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十月兔

強制女装を中心とした小説・イラストのブログです。

2024-05

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体験入学 第四章 Part.1


 『体験入学』 第四章 結末の四組(おわりのゆくえ)

 ……妹の「花嫁」になってから、二月少しが過ぎた九月半ば。
 武生は今日も、朝から知香に連れ回され、彼女が管理するマンションで陵虐を受けていた。そして七時過ぎに帰ってきた二人は、珍しく両親ともがリビングにいるのに気がついた。
 いつもなら、父親は書斎に、母親はパチンコ店に籠もりきり、リビングに近寄ることなどない両親である。正直兄妹にとっては、リビングにいても邪魔くさいだけだった。同じ部屋にいたい相手ではないのだ。
 まだ残暑が残る季節にクーラーのある部屋にいられないのは辛いが、仕方ない。二人は両親に声もかけず、それぞれの自室に戻ろうとした。しかしそのとき両親が、リビングに来るように命じた。
「大事な話だ。二人とも、居間に来い」
 尊大な口調で言う父親。母親は何も言わず、父親の隣に座って暗い目をしている。
 離婚でもするのだろうか、この夫婦仲は冷え切ってるし。そう思いながらリビングのテーブルに座った二人の目の前に、父親は黙って一枚の封筒を差し出した。
「あ…………」
 妹による調教の日々の中で忘れかけていた過去の記憶が、武生の脳裏に蘇る。それは、深山小学校からの封筒だった。宛名は「柚川武生様」となっていて、「親展」と書かれている。
 家族としての良心か、封は切られていない。しかし目の前にそれを差し出すことで、両親は語らずしてこう言っていた。
 目の前で開けて、どういうことか説明しろ、と。
 武生はしばし、どうしたものか考えた。しかし、結論が出るまでさほど長い時間はかからなかった。武生は封筒を手に取り、
「これかぁ……」
 軽い口調で言いながら、口を切って中身を取り出す。中に入っているのは深山小学校の紹介冊子の最新版と、受験案内冊子。さらに、受験申込用紙だった。そして彼は、こう宣言した。
「深山小学校の受験用紙だよ。俺、ここを受験するつもりなんだ」
「何を言ってるの、武生。あなた、高校生よ? 大学を受験するんじゃないの?」
 母親が、ヒステリックな金切り声を押し込めた、軋んだ声でききかえす。武生は笑った。
「しないよ。だって成績酷いしさ、今どき俺程度の偏差値で受験できるようなまともな大学なんて、どこにもないからね」
「なら予備校に行って、勉強し直せばいいじゃない。一年くらい浪人すれば、どこかには入れるわ。何も小学生からやり直さなくても……」
「無理無理。だって俺、深山小学校受験するつもりだから、大学受験用の勉強してないし。いまからやり直そうって言ったって、基礎の基礎からやり直さなきゃお話にならないぜ。この前の模試なんか、英語を除いたら平均二一点だしね。二人には見せなかったけど」
「な……っ!」
 母親の声が、裏返って跳ね上がる。知香も、驚いた顔で兄を見つめていた。相変わらず仏頂面の父親が、陰気な声で尋ねた。
「……本気なのか。本気で、小学校に入学できると思っているのか?」
「むしろ深山に入れてもらえるかどうかが心配だけどね。一応TO*ICでそこそこの点にはとれるけど、あそこの受験で使うような、生きた英語ってやつはなかなか身に付かな」
「そうじゃないだろ! その年で小学校に入れると思ってるのかお前は!」
 大声を張り上げる父親を、武生はむしろうんざりと見やった。
「入れなければ、こんな話はしないよ。校長先生も、色々と法律とか戸籍とかはごまかしてくれるって言ってるし。でも、入試試験には合格しないといけないから、それが問題だけど」
「ねぇ、武生、冗談よね? 本当は*大とか、そういうところ受けるのよね。お母さんたちをからかってるだけなんでしょ?」
 母親が、今度は精一杯の明るい声を出す。それは妙に空々しく響いた。
 どっちもどっちだ。むっすりと黙り込み、かと思えば突然怒鳴る父親。ヒステリックに叫び、あるいは冗談で片付けようとする母親。
 うんざりだった。武生は面倒くさくなって、学校の紹介冊子をめくり、その中から、体験入学の模様を撮影した写真の一枚を示した。
 そこには、附属幼稚園の制服を着て英語の授業を受ける武生の姿が――正面から、顔を間違えようもなく、はっきりと写っていた。

体験入学 第三章(10)Part.2


 武生は新婚初夜のような中途半端な花嫁衣装で、ベッドの上に四つんばいになり、実の妹におしりを差し出す。しかも前を向いているため、妹が後ろで何をしているのか、武生には全く判らない。
「ひぅっ!」
 肛門に冷たい、ぬるりとした液体の感触。武生は身体をすくませて、小さな叫びを漏らす。
 武生の正常な性知識では、妹が自分を「犯す」――その方法も、実感もわかない。先ほど足を舐めさせられたときのように、口を使うくらいしか考えつかなかった。しかし、こうしてお尻を向けるよう言われて、武生はやっとその方法――ア*ルセ*クスに思い至った。
 そうして怯えているところに、この刺激。武生は震える膝をこらえながら、肛門を撫でる彼女の指に耐えた。そんな彼の肛門の窄まりを、知香は柔らかくもみほぐし、かと思うといきなり右手人差し指を差し入れる。第一関節が埋まったところでいったん引き抜き、下に垂れたローションをア*ルに押し込む。
 ローションがア*ルのひだに細かく入ったところで、だいぶ滑りがよくなった。ここでもう一度指を挿入すると、今度は括約筋を一気に断ち割って、指は一息に根本まで潜り込んだ。
「ああっ!」
「痛い? それとも気持ちいい?」
 本来なら排泄のための器官に異物を差し込まれ、武生は叫んだ。細い指なので痛くはないが、異物感からくる生理的嫌悪を覚える。花嫁の叫びに、知香はくすくすと笑いながら、中に挿れた指をくるくる動かす。蜻蛉を捕まえるときのような指の動きに、武生の腰が浮いた。
「あぁっ、いやぁっ、き、汚いっ……」
「汚くなんかないわよ。夫婦の絆を確かめる場所だもの、汚いわけないじゃない」
 武生の反応を喜びながら、知香は指をもう一本増やす。いくらローションと前戯でだいぶほぐれていても、ア*ルを押し広げられる感触に、武生はさらに悲鳴を上げる。
 知香は右手指でア*ルをもてあそびつつ、身体を乗り出して兄の背中に覆い被さる。マウンティングのようなポーズに、武生は身体をよじって逃れようとするが、その前に知香の左手がスリーインワンの胸元に入り込み、彼の乳首を爪を立ててつねった。
「ひっ……!」
 その痛みと、背徳的な快楽への萌芽。武生の背中が大きくのけぞる。知香は乳首から指を放し、何カ所かをヘアピンで頭に固定したヴェールを、容赦なく引いた。乳首の痛みがじんじんと残る中、頭を後ろに引っ張られ、顔を天井に向かされる、本当に彼女の飼い犬になったような気分に、武生は大粒の涙をこぼす。
 もう自分は、彼女のペットに過ぎないのだ。彼女の意のままに恥をかき、変態と後ろ指をさされ、女として虐められることで彼女を楽しませる、人格も人権もない愛玩動物。いや、知香は自分の人格を全面的に否定し、無視しているのではない。適度に人格を持たせ、辱めを感じる程度にしながら、それをじわじわと嬲っている。その精神性は、真正のSと呼ぶに相応しい。
「さぁ、行くわよ……」
 肛門に入っていた二本の指が引き抜かれ、知香がそういった次の瞬間、知香の腰についた擬似ペ*スが、一気に彼の肛門を貫き通した。
「ああああああぁ――っ」
 不自然な首の角度で天井を向きながら、武生は哭いた。指二本でほぐれたとはいえ、そして初心者向けの、細いものを使っているとはいえ、ディルドーは彼のア*ルを激しくこじ開けて入り込み、直腸内部を蹂躙した。
 さらに屈辱的なのは、それが痛いばかりではないことだ。男性の場合、直腸の一部は前立腺に隣接しているため、直腸を通じて前立腺が刺激されれば、性的快楽も感じるし、勃起もする。武生も例外ではない。ア*ルを犯されながら勃起してしまい、彼はもはや自分の肉体さえ信じることができなくなった。
「ははっ、兄ぃに喜んでもらえて嬉しいわ。さぁ、女の子としてイきなさい!」
 兄が勃起したのを見て、知香は腰を揺する。ア*ルがねじるように押し広げられ、前後の動きでディルドーを出し入れされて、武生は自分でも何を言っているのか判らない声を発しながら、絶頂に達した。
 彼は忘我の境地の中で、自らが壊れてゆくのを感じながら、次第に意識を失った。

体験入学 第三章(10)


(10)

 水泳部で鍛えた身体に、少年のような面差し。柚川知香は中学校で、この年にしてすでに、レズのタチとして有名だったらしい。
 そして彼女は、SMクラブにも顔が利いていた。付き合っている女の子のひとりがSMクラブと繋がりがあり、その紹介でSMクラブの会合に参加した知香は、その会長にひどく気に入られたのである。そうして知香は、このマンションの一室を提供されていたのだ。
「可愛いものは好き。でも、あたしは可愛くはなれない。家の中では可愛い服を着てみるけど、やっぱり自分でも可愛くないことは判るの。だから可愛い子を見ると、私のものにしたくなる。私の言うことをきかせたくなる。あたしがどんなに虐めても、あたしから離れられなくなるようにしたくなる。……判るでしょ、兄ぃ」
 知香はベッドに横たわり、腰から下に毛布を掛けた状態で、隣に仰向けになっている兄に話しかける。
 歪んだ感情のすえに辿り着いた、彼女なりの妥協。自分が可愛くなることが叶わぬならば、可愛い子を所有し、独占し、管理したい。そんな欲望だ。それが、知香の行動原理だった。
「あ、あ、あぁ、もぅ、ゆるし、あぁ!」
 だがすでに武生は、彼女の言葉を聞いているのかどうかさえ定かではない。彼がいま着ているのは、前が大きく開いたピンクのベビー・ドールに、お揃いのTバックショーツ。そして乳首とペニスには、先ほどとは違う三点ローターが取り付けられている。使用者の体温・心拍数を感知して、自動的に「イきそうでイけない」状態を維持する、高級SMクラブでさえ滅多に置いてない一品である。このマンションにおいてあるのは、いわば試供品としておかれているものだ。
 その威力は絶大で、先ほどから武生はもう、半狂乱状態でよがるだけだ。それを見た知香は、軽く眉をしかめた。
「凄いのは凄いけど、こんなのじゃつまらないわね」
 ぱちんとスイッチを切ると、途端に武生は脱力して、大きな喘ぎ声を漏らす。そんな彼に、知香は冷たく着替えを命じた。
「っ、くっ、今度は、なに……?」
 この期におよんで、武生は妹を睨み付けた。正気を奪うほど激しい責めの後だというのに、まだ、抵抗する気が残っていたようだ。知香は嬉しかった。ここであっさり屈服し、快楽に溺れるだけの奴隷に成り下がったとしたら、彼女はこれ以上、兄を虐める気はしなかったろう。
 だけど、最初からあまり強い刺激を与えすぎては、多分兄は壊れて、完全な奴隷に成り下がってしまう。やはり、美味しいものはゆっくり食べないと。知香は、ゆっくりと兄のプライドを崩していくことにした。
 妹の命令で、ふたたび裸になった武生に渡されたのは、真っ白なストッキングとガーターリング、そして、コルセットのようなスリーインワン。ペ*スを露出させたままでそれらを着用し終えた武生に、最後に渡されたのは、予想通り純白のヴェールだった。それを髪の毛に止めた武生に、知香は笑う。
「ふふ、兄ぃは今日この日、あたしと契りを結んだ花嫁よ。新婚初夜だもの。花婿としては、せいぜい花嫁を可愛がってあげないとね?」
 知香はここで、腰から下を隠している布団をはぎ取った。彼女の股間にあるのは、武生のものよりやや大ぶりな、それでも平均よりは小さめのペ*スを摸した、ディルドーと呼ばれる器具。
 それを見て怯える武生の表情こそが、彼女にとって最高の喜びだった。
「さぁ……可愛がってあげるわ。後戻りできない女としての快楽を、兄ぃの身体に刻みつけてあげる」

体験入学 第三章(9)


(9)

「おい、帰ったぞ」
「おかえりなさいませ、ご主人様」
 一五時ジャスト。玄関のドアが開いたとき、武生は指定された衣装――「HE3」一枚の姿で、玄関先の廊下で三つ指ついて、頭を下げた。
 それは衣装といっていいものかどうか。HE3――それはハートエプロンの略号で、4枚ある内の一枚だった。指定されたHE3は、特に新妻らしさを前面に出したデザインで、胸元に大きなハートが付いているのは他のハートエプロン同様だったが、レースやリボンなど無駄に装飾が多い。およそ料理を作るときに使うものとは思えないデザインのエプロンだ。背中でクロスさせる肩紐には大きなフリルがつけられて、腰の後ろで結ぶおおきなリボンが目立つ。
 しかし、逆に言えばそれだけだ。前半身を隠すのは、ハート型の前当てと、ミニスカートよりさらに短い布きれだけ。後半身に至っては、たった四本のリボンと結び目だけしか身体を隠してくれない。
 服を脱ぎ、下着を脱ぎ、未だ震えるローターを外した上で、そのハートエプロン一枚になり、廊下に膝をついて自分の妹を迎える。さっきあれほどの恥辱を与えた相手に、貞節な妻として頭を下げなければならない。いい加減恥ずかしいことはしつくしたと思っていた武生でも、これはあまりに辛かった。
 マンションのリビングには、「夫を出迎える奴隷妻のたしなみ」という冊子が置かれていた。どうやらこれが、指示の中にある「マニュアル」らしい。その冊子はどう見ても、SMプレイをする人向けに作られたものだった。知香を迎えるためにそれを読み、一生懸命覚えるのも、武生にとっては屈辱的だった。
 そのマニュアルにあるとおり、武生は精一杯、従順な奴隷妻らしい言葉遣いで言った。
「今日もお疲れ様でございました、ご主人様。お食事になさいますか? それとも、お風呂になさいますか?」
「ふん」
 知香はじろりと「妻」を見た。いまの知香は黒いスーツを着て、男性のような装いだ。知香は靴下を脱いで、それを「妻」の頭の上に放った。武生の頭の上にかかる靴下の重み。自分が靴下以下の存在だと、否応なく知らされる。それだけでは足りず、知香は裸足の足を、彼が頭を下げている床の前につきだした。
「お前、自分の立場を判ってるのか? お前は卑しい奴隷妻なんだぞ。そんな中途半端な頭の下げ方で済まされると思ってるなんて……主人を馬鹿にしてるのか? ほら、罰としてこいつを舐めな」
「はい、申し訳ありませんでした、ご主人様。おみ足を舐めさせてくださいませ」
 革靴を履いてきたせいか、彼女の足は少しすえたような臭いがする。その臭いに耐えながら、武生は彼女の足を舐めた。舌を尽きだして舐めていると、
「ふん、舌の使い方は上手いじゃないか。さぞ、男相手に練習したんだろうなぁ。一体いままで何人の**を咥えてきたんだ? え? そら、今度は指を咥えてみろ」
「は、はひ……むぐ、あむ……」
 妻をいたぶる粗暴な夫そのままの言動で、知香は「妻」に、足の指をくわえさせる。しばらく咥えさせたところで満足したのか、彼女は足を軽く引くと、――武生の顔面を、野良犬を追い払うような仕草で蹴飛ばした。
「きゃあぁっ!」
 力はこもっていないとはいえ、水泳で鍛えた知香の脚力で顔面を蹴飛ばされ、武生は悲鳴を上げて廊下に転がる。
 それを聞いた知香は、けらけらと笑う。先ほどまでの「夫」を演じていたときとは違う、妹本来の笑い方。しかしそこには、果てしない邪悪さがあった。
「良い声で啼くね、兄ぃ。ハートエプロンもばっちり似合ってるしさ、本当に兄ぃ、男?」
「ち、知香……」
 聞きたいこと、言いたいことはいっぱいあった。しかし知香が取り合ってくれるとは、とても思えなかった。知香はにやにやと笑って、実の兄を追い詰めていく。
「今日この日、兄ぃはあたしの貞淑な妻として、一夜の契りを結んであげる。まぁ、あたしにとっては五人いる妻のうちの一人に過ぎないわけだけど、可愛がってあげるわよ。……あたしが、飽きるまでの間はね」

体験入学 第三章(8)

 最近迷走中の神無月です。

 というのも、強制女装モノのジャンルとして
「女装が似合わない男性に無理矢理女装させて、周りから変態のオカマ扱いされることで辱める」
 のが認められるのかどうかについて。恥辱のレベルとしてはかなり高いので、被虐系SMならありかなーとも思いつつ、他の方々の女装小説だと、あまり見かけないので……(もしもそうしたジャンルの作品があれば、是非紹介してください)。

 そんなわけで、「亭主失格シリーズ」で試験的に導入してみたのですが、皆さんはどうでしょうか。あんまり「見苦しい系の女装小説なんて読みたくない><」という方が多ければ、今後は少し控えたいと思います。

 さて、前振りが長くなりましたが、これより開演っ。

 * * *

(8)

 しばらく走っていると、さすがに疲れてきた。それに、ただでさえ一五〇センチ以上の背丈の人間が、小さい女の子の服を着ているのは目立つ。走っていればなおさらだ。
 立ち止まった武生は、そもそもどこに出かける予定だったのか、それを聞いていなかったのを思い出した。知香は二人で出かける予定だったのか、それとも武生一人をどこかにお使いさせるつもりだったのか。それさえも聞いていない。
 いや、そういえば出かける直前、知香は自分のバッグに何か入れていたっけ。それを思い出した武生は、とりあえず立ち止まって、それを取り出そうと考える。もしかしたら、どこに行けとかそういう類の指示が入っているのかも知れない。
 ちょうど目の前に小さな公園があったので、そのベンチに座る。幸い、公園内には誰もいなかった。
 しかし座った途端、いままで忘れていた疼きが彼を襲った。さっきまで、千草さんが目の前にいたショックと、走っていた震動で気にならなかったローターの動きが、急激に性器と乳首の神経を責め立てる。
「……うぅ」
 いったん気になり始めると、もはや無視することはできなくなってきた。ペ*スを触りたくなる手の動きを懸命にこらえながら、彼は背中のバッグを下ろし、中身を取り出す。
 中に入っていたのは、パステルカラーのメモ帳。めくると、小さな地図と、簡単な指示がかかれていた。
「一五時に帰宅する。コードHE3のみを着用の上、机の上のマニュアル通りに夫を出迎えるように」
 さらに奥を探ると、鍵が一つ出てきた。どうやら地図にある部屋にひとりで行き、鍵を使って開けた上で、「夫」として帰ってくる知香を出迎えろ。そう言うことらしい。
 地図が指定しているのは、駅前近くの小さなマンション。何で知香がマンションの鍵を持っているのか全く判らなかったが、それでも行かざるをえない。公園の時計を見ると、指定の時間まであと一時間ほどだ。この公園からマンションまで、およそ一〇分。何とか間に合いそうだった。
 しかし。
「あ、はぁ、はぁ……」
 苦しい。さっきの射精からまだ一時間ほどしか経っていなかったが、武生とて若い男性である。すでにペニスは再びの勃起を始めていた。最低速度というのは、意識をしないようにするのも難しければ、それで射精に至るのも難しい、本当に生殺しの強さである。
「……っく、あ、あぁ、はぁ……」
 出したいのを懸命にこらえながら、バッグを背負い、彼は大きく息をして立ち上がった。マンションについたら、いったん出そう。そう思ったのだ。
 ゆっくりと歩きながら、駅前のマンションに向かう。女児用の可愛い服を着た、大きな体の子供が珍しいのか、行く人行く人みんなが彼を振り返り、くすくす笑ったり、指さしたりする。耐え難い恥辱に泣きながら、三点を緩やかに責め立てるローターの刺激に喘ぎながら、彼はやっと、指定されたマンションの下に来た。
 指定された部屋は六階なので、上の階に向かおうとエレベーターを探す。幸い、住人とすれ違うことなく見つかった。
 しかしエレベーターに入った途端、武生は驚愕に凍り付いた。エレベーターの奥には大きな鏡がある。そして鏡の向こうに立っているのは、女児服を着たあげく顔を大きく上気させて喘いでいる、どう見ても興奮しているとしか思えない表情の自分の姿。足もとも、性感に耐えきれずがくがく震えているのが丸わかりだ。そして、デニムのスカートの前にできた大きなシミと、そこで存在を主張するペ*スのシルエット――。
「う……あ、うああぁぁぁ……」
 どう見ても、女児服フェチの変態男だ。警官に見つからなかったのは、本当に幸運だった。見つかっていれば、職質どころか逮捕ものだ。
 こんな格好で人通りの多い駅前の道を歩いていたことに、武生は泣いた。エレベーターで、指定された部屋の六階に上る間も泣き、廊下を通って部屋の前に向かう間も泣き、鍵を使って部屋の中に入ってから、さらに泣いた。
 これならまだ、翠からの陵辱の方がはるかにマシだった。翠が与えるのは、彼を全面的に少女として扱い、周りから少女として認識させることで辱めるものだ。確かに、その場での協力者や、限定的で安全な相手には、武生を男性として紹介することもあったが、不特定多数の人間に彼の正体を明かすことはなかった。そして遂に、女装をした状態で彼に性的興奮を与えることはしなかった。
 しかし知香は違う。女装させた上で性戯をしこんだり、身近な人や不特定多数の人から「少女の服を着た男性」であると判るようなことをするのだ。そしてそれによって変態扱いされるのは、彼女自身ではなく、彼女の贄である武生に他ならない。
 悪夢だった。そして最大の悪夢は、その相手が自分の実の妹であり、もはや彼女から逃れる道は何一つ残されていないことだった。

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