2ntブログ

十月兔

強制女装を中心とした小説・イラストのブログです。

2024-05

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

短編小説「失敗の代償」

 こんばんは、神無月です。本日も短編小説の連載分を更新します。どのくらいで終わるのか判りませんが、まぁまぁ続けられるところまで続けていこうかなと思います。ちなみに舞台のモデルとなっているのは現在休止中のドームシティだったり。
 ゆる様、ご期待下さってありがとうございます。他の方も気楽に拍手やコメントを頂けると、大変励みになります。

 ではどうぞ。

 (2)

「次はこれに乗ろ、秋本君。今度こそはさっきみたいにおもらししないでよ。せっかくかわいい女の子の服に着替えたんだもの、よごしちゃったら勿体ないもんね」
 葉月は行列の最後尾に並びながら、大声で洋平に話しかけた。前に並んでいた女子大生たちが葉月たちを振り向いて忍び笑いをもらした。彼らの嘲笑の対象はもちろん葉月ではなく、見るからに異様な姿をした洋平に向いている。
何しろ男子高校生が、女児用のサロペットスカートを着ているのだ。上着も、サロペットに合わせて襟もとにフリルがついたカットソー。肩のあたりが小さく膨らんでおおきなリボンがついており、その袖口にも白いレースがついている。こちらもサロペット同様、以前服を汚してしまった女の子が置いていったものだった。
ほっそりと華奢な体格で女顔の洋平には、胸がないこともあり似合っていないでもない。
 そしてこれらの恥ずかしい服の代わりに、洋平は自分が着てきたシャツとズボン、下着を置いてきた。デートのためにとブティックで一時間もかけて選んだ服なのに、と思うといっそう情け無い。
 しかもどちらも小学生女児向けの服だけあって、小柄とはいえ男子高校生の洋平には小さすぎる。ウエストのほうはぎりぎりはけるのだが、肩紐の長さが短すぎてパンツが丸出しになってしまってしまうのだ。おまけに髪の毛は短いし、靴も普通のスニーカー。見苦しくこそないものの、一目で男だと判ってしまう。
 洋平もいますぐこの場から逃げ出したい気持ちはあるのだが、それでも逃げずにいたのは、やはり葉月に対して申し訳なく想う気持ちと、都心のど真ん中をこんな姿で逃げ出すことの恥ずかしさ、それに──こんな風に辱められるのはほんの短い間で、またすぐにいままで通りに接してくれるのではないかという未練がましい期待が残っていたからだった。
 しかし葉月は一向に、「ふふ、意地悪はこのくらいにして着替えさせてあげる」とはいってくれない。わざわざ大勢の人が行き交う広場をひとまわりしてから、先ほど乗ったのとは別の絶叫マシンへと引っ張ってきて、行列に並ばせたのである。
 当然二人の後ろには、次々と新たな客が並ぶ。そしてひそやかに始まる囁きは、
(ちょっとちょっと、見てよあの子。女の子の服着てるけど、どう見ても・・・)
(あっ、ほんと。あれ男の子よね。あんなスカートはいて、しかもパンツ丸出しにして、恥ずかし~)
(なんであんな服着てるんだろうねー。隣の女の子に着せられてるのかな)
(違うよー、きっと男の子のほうから、ああいう服を着て外に出たいからついてきてって頼んだんだよ)
(えー、それじゃまるで変態じゃん・・・って、変態か、あんな服着て歩いてるんだから)
(ちょっとー、アヤ? 声大きいよ、聞こえるってば・・・)
 後ろからの声が切れ切れに洋平の耳に届き、彼の心を陵辱した。せめてもの抵抗にスカートの裾を引っ張って下着を隠そうとするが、葉月は目ざとくその様子をからかう。
「どうしたの秋本君、急にパンツ隠そうとしたりして。もしかしてまたおもらししちゃったの?」
「ち、ちがうよ、そんなんじゃなくて、見えてるのが恥ずかしいから……」
「恥ずかしがることないって。せっかくかわいいチューリップ柄のパンツをはいてるんだから、周りのみんなに見てもらうといいわ。高校生にもなった男の子でこんな可愛いパンツを穿けるなんて、秋本君は幸せね」
「言わないで・・・もう、普通の服を着せてよ・・・」
 洋平は周りに聞かれるのを恐れて、小声で言い返した──極めて無駄な努力だったが。しかも目の周りを真っ赤にしてべそをかきながら言っても、単なる泣き言にしか聞こえない。
 葉月はいっそうサディスティックに笑い、
「普通の服? そうね、高校生にもなって絶叫マシンでおしっこ漏らしちゃうような男の子は、おもらししてもいいようにトレーニングパンツをはくのが普通よね。それともオムツのほうがいいのかな?」
 立てつづけに浴びせかけられる嘲弄に、洋平は真っ赤になってうつむいた。行列の前後の人たちもおおよその事情を察し、いっそう忍び笑いが大きくなる。中には洋平が漏らしたときその場に居合わせた人もいて、「ほらあのときのあの子よ、さっきあのマシンでおもらししちゃった・・・」などと口にしていた。
 長い恥辱に満ちた三十分の後、洋平はようやくマシンの前まで辿り着いた。
 目の前ではちょうど、前の客を乗せたマシンが動き出したところである。乗客たちは巨大なU字型のレールを急加速でのぼっていったかと思うと、今度は後ろ向きに急降下する。さらに後ろ向きのまま反対側をのぼっていったかと思うと、今度は真正面から落下して、再び前方向に急上昇していった。
 しかも乗客は、レールの上に固定されたシートに座るのではない。レールの下に吊り下がったシートに腰と肩を固定されただけで、足をふらふらさせたまま上へ下へと動かされるのである。
 間近でそれを見た洋平は、あらためてその絶叫マシンの恐ろしさを予感して青ざめた。葉月はにやりと笑い、
「ん、ビビってるの? それともまたトイレ? そんなにトイレが近いのなら、いっそオムツでもしたほうがいいんじゃない?」
「ち、ちがうって。大丈夫だよ・・・」
 見栄をはって答えるものの、目の前で止まったマシンにこれから乗り込むのかと思うと膝の震えが止まらない。そしてついに、傭兵たちの順番が回ってきた。
「それではシートに腰掛けてお待ち下さい、係員が安全レバーを確認いたします」
 背後に行列している人が見守る中、目的のマシンに乗り込む。シートに座ると、係員がまるでチャイルドシートのような安全レバーを固定した。
 シートといっても先述の通り、足元にはなにもない。つまり太腿からパンツまで隠すすべもなく、都心の空高くへと掲げられてしまうのだ。特に下半身のレバーは、ただでさえ短いスカートをめくり上げるように固定しているため、それだけでそうとうに恥ずかしかった。
 太腿やパンツが丸出しになっているのを見おろして、(こんな姿のままで東京の空高くへと舞いあげられるのか)と羞恥に胸が焼けた。思わず頭上を見上げると、隣にあるドーム球場に負けぬほど高いレールが屹立している。先ほどのマシンで味わった恐怖が生々しく蘇り、洋平は身震いした。
(まさかもう、漏らすことはないと思うけど──)
「それでは発車いたします。皆様、どうぞ楽しいお時間をお過ごし下さい」
 覚悟を決める間もなく係員の声がして──全身に猛烈な加速度を感じた、次の瞬間だった。洋平は、股間がじわりと熱くなるのを感じた。しかし何か考える暇もなく、彼は真っ青な空を見上げたまま上空へと飛び上がっていった。

          (つづく)

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://kannaduki57.blog.2nt.com/tb.php/428-0e9beae0
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

 | HOME |