スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
「かぐやひめ」へようこそ(6)
神無月です。
明日からまた、ブログのレイアウトを変更しようと思います。可愛く、見やすいと思っていただけるテンプレートになればいいのですが。
X様、毎度更新を楽しみにしていただいているようで、ありがとうございます。毎週必ず更新する確約はできませんが、できる限り更新してきたいと思っています。
では今週分をどうぞ。
(6)
託児所めいたベビールームに案内された光一は、十年ほど自分の年齢が逆行したかのような錯覚を覚えた。
「ここが、試着室……?」
「ええ、そうよ。さ、ロンパースは一旦そこにおいて、脱いでちょうだい」
宮子は平然と言うが、光一は焦る。これでも健全な男子大学生のつもりだ。
「なら、着替えますから一人にしてください」
「だめ。ベビー服を着る赤ちゃんが、一人でお着替えできると思うの?」
「俺は赤ちゃんじゃありませんから」
「そうじゃなくて、構造的な問題よ。ほら、背中をみてごらんなさい。スナップボタンが並んでいるでしょ? どんなにからだが柔らかい人でも、自分の背中に並んだスナップボタンは留められないわ」
なるほど、と光一はうなずくが、だからといって綺麗なお姉さんの前で裸になるのは抵抗がある。
「じゃ、じゃあ、最後のスナップボタンはお願いしますから、それまでは一人で着替えさせてください」
「だめだめ。いまからベビー服を着るんだから、開き直って徹底的に赤ちゃんになりきらないと、逆に恥ずかしいわよ」
いつの間にか、「由女に着せる前の品質チェックのために着る」から「自分自身が赤ちゃんとして着る」にすり替わっていたが、本格的なベビールームに入れられた光一はすっかり雰囲気に飲まれていたため、ぜんぜん気づかなかった。
「か、簡単に言いますけどね……」
「だーめ。ほら、シャツを脱いで。わたしのことは、ママだって思えばいいわ」
「ま、ママ……」
「そうよ。さ、光一くん。ママがお洋服を脱がせてあげるわ」
宮子はどんな相手の警戒心もほどいてしまうような笑みで、光一の目と鼻の先に立つと、彼のシャツの襟に手をかけてするりと脱がせてしまった。
「わっ、や、やめて下さい!」
「大人しくしなさい! 着替えさせてあげるんだから!」
まるで母親のようにしかりつけて、光一を大人しくさせる。彼が雷に打たれたように放心しているあいだに、
「ほら、ばんざーい、してごらん。ばんざーい」
ぱっと両手を挙げて見せると、光一も彼女の動きに釣られて「ばんざーい」のポーズになってしまう。はっと気づいたときには、一瞬の早業でTシャツまで脱がされていた。
「うわっ、ぬ、脱がさないでくださいよっ!」
「だーめ。そろそろ観念して、自分で脱いだらどう? それとも、全部あたしに脱がせてほしいの? 赤ちゃんみたいに」
「ちっ、違いますけど――ああもう、判りましたよ!」
こうなりゃやけだ、どうあがいても脱がされるんなら自分から脱いでやる。光一はあきらめて、ズボンを脱ぎはじめた。群竹光一、準備は周到にやるが、土壇場で失敗すると諦めが早いところもある。
宮子は彼が脱ぎ捨てた服を拾って丁寧にたたみ、壁際にある白いクローゼットにしまう。よく見ればそのクローゼットも、赤ちゃんに配慮して角を丸くしてあって、本当に赤ちゃんが生活するためのものとしか思えない――サイズを除いて。
横目にそれを見つつ、光一は改めて、先ほどテーブルの上に置いたベビー服を取り上げる。
ピンクのセーラーロンパースは、見れば見るほど恥ずかしいデザインだ。柔らかな生地で作られ、しかも縫い目を外側にしている赤ちゃん仕様。
(これを着て、赤ちゃんになる――)
もやもやと、胸の中にピンク色の気体が充満するような感覚があった。
まずは背中のスナップボタンを外す。ぷちぷちっと軽い手応えとともに外れ、袋状になる。ひとたび体を通せば抜け出せない、ウツボカズラのような形に。
「……、ふぅーっ……」
深呼吸。覚悟を決め、光一は片足をあげてロンパースに足を通そうと――
「待って、光一くん」
遠そうとした瞬間、隣にいた宮子からストップがかかり、光一はたたらを踏んだ。
「な、なんですか?」
「まだ脱いでないものがあるでしょ? ロンパースには、ちゃんとそれらしい下着を穿かないと」
「し、下着って、まさか……」
怯える光一。
宮子は味わうように彼の表情を見つめながら、ゆっくりとした足取りで、さきほど彼が脱いだ服をしまったクローゼットに近づいていった。
明日からまた、ブログのレイアウトを変更しようと思います。可愛く、見やすいと思っていただけるテンプレートになればいいのですが。
X様、毎度更新を楽しみにしていただいているようで、ありがとうございます。毎週必ず更新する確約はできませんが、できる限り更新してきたいと思っています。
では今週分をどうぞ。
(6)
託児所めいたベビールームに案内された光一は、十年ほど自分の年齢が逆行したかのような錯覚を覚えた。
「ここが、試着室……?」
「ええ、そうよ。さ、ロンパースは一旦そこにおいて、脱いでちょうだい」
宮子は平然と言うが、光一は焦る。これでも健全な男子大学生のつもりだ。
「なら、着替えますから一人にしてください」
「だめ。ベビー服を着る赤ちゃんが、一人でお着替えできると思うの?」
「俺は赤ちゃんじゃありませんから」
「そうじゃなくて、構造的な問題よ。ほら、背中をみてごらんなさい。スナップボタンが並んでいるでしょ? どんなにからだが柔らかい人でも、自分の背中に並んだスナップボタンは留められないわ」
なるほど、と光一はうなずくが、だからといって綺麗なお姉さんの前で裸になるのは抵抗がある。
「じゃ、じゃあ、最後のスナップボタンはお願いしますから、それまでは一人で着替えさせてください」
「だめだめ。いまからベビー服を着るんだから、開き直って徹底的に赤ちゃんになりきらないと、逆に恥ずかしいわよ」
いつの間にか、「由女に着せる前の品質チェックのために着る」から「自分自身が赤ちゃんとして着る」にすり替わっていたが、本格的なベビールームに入れられた光一はすっかり雰囲気に飲まれていたため、ぜんぜん気づかなかった。
「か、簡単に言いますけどね……」
「だーめ。ほら、シャツを脱いで。わたしのことは、ママだって思えばいいわ」
「ま、ママ……」
「そうよ。さ、光一くん。ママがお洋服を脱がせてあげるわ」
宮子はどんな相手の警戒心もほどいてしまうような笑みで、光一の目と鼻の先に立つと、彼のシャツの襟に手をかけてするりと脱がせてしまった。
「わっ、や、やめて下さい!」
「大人しくしなさい! 着替えさせてあげるんだから!」
まるで母親のようにしかりつけて、光一を大人しくさせる。彼が雷に打たれたように放心しているあいだに、
「ほら、ばんざーい、してごらん。ばんざーい」
ぱっと両手を挙げて見せると、光一も彼女の動きに釣られて「ばんざーい」のポーズになってしまう。はっと気づいたときには、一瞬の早業でTシャツまで脱がされていた。
「うわっ、ぬ、脱がさないでくださいよっ!」
「だーめ。そろそろ観念して、自分で脱いだらどう? それとも、全部あたしに脱がせてほしいの? 赤ちゃんみたいに」
「ちっ、違いますけど――ああもう、判りましたよ!」
こうなりゃやけだ、どうあがいても脱がされるんなら自分から脱いでやる。光一はあきらめて、ズボンを脱ぎはじめた。群竹光一、準備は周到にやるが、土壇場で失敗すると諦めが早いところもある。
宮子は彼が脱ぎ捨てた服を拾って丁寧にたたみ、壁際にある白いクローゼットにしまう。よく見ればそのクローゼットも、赤ちゃんに配慮して角を丸くしてあって、本当に赤ちゃんが生活するためのものとしか思えない――サイズを除いて。
横目にそれを見つつ、光一は改めて、先ほどテーブルの上に置いたベビー服を取り上げる。
ピンクのセーラーロンパースは、見れば見るほど恥ずかしいデザインだ。柔らかな生地で作られ、しかも縫い目を外側にしている赤ちゃん仕様。
(これを着て、赤ちゃんになる――)
もやもやと、胸の中にピンク色の気体が充満するような感覚があった。
まずは背中のスナップボタンを外す。ぷちぷちっと軽い手応えとともに外れ、袋状になる。ひとたび体を通せば抜け出せない、ウツボカズラのような形に。
「……、ふぅーっ……」
深呼吸。覚悟を決め、光一は片足をあげてロンパースに足を通そうと――
「待って、光一くん」
遠そうとした瞬間、隣にいた宮子からストップがかかり、光一はたたらを踏んだ。
「な、なんですか?」
「まだ脱いでないものがあるでしょ? ロンパースには、ちゃんとそれらしい下着を穿かないと」
「し、下着って、まさか……」
怯える光一。
宮子は味わうように彼の表情を見つめながら、ゆっくりとした足取りで、さきほど彼が脱いだ服をしまったクローゼットに近づいていった。
コメント
一杯恥ずかしい目にあって、どこで心が折れて赤ちゃんになるのか楽しみです
わくわくしてきました。
質問にお答え頂きありがとうございます。
質問にお答え頂きありがとうございます。
コメントの投稿
トラックバック
http://kannaduki57.blog.2nt.com/tb.php/486-0e12f593
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)