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十月兔

強制女装を中心とした小説・イラストのブログです。

2024-05

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「かぐやひめ」へようこそ (1)

 ご無沙汰しています、神無月です。
 最近の悪い癖で、大詰めまで書いたところで最後の部分で詰まる――ということを繰り返しています。気にせず書き上げればいいのでしょうが、なかなか納得できる形で落とせないというのが。
 頑張って書き上げておりますので、よろしければ、いましばらくお待ちいただければと思います。

 気分転換に短いストーリーも書いています。「女児転生」をお待ちくださっている方もいらっしゃるようなので、そちらの連載も再開したいのですが、空中分解を防ぐためにもうちょっと構想を練ってからになると思います。お待たせして申し訳ないのですが、ご了承くださいませ。

 それでは前置きはこのくらいにして、小説をどうぞ。
  (1)

 群竹光一はきょろきょろと周囲の建物を見回した。
 普段はほとんど立ち寄らない駅の、大通りから外れた雑居ビルが立ち並ぶ一角だ。カラオケ店、風俗店、ネット喫茶に裏ビデオ屋――夜中では光り輝く店の看板も、いまは日の光にさらされて安っぽい本性を現している。
 それらの店には目もくれずに、光一は珍しい動物を探すカメラマンのような目つきで左右を確かめながら、次々に路地を回っていく。
(由女の話だと、このあたりだって聞いたんだけどなぁ)
 いくつかの路地を確かめ終え、光一は小さくつぶやいた。
狭い道を挟んでチェスの駒のように建つビルの隙間は昼だというのに薄暗く、深い森に迷い込んだかのような錯覚がある。一度入ったら抜け出せない恐怖と、マヨヒガのような宝の在処に行き会うかも知れないと言う期待に、静かな昂奮が胸のあたりを圧迫する。
 表裏一体の恐怖と期待を味わいつつ、いくつめかの路地に入ったときだった。
(あっ……)
 一目見て、すぐに判った。
そこが、目的の店だと。
灰色のビルの中にあって、その店だけがパステルカラーに輝いていた。ガラスのウィンドウ越しにディスプレイされている服と、明色の店内が見渡せる。

 ベビーショップ「かぐやひめ」

 看板には、ポップな自体でそう書かれていた。
 店名が示すとおり、女の子用のベビー服を中心にしているようだ。ディスプレイのマネキンが着ているのも、スカートつきのロンパースやワンピースとブルマーのセットなど、女児用のものばかりだ。
(やっぱりこの店だ……まさか、本当にあるなんて)
 ごくっ。昂奮に湧き上がる唾を嚥み下し、遠くから、その店を観察する。
ベビー服のショップなら、はっきり言ってどこにでもある。この駅にだって、駅ビルの5階に入っているはずだ。
ただこの店は、そうした他の店とは明らかに一線を画している。
小さな女の子のいる母親がこの店を見つけたとして、可愛いデザインに惹かれて店の前までやってきたとしても、店内にはいることはないだろう。
なぜならば。
(俺でも、着られそうなくらいのサイズだな……)
 そのマネキンは、大人用のものだった。
 本来ならば、一般的なレディースの服を着せるために作られたマネキンに、ベビー服が着せられている。どれほど伸縮性に富んだ素材で作られていたとしても、せいぜい90センチ程度までを想定して作られているベビー服を、大人用のマネキンに着せられるわけがない。
 つまりこれは、大人が着られる、大人が着ることを前提に作られたベビー服だ。
 常軌を逸している。
 なんのために作ったのか。普通に考えて、大人の女性がこんなものを着るはずがない。
 光一は、全身の産毛が震えるような昂奮を感じつつ、ウィンドウに近づき――それがベビー服でしかあり得ないことを、確信する。
スカートつきのロンパースは胸元から切り替えになっていて、胴の短い赤ちゃんの体型に併せて作ってあるし、パンツ部分にはベビースナップが並んでいる。スカートの裾丈も、スナップをはずしておむつ交換をするときに邪魔にならない長さにしてある。ロンパースの後に設置された鏡には、背中に並んでいるスナップや、まるでおむつを当てているように大きく膨らんだお尻のフリルが見えていて、かわいらしさと実用性を備えたベビー服であることがいっそうよく判る。
頭にはフリル付きのベビーフード、胸元には縁取りの可愛らしいよだれかけ、首にかかった紐からは大きなおしゃぶりがぶら下がっている。
ロリータ服や、子供服めいたレトロファッションが流行ってるといっても、ここまで完璧に再現されたベビー服である必要はない。つまりこれは完全に、大人が、赤ちゃんとして生活するための洋服だ。必要となれば、股間のスナップボタンも充分に機能するのだろう。下半身に当てたおむつを、交換するために。
(あれを着て、赤ちゃんみたいに……)
 ぞくぞくと、震えがはしる。
 怖いもの見たさに、さらに近づく。
ウィンドウの前で、ディスプレイされているベビー服越しに店内を見つめる。カラフルなベビードレスに純白のセレモニードレス、モノトーンのフォーマルワンピースもある。いずれも女の子のかわいらしさを強調するデザインだが、相変わらずサイズだけがおかしい。
(由女の言ってたとおりだ。大人でも着られるサイズの、女児服を扱ってる店があるって)
 一週間ほど前の幼なじみとの会話を、光一は改めて振り返った。

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