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十月兔

強制女装を中心とした小説・イラストのブログです。

2024-05

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『少年かぐや』 第十五回(後編)

 こんばんは、神無月です。

 現在は特に書くこともありませんので、(続きを読む)からどうぞ。
   
  * * * * *

  (第十五回)後編

「そこで、最初に子供達の気を引けるような何かが欲しいと思うんだけど、何かいい案はないだろうか?」
「そうだねぇ」眠たげな目つきの女子が、頬杖をつきながら言う。「子供達に、親近感を持ってもらえるといいんじゃないかなぁ。ほら、子供って、着ぐるみとか大好きでしょ。どこかから着ぐるみを借りてくれば、子供もきっと喜ぶよ」
「着ぐるみか、なるほどね」
 隆人は立ち上がり、備え付けのホワイトボードにきゅっきゅっと書き込んでいく。
「他には?」
「親近感といえば」次に口を開いたのは、眼鏡をかけた一年生の男子だ。「子供達が珍しがるような奇抜な格好もいいかもしれません。ほら、ピエロとか、ちんどん屋とか、子供ってけっこうああいうの好きでしょう?」
「なるほど」
 他にもいくつか意見が出た後、それまで黙っていた森居りみが口を開いた。
「そうそう、幼児番組だと、大人が子供達と同じ格好をして、子供のように一緒に踊ったり歌ったりするのがあるね。誰か一人、子供役を作ってやれば、子供達も一緒になって遊んでくれるんじゃないかしら」
「確かに……それは、いいかもしれない」
「というわけで、部長、お願いしますね?」
「え、お、俺が?」
 隆人は面食らった。名案だとは思ったが、誰がその役になるかまではまったく考えていなかったのだ。
 助けを求めるように他の部員を見渡すも、自らそんな恥ずかしい役を志願するような人がいようはずもない。むしろ、部長が引き受けるものと安心しているようだった。
「さ、さすがに恥ずかしいなぁ。交流会の様子は写真にとって、ずっと残すわけだし……」
「大丈夫ですよ、阪井部長」
 りみは小さく笑って、
「写真にとっても、誰も阪井部長だって判らないように工夫しますから。それならいいでしょう?」
「ま、まあ、そうだね」
 羞恥心と、交流会の成功を天秤にかけ、阪井隆人はうなずいた。何かの余興か、罰ゲームだと思えばいい。
 いっぽうの森居りみは、心の中で秘かに快哉を叫んだ。
 彼女には、とある心当たりがあった。
 舘川市内にある小さな店――『かぐや姫』。そこにいけば、きっと目当てのものがあるに違いない、と。

  (続く)

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