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『少年かぐや』 第十七回(前編)
こんばんは、神無月です。
台風が近づき、急に冷え込みが厳しくなる昨今ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。そろそろスカートの下にタイツをはいたり、制服を冬服に替えたりする時期ですね。くれぐれも風邪に気をつけて、女装を楽しんでくださいませ。
さいきんはちまちまと『女装旅行』本文を手直ししつつ、イラストを仕上げています。衣装なども所々手を入れていますので、前作と全く同じ服装とはならないかもしれませんが、ご了承下さい。
ではでは、今週分の前半をどうぞ。
* * * * *
(第十七回)
「はーいみんな! 今日はみんなのために、お兄ちゃんお姉ちゃんが来てくれました! 拍手でお出迎えしてねー!」
「はぁーい!」
女性保育士が呼びかけると、室内で体育座りしている子供達が一斉に小さな手を打ち鳴らした。
その音は、出入り口の向こう側にいる隆人たちの耳にも届いていた。
(い、いよいよか……)
隆人の心臓が痛いほどにテンポを早める。
丸襟ブラウスにチェックの吊りスカート、上から遊び着用のピンクのスモックを重ね、足元はレースのソックスに女児用の赤い上履き。頭には黄色い帽子をかぶり、胸元には、ヒヨコの名札にひらがなで「ひとみ」と書いてある。「たかひと」の名前をもじった物だった。念のために言えば、タンクトップとショーツも女児用である。
普段のシャツやジーンズとはまったく違う着心地が、隆人の全身を蝕むように辱めていた。
このドアを開ければ、自分と同じ格好をした女の子がいるはずだ。ほんの5~6歳の女の子たちと同じ服装をしていることに、隆人は改めて恥ずかしくなる。
他の部員たちはもちろん普通の服装だ。彼らは先ほどから、すっかり女児に化けおおせた部長を、気の毒なような、おかしいような目つきで見ていた。
姿形だけではない。彼らには今日一日、部長を「体の大きい女の子」として扱うようにと指示してある。もちろん隆人自身も、「元気だけどドジな女の子」を演じなければならない。
これから始まるであろう辱めに、隆人は思わず、向こう側から拍手の響くドアを開くことを躊躇ってしまう。
しかし、
(……さぁ、行ってください)
そんな囁きとともに背中を押して促したのは、副部長のりみだった。彼女は心底楽しそうな笑みを浮かべている。
ひょっとして俺にこの女児制服を着せたのはこいつ自身の趣味じゃないだろうか――隆人はそう勘ぐってしまう。しかし、たとえ本当にそうだとしても、いまさらこの企画を取りやめるわけにはいかない。彼女に一任してしまった隆人自身の責任でもあるのだ。何よりもう毒は服んでしまった。皿だけを残す意味はない。
隆人はすぅっ、と息を吸い込み、覚悟を決めると、目の前のドアを大きく開いた――
(後編に続く)
台風が近づき、急に冷え込みが厳しくなる昨今ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。そろそろスカートの下にタイツをはいたり、制服を冬服に替えたりする時期ですね。くれぐれも風邪に気をつけて、女装を楽しんでくださいませ。
さいきんはちまちまと『女装旅行』本文を手直ししつつ、イラストを仕上げています。衣装なども所々手を入れていますので、前作と全く同じ服装とはならないかもしれませんが、ご了承下さい。
ではでは、今週分の前半をどうぞ。
* * * * *
(第十七回)
「はーいみんな! 今日はみんなのために、お兄ちゃんお姉ちゃんが来てくれました! 拍手でお出迎えしてねー!」
「はぁーい!」
女性保育士が呼びかけると、室内で体育座りしている子供達が一斉に小さな手を打ち鳴らした。
その音は、出入り口の向こう側にいる隆人たちの耳にも届いていた。
(い、いよいよか……)
隆人の心臓が痛いほどにテンポを早める。
丸襟ブラウスにチェックの吊りスカート、上から遊び着用のピンクのスモックを重ね、足元はレースのソックスに女児用の赤い上履き。頭には黄色い帽子をかぶり、胸元には、ヒヨコの名札にひらがなで「ひとみ」と書いてある。「たかひと」の名前をもじった物だった。念のために言えば、タンクトップとショーツも女児用である。
普段のシャツやジーンズとはまったく違う着心地が、隆人の全身を蝕むように辱めていた。
このドアを開ければ、自分と同じ格好をした女の子がいるはずだ。ほんの5~6歳の女の子たちと同じ服装をしていることに、隆人は改めて恥ずかしくなる。
他の部員たちはもちろん普通の服装だ。彼らは先ほどから、すっかり女児に化けおおせた部長を、気の毒なような、おかしいような目つきで見ていた。
姿形だけではない。彼らには今日一日、部長を「体の大きい女の子」として扱うようにと指示してある。もちろん隆人自身も、「元気だけどドジな女の子」を演じなければならない。
これから始まるであろう辱めに、隆人は思わず、向こう側から拍手の響くドアを開くことを躊躇ってしまう。
しかし、
(……さぁ、行ってください)
そんな囁きとともに背中を押して促したのは、副部長のりみだった。彼女は心底楽しそうな笑みを浮かべている。
ひょっとして俺にこの女児制服を着せたのはこいつ自身の趣味じゃないだろうか――隆人はそう勘ぐってしまう。しかし、たとえ本当にそうだとしても、いまさらこの企画を取りやめるわけにはいかない。彼女に一任してしまった隆人自身の責任でもあるのだ。何よりもう毒は服んでしまった。皿だけを残す意味はない。
隆人はすぅっ、と息を吸い込み、覚悟を決めると、目の前のドアを大きく開いた――
(後編に続く)
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