もちろん。ほら、祥子の好きなブランコだぞ。背中を押してやるから、乗ったらどうだ?」
「う、うん」
 素直にうなずいたのは、もちろんブランコが好きで乗りたいからじゃない。これまでの俊示の行動を鑑みるに、俊示を満足させるだけのことをしないと家に帰ってくれそうにはない。誰もいないブランコに近づいて、スカートの裾を気にしながら座る。
 いくら俊示だって、夕方──最悪でも夜になれば、家に帰してくれるだろう。それまでの間、どこかできる限り安全な場所で時間をつぶすのが一番だ。それは、この公園じゃない。子供たちの中にはぼくの家のすぐ近所の子だっているだろうし、ママの中には、ぼくや俊示の顔を知っている人もいるかも──
「あら、ひょっとして──」
 ぼくの懸念を先読みしたように、主婦の一人がこちらを振り向いて目を丸くした。

  (続く)

コメント

ああ・・・どんどん追い込まれていく(笑)

神無月さんの、ソフトなようでハードな追い込みは、魅力ですね。

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