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『少年かぐや』 第十九回(前編)
こんばんは、神無月です。
新作をちまちまと書きつつ、さて『少年かぐや』についてはどうしたものかと悩んでいます。
こちらの連載小説だと年齢規定を考えず、自由にできるのですが、逆にそのせいで方向性が固定されているような気がしないでもないのです。
それにくわえて連載というのも、(詳しい理由は書きませんが)精神的に辛くなっています。
続けようという気力があるうちは続けると思いますが、もしかしたら急にモチベーションを失って、連載中止になるかも知れません。
とりあえず今週分をどうぞ。
* * * * *
(第十九回)
「ひぃーっ!」
尻肉を焼くような激痛に、隆人は背筋をのけぞらせて悲鳴を上げた。
ムチのような紐状の武器は、素人が軽く振っただけで恐ろしい威力になる。それでも普通の飛び縄なら、ビニル自体に柔軟性がないこともあり、少女の腕力で振っても大した痛みにはならなかっただろう。
ところが少女が持っていたのは、細くしなやかな素材で作られた特別製の縄である。少女が軽く振っただけで、奴隷を鞭うつための革鞭と同じほどの痛みを生んだ。
薄いコットンの布越しに、なんども打擲される痛みは、見た目以上に壮絶であった。
もっとも、はたから見る限りではそんな事情は分からない。
(あらあら、女の子に縄跳びでひっぱたかれたくらいであんな声を上げるなんて、部長ったら情けない。まるで本当に幼稚園児の女の子ね)
りみは、幼稚園児の相手をする合間に隆人の様子を盗み見て、小さく唇をゆがめた。他の部員たちも、六歳の少女にぶたれて泣き叫ぶ先輩に失笑を禁じ得ない。
「うるさいわねっ、ほらっ、泣いてないで、さっさと歩きなさいっ!」
「ひーっ、は、はぁい!」
これ以上ひっぱたかれたら、椅子に座るのもつらくなってしまう。隆人は泣きじゃくりながら、別の女の子を背中に乗せ、鞭から逃れるように四つん這いで走り出した。
その後を、少女はまるで毛獣使いのように鞭を振り回して追いかける。
「あははっ、やれば出来るじゃない! ほらほらっ、もっと速く走りなさいよっ!」
「痛いっ、痛いよぉーっ!」
恥も外聞もなく泣き叫び、教室を右左と逃げ回る。他の少女たちも、お絵かきの合間にそれを見ては、手を拍って笑い転げていた。
さらに――しばらくして、教室のドアが開き、男児を連れた部員たちが戻ってきた。
「はいはーい、男子のみんなも、戻って来たよー」
「あらあら、ちょうどいいところに来てくれたわね。さぁ、みんなで完成した絵を教室に飾りましょ」
りみの号令で、幼稚園児と部員たちが協力して、完成した絵を壁に飾る。
その中心には、可愛らしい女児制服を着て四つん這いになり、他の女の子を背中に乗せる隆人の姿が、ばっちり描かれていた。
(こ、こんなのが、幼稚園に残るのか……!)
隆人は泣きそうだった。
この場に居合わせなかった男子部員たちも、絵を見ておおよその事情を察したようだった。侮蔑に満ちた視線を後輩たちから向けられて、隆人は自分の部長としての権威が、完全に地に落ちたことを悟るのだった。
(後編に続く)
新作をちまちまと書きつつ、さて『少年かぐや』についてはどうしたものかと悩んでいます。
こちらの連載小説だと年齢規定を考えず、自由にできるのですが、逆にそのせいで方向性が固定されているような気がしないでもないのです。
それにくわえて連載というのも、(詳しい理由は書きませんが)精神的に辛くなっています。
続けようという気力があるうちは続けると思いますが、もしかしたら急にモチベーションを失って、連載中止になるかも知れません。
とりあえず今週分をどうぞ。
* * * * *
(第十九回)
「ひぃーっ!」
尻肉を焼くような激痛に、隆人は背筋をのけぞらせて悲鳴を上げた。
ムチのような紐状の武器は、素人が軽く振っただけで恐ろしい威力になる。それでも普通の飛び縄なら、ビニル自体に柔軟性がないこともあり、少女の腕力で振っても大した痛みにはならなかっただろう。
ところが少女が持っていたのは、細くしなやかな素材で作られた特別製の縄である。少女が軽く振っただけで、奴隷を鞭うつための革鞭と同じほどの痛みを生んだ。
薄いコットンの布越しに、なんども打擲される痛みは、見た目以上に壮絶であった。
もっとも、はたから見る限りではそんな事情は分からない。
(あらあら、女の子に縄跳びでひっぱたかれたくらいであんな声を上げるなんて、部長ったら情けない。まるで本当に幼稚園児の女の子ね)
りみは、幼稚園児の相手をする合間に隆人の様子を盗み見て、小さく唇をゆがめた。他の部員たちも、六歳の少女にぶたれて泣き叫ぶ先輩に失笑を禁じ得ない。
「うるさいわねっ、ほらっ、泣いてないで、さっさと歩きなさいっ!」
「ひーっ、は、はぁい!」
これ以上ひっぱたかれたら、椅子に座るのもつらくなってしまう。隆人は泣きじゃくりながら、別の女の子を背中に乗せ、鞭から逃れるように四つん這いで走り出した。
その後を、少女はまるで毛獣使いのように鞭を振り回して追いかける。
「あははっ、やれば出来るじゃない! ほらほらっ、もっと速く走りなさいよっ!」
「痛いっ、痛いよぉーっ!」
恥も外聞もなく泣き叫び、教室を右左と逃げ回る。他の少女たちも、お絵かきの合間にそれを見ては、手を拍って笑い転げていた。
さらに――しばらくして、教室のドアが開き、男児を連れた部員たちが戻ってきた。
「はいはーい、男子のみんなも、戻って来たよー」
「あらあら、ちょうどいいところに来てくれたわね。さぁ、みんなで完成した絵を教室に飾りましょ」
りみの号令で、幼稚園児と部員たちが協力して、完成した絵を壁に飾る。
その中心には、可愛らしい女児制服を着て四つん這いになり、他の女の子を背中に乗せる隆人の姿が、ばっちり描かれていた。
(こ、こんなのが、幼稚園に残るのか……!)
隆人は泣きそうだった。
この場に居合わせなかった男子部員たちも、絵を見ておおよその事情を察したようだった。侮蔑に満ちた視線を後輩たちから向けられて、隆人は自分の部長としての権威が、完全に地に落ちたことを悟るのだった。
(後編に続く)
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