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十月兔

強制女装を中心とした小説・イラストのブログです。

2024-05

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『女児転生』 第一章(6)


 (6)

 肌をぴったりと包む下着の感触に、俺は泣きそうだった。しかも、これはほんの手始めでしかない。俺は半分思考を停止した状態で、さらに紙袋の中身に手を伸ばした。その様子を、先生と莉子は、隠そうともしないにやにや笑いを浮かべて見守っていた。
 取り出したのは、やっと下着以外の服だったが、俺の憂鬱な気分はいっそう高まった。それは、今どき小学生の女の子だって着ないような、可愛い刺繍があしらわれた、長袖の丸襟ブラウスだったのだ。ビニールのシールには、「刺繍入り丸襟ブラウス(丸襟) 160」とあった。
 俺は袋からそれを取り出し、いやいや広げた。その大きな丸襟は、ふちに赤い糸で縁取りがされ、さらに小さな薔薇の刺繍が施されている。長袖の袖口はゴムですぼまっていて、袖口はこちらもふちに赤い縁取りが施されたフリル飾りになっている。160というサイズも、一体どこでこんな服が売っているのか、むしろそれが不思議なくらいだった。
 型紙を外し、タグを結んである紐を切って、ボタンを外していく。ボタンを外し終わり、俺はそれを羽織った。サイズは少し大きいくらいで、袖や襟元は少しぶかぶかになる。ボタンを留めるのもきついと言うことはなかったが、何が原因なのか、ひどい違和感があって留めにくい。
 僕がボタンを留めるのにもたもたしていると、莉子がこう言った。
「あらあら、山野くん、ぶきっちょね。本当、ちっちゃな女の子みたい。お姉ちゃんが留めてあげよっか?」
 言われて、俺はかっとなった。自分でも不器用な仕草だと思っていた後ろめたさと、莉子に対する怒りが爆発し、
「うるさいなぁ! 佐々木さんはもう黙っててくれよ」
「何よ、その言い方! 時間がかかるから手伝ってあげようかって言ってるだけじゃない!」
「はいはい、2人ともその辺にしなさい」
 先生が呆れたように、俺たちの口論に口を挟む。そして莉子の方を向いて、
「山野くんだって、幼稚園の子じゃないわ。ちゃんと1人でお着替えできるんだから。山野くんが一人でお着替えできる、って言ってるんだから、私たちは見守っていてあげましょ? ね?」
「はぁーい」
 俺は顔を真っ赤にして黙り込んだ。まるでこれでは、上手く着替えられない子供が親の手伝いを拒んでじたばたしているみたいな扱いじゃないか。ボタンを留めようとする指先が、身体をじりじりと焼くような屈辱に震えた。
 それでもなんとか一番下まで留めると、俺は急いで次の服を手に取った。ブラウスを着ているのに下半身はショーツ1枚なんて、まるで男性誌のグラビアみたいで、落ち着かない。何よりも、早くこの恥ずかしい女児用下着を隠したくて仕方がなかったのだ。
 しかし、ショーツを隠すにしても、女児服の象徴であるスカートでしかない。どう転んでも、小さな女の子の格好をさせられる……俺はそのことを、改めて実感させられた。そんなことを考えさせられるのさえも、先生の狙いなのではと思えるほどだった。
 下着にブラウス1枚という姿のまま、次の服を取り出しては身につけてゆく。が、スカートだけはいつまで経っても紙袋から出てこない。襟に結ぶ黄色いリボンと、レースつきのソックスを、恥ずかしい格好のまま身につけていく。
 そしてやっと、スカートだ。紺の吊りスカートは、少し幅広の紐が背中でクロスしていて、それを肩に引っかけて、ずり落ちるのを防ぐかたちになっている。スカートは、ごくありふれたプリーツスカート。ぱっと見ただけで小学生用のものだと判ってしまうデザインだ。
 これを手にしたとき、俺の中に安堵の感情が兆した。そして自分の心の動きに、思わずぎょっとする。単に、下半身はショーツ1枚という恥ずかしい状態を逃れることが出来ることから着た安堵であるに違いないのに、まるでスカートを穿くことを望んでいたようにも思えたからだ。もちろん、そんなことはあるはずがない。
 そうだ。スカートというだけでも、それを自分が穿くことなど思いもよらないのに、しかも小学生しか着ない、吊りスカートを穿かされるなんて……!
 しかし、今着せられているブラウスだって、どう見ても小学生用のものだし、もうどうにでもなれだ。なんにせよ、いつまでもショーツを覗かせたままでいるよりは、いくぶんかはマシだ。
 袋から取り出してタグを外し、両手に肩紐を引っかけて、スカートの部分を見る。どこかにホックや、ファスナーがあるはずだ。
 すぐに右脇にホックを見つけ、俺はホックを外して、ファスナーを引き下ろした。スカートの腰の部分を持って両脚を通し、身体をひねって右脇のホックを留め、ファスナーを上げる。そして、腰のところから垂れ下がっている肩紐を、片方ずつ、肩に引っかけた。

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