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短編「親友彼女」 その2
どうも、神無月です。
さいきんは新作の案をちょぼちょぼとまとめています。方向性はいくつか考えているのですが、まだ全然固まっていないので予定は未定。
では特に書くこともないので、本編どうぞ。
(その2)
どれもこれも六年間の小学校生活を記念するものばかりであったが、どうやら従妹には、思い出の品を大切にとっておく習性はないらしい。これまでも何度か、サイズの合わなくなった女子制服やらスクール水着やら、うちに送られてきている。
「僕が年下っていうならまだしも、こんなものもらってもなぁ」
いや、たとえ僕が年下で小学生だとしても、男子小学生が女子小学生の制服を着て、真っ赤なランドセルをしょって登校するわけにはいかない。
まして高校も2年生に上がった僕に、こんなものを送るだなんて。
「いったいあいつ、何を考えて──いや、何も考えずに送ったのか」
きっと小学校のころに使っていたものをすべてまとめて、捨てるような感覚で送ってきたに違いない。もったいないからと物を捨てられないうちと違い、従妹の家は、いらないとなったらすぐに捨てるところがあるのだ。うちの母親と従妹の母親は姉妹同士のはずなのに、ずいぶんとまぁ違うものだ。
それはさておき。
女子小学生の制服エリアを通り抜けると、やっと私服のコーナーだ。こちらも去年に輪をかけて、かわいらしいブラウスだの、襟付きのカットソーだの、ふんわりとしたチュチュスカートだの、レトロなデザインのワンピースだのが詰め込まれている。ヨーロッパの子供が着るような薄いレースのネグリジェに、よそ行きにするようなジャンパースカートとブラウスのセットアップ、誕生日会で着たものと思われる華やかなドレスや、去年の法事で見かけた襟付きのワンピースまで入っていた。
パンツといえば、ピンクのショートパンツとパンツインスカートくらいのものである。さすがにこれは、部屋着にする気にもなれない。
さらに──
「……ほんと、こんなもの送るなよ」
去年も詰め込まれていた、ビニールの袋。その中にはぎっしりと、女の子用のコットンショーツが詰め込まれていた。おそらく新品で買ったはいいものの、急に子供っぽいデザインが嫌になって穿かないまま、捨てる代わりにうちに送ってきたのだ。ギンガムチェックにボーダー柄、フロントにリボンがついたのもあれば、お姫様や童話のイラストが描かれたものもある。美少女戦隊の女の子がプリントされたショーツとキャミソールのセットまであった。
さらには女の子が使うような学習帳やらペンケース、ヘアアクセやも入っている。このひと揃えがあったら、明日からでも女子小学生として通えそうなほどだ──もちろん、悪い冗談だが。
「さて、どうしよう──といっても、まさか着るわけにも、いかないよなぁ」
悪いとは思うけれど、このままつめなおして処分するしかないだろう。そう思っていると、学習机の上の携帯電話が鳴った。
(続く)
さいきんは新作の案をちょぼちょぼとまとめています。方向性はいくつか考えているのですが、まだ全然固まっていないので予定は未定。
では特に書くこともないので、本編どうぞ。
(その2)
どれもこれも六年間の小学校生活を記念するものばかりであったが、どうやら従妹には、思い出の品を大切にとっておく習性はないらしい。これまでも何度か、サイズの合わなくなった女子制服やらスクール水着やら、うちに送られてきている。
「僕が年下っていうならまだしも、こんなものもらってもなぁ」
いや、たとえ僕が年下で小学生だとしても、男子小学生が女子小学生の制服を着て、真っ赤なランドセルをしょって登校するわけにはいかない。
まして高校も2年生に上がった僕に、こんなものを送るだなんて。
「いったいあいつ、何を考えて──いや、何も考えずに送ったのか」
きっと小学校のころに使っていたものをすべてまとめて、捨てるような感覚で送ってきたに違いない。もったいないからと物を捨てられないうちと違い、従妹の家は、いらないとなったらすぐに捨てるところがあるのだ。うちの母親と従妹の母親は姉妹同士のはずなのに、ずいぶんとまぁ違うものだ。
それはさておき。
女子小学生の制服エリアを通り抜けると、やっと私服のコーナーだ。こちらも去年に輪をかけて、かわいらしいブラウスだの、襟付きのカットソーだの、ふんわりとしたチュチュスカートだの、レトロなデザインのワンピースだのが詰め込まれている。ヨーロッパの子供が着るような薄いレースのネグリジェに、よそ行きにするようなジャンパースカートとブラウスのセットアップ、誕生日会で着たものと思われる華やかなドレスや、去年の法事で見かけた襟付きのワンピースまで入っていた。
パンツといえば、ピンクのショートパンツとパンツインスカートくらいのものである。さすがにこれは、部屋着にする気にもなれない。
さらに──
「……ほんと、こんなもの送るなよ」
去年も詰め込まれていた、ビニールの袋。その中にはぎっしりと、女の子用のコットンショーツが詰め込まれていた。おそらく新品で買ったはいいものの、急に子供っぽいデザインが嫌になって穿かないまま、捨てる代わりにうちに送ってきたのだ。ギンガムチェックにボーダー柄、フロントにリボンがついたのもあれば、お姫様や童話のイラストが描かれたものもある。美少女戦隊の女の子がプリントされたショーツとキャミソールのセットまであった。
さらには女の子が使うような学習帳やらペンケース、ヘアアクセやも入っている。このひと揃えがあったら、明日からでも女子小学生として通えそうなほどだ──もちろん、悪い冗談だが。
「さて、どうしよう──といっても、まさか着るわけにも、いかないよなぁ」
悪いとは思うけれど、このままつめなおして処分するしかないだろう。そう思っていると、学習机の上の携帯電話が鳴った。
(続く)
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